あなたの投資ポートフォリオを管理する上で、マイク・タイソンは、メンターやロールモデルにはならないと思うかもしれません。
何しろ元無差別級世界チャンピオンの彼は、優れた資産運用のスキルを示したことがないどころか、1997年の試合ではイベンダー・ホリフィールドの耳の一部を噛み切るなど、リングの内外で物議を醸した人物なのです。
しかし投資の知恵は、意外なところから得ることができるのです。
まずはタイソンの「ピーカブー」と呼ばれるボクシング・スタイルから見てみましょう。
タイソンは両手を顔の前に置いて防御を固め、チャンスを見計らってストレートを打つというスタイルをとっていました。
一方賢い投資家はこれと同じことを実行します。まず、しっかりとした守りのポジションからスタートします。
それはつまり、質の高い株式や債券、インデックスファンド、上場投資信託などを保有することを意味します。
せっかく稼いだ資金を、商品先物やペニーストック(ボロ株)、流動性の低いリミテッド・パートナーシップなどに投資するという危険な賭けに出るのはやめましょう(乱高下する恐れがあります)。
また出口戦略も用意しておくべきです。それはトラブルの兆候があったらすぐに市場を去るという意味ではなく、個々の銘柄にトレーリングストップを設定して、ダウンサイドのリスクを厳しく制限しながらアップサイドの可能性を無限にするということです。
タイソンは、効果的な攻撃は優れた防御から始まることを知っていました。
彼はキャリアの後半で、「今の自分は、あの男の耳を噛み切った時の自分とは違う」とも言っています。
それは朗報です。人によって自己成長の意味は違うものでしょうから。
しかし投資においても、人生においても、重要なのはその過程で学ぶことです。金融市場では間違いを犯すこともあるでしょう。それは避けられないことです。
唯一残念なのは、同じ失敗を何度も繰り返すことです。
何を間違えたのか、なぜ間違えたのかを理解すれば、投資の損失は有効に「使った」お金になります。
タイソンの投資に関する最大の知恵は、「口にパンチを喰らうまでは、誰もが”計画”を持っている」というものでした。
まさにその通りです。
多くの投資家は、経済や株式市場、一般的な将来について楽観的な気持ちになったときだけ、資金をリスクにさらし運用します。
しかしこれは大きな間違いなのです。
物事はしばらくの間順調に進むでしょうが、その後、避けられないことが起こります。つまり金利が急上昇したり、景気が悪くなったり、ヘッジファンドが破綻したり、世界のどこか遠くで新たな戦争が始まったりといったことです。そして、株式市場は急激な調整や突然の弱気相場に見舞われるのです。
このような状況に陥ったとき、自分はどうすればいいのか、事前によく知っておく必要があります。
経験豊富な投資家は、突然の売却をチャンスと捉えます。全てのものが一斉に値下がりすると、価格が価値から離れていき、そして現実からも離れていくのです。
これは昨年のパンデミックの初めに見られたことです。その後、史上最速の弱気市場を生み出しました。
株式だけでなく、不動産、ジャンク債、高品質の非課税債など、掘り出し物がたくさんあったにもかかわらず、多くの投資家は固まって何もしませんでした。少なくとも、市場が強い上昇トレンドに戻るまでは。
なぜでしょう?それは、まさか自分が窮地に立たされるとは思っていなかったからです。
そこでマイク・タイソンのアドバイスを参考にしてください。
守りの姿勢で投資をして、失敗から学びましょう。そして市場があなたの顔にパンチを与えたときにどうするかを、事前に知っておくのです。
ですが、もし耳の一部を食いちぎられた場合、それは自己責任なのです。
良い投資を。
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