デイモンド・ジョンは、数年前にOxford クラブのイベントで講演した人物です。
ジョンは都会的なアパレルライン「Fubu」の創業者であり、ABCのリアリティ番組「シャークタンク(アメリカ版マネーの虎のようなもの)」に長年出演している投資家としても知られています。
クィーンズのホリスで貧しく育ったジョンは、朝から晩まで働いても金持ちにはなれないとすぐに悟りました。
彼はウールのスキー帽が人気なのに値段が高いことに気づき、母親の家でスキー帽を作り、1つ10ドルで売り始めたのです。
初日に800ドルを稼いだ彼は、すぐにスクリーンプリントしたTシャツの販売に乗り出しました。
この道を歩んでいれば、少なからず金持ちになっていたかもしれません。ですが、もっと大きな夢を持っていた彼は、ラッパーのLL・クール・Jを執拗に追いかけ、彼がFubuの帽子をかぶって写真を撮るように説得したのです。
その後、ジョンは自宅を抵当に入れて10万ドルを調達し、半分を居住スペースに、残りの半分を工場にしました。
汗と努力の末、Fubuは軌道に乗りました。
現在、彼のアパレルラインは全世界で60億ドル以上の売上をあげています。そしてジョンの個人資産は3億5,000万ドルになります。
貧困から成功への道のりは、講演の中での一言に集約されています。それは 「責任は与えられるものではない。それは掴み取るものなのだ」。
今、世界中の起業家が同意しているでしょう。
野心的な人は責任が与えられるのを待つのではなく、ぎゅっと掴み取り、そして物事を進めるのです。
しかし一部の人々(主流メディアのかなりの割合を含む)は、まったく別の物語を売り込んでいます。
私たちはチャンスに溢れた国に住んでいるわけではない。アメリカンドリームなんてものは存在しない。実力主義であるという考えも、単なる神話だ。というようなものです。
そして最近、彼らはさらに挑戦的な弁口で、この国の裕福な「上級国民」が組織的に他の人々の成功を妨げていると主張しています。
馬鹿げた話でしょうか?
マシュー・スチュワートの「The 9.9 Percent Is the New American Aristocracy(仮邦題:9.9%は米国の新しい貴族階級)」という書籍で著者は、「この国の経済的不平等は有害な経済格差を生み出しており、これを埋めるのは不可能になりつつある」と述べています。
確かにそれは事実かもしれませんが、その問題の原因が「あなた」のせいにされていることを知って驚くでしょう。
スチュワートの言う「あなた」とは、私たち全員のことではありません。また0.1%の超富裕層(彼は「派手に政治を操る人」と呼んでいます)のことでもありません。このメルマガの典型的な読者、つまり世帯純資産の上位10%に属する残りの9.9%の人々を指しているのです。
最新の政府統計によると、このグループに入るためには住宅資産を含めて120万ドルが必要のようです。
Oxford クラブの読者であれば、おそらくあなたはすでにその域に達しているか、それに近づいているか、あるいは近々その域に達する予定なのでしょう。私たちの読者には、医師、弁護士、エンジニアなどのプロフェッショナルな人たちや、中小企業の人たち、貯蓄や投資を堅実に行なっている一般の人たちがいます。
ほとんどの人は真面目に努力し、倹約し、苦労して貯めたお金をリスクにさらしながら、今の地位を築いてきました。
しかしスチュワートは違う見方をしています。
Oxford クラブの読者と同じような経済状態にある人たちが今の資産や収入を手に入れたのは、実際には、良い遺伝子や幸運な出来事、いい親の元に生まれたこと、あるいは政治家を買収したりすることによるものなのだと。
彼の主張はさらに続きます。
貧しい人が貧しいままなのは、彼ら自身ではなく「あなた」のせいなのだ・・・
「あなた」が「彼ら」から利益を吸い取っているせいで、彼らは貧しくなっているのだ、と彼は主張しているのです。
「裕福層」とは、120万ドル以上の純資産を持つ国内の全世帯を指すのでしたね(例えば教師と結婚して30年になる警察官は、簡単にその対象になります)。
スチュワートは、離婚したり、危険な地域に住んだり、心臓病や糖尿病になったり、子供が希望する大学に入学できなかったりする可能性が、金持ちよりも貧しい人々の方がはるかに高いことを的確に指摘していますが、いずれの場合も、それは彼らのせいではなく、「あなた」のせいだと彼は主張するのです。彼らは上流階級の無力な犠牲者なのだと。
「90%の人々とその子孫は、借金と誤った人生の選択の雲の中に置き去りにされている」と彼は主張します。
私はこれを「逆の責任」と呼んでいます。
自分の人生を自分の責任にせず、他人のせいにする、ということです。
富裕層への道は、このような無意味なものを無視して、まったく逆の視点から考えれば良いのです。
良い投資を。
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