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金の亡者?

多くの米国人はウォール街について誤った考えを持っています。つまり、この業界を貪欲で無謀な、金の亡者の集まりだと見なしていて、確かに私もそのような人を何人か知っています。

しかしウォール街には世界有数の金融革新者が集まっていて、彼らは金持ちになるだけでなく、あなたの生活をよりシンプルに、より簡単に、そしてより豊かにしているのです。

もしあなたが今、「そんなことは嘘だ!」と思うなら、それはメディアの偏向報道に影響されているからかもしれません。

 

例えばバラク・オバマは大統領就任時に、「投資銀行が優秀な大卒者を食い物にしている」、また「将来の物理学者やエンジニアの多くがその才能を実体経済の革新に生かすことなく、金融部門でお金を動かすことに費やしている」と述べました。

なるほど、国のGDPの5分の1近くを占める金融部門は、実体経済ですらなかったのですね。

しかしハーバード大学やイエール大学を卒業した学生の多くがウォール街に集まるのは、そこでの報酬が最も高いからに他なりません。

また反対側にも反感を持つ人がいます。ドナルド・トランプは大統領選で、ウォール街の有力者やヘッジファンド・マネージャーを「紙を動かして運をつかむ男たち」と酷評しました。

二人の相対する政治思想の持ち主であっても、ウォール街を憎むという点で一致しているのは良いことなのかもしれませんが。

別の点から見てみましょう。

 

人類の歴史は、金融的進歩の歴史でもあります。貨幣の発明、信用の出現、証券取引所の創設は、現実世界の基本的な問題に対する、非常に革新的な結果によるものでした。

金融は貿易を促進し、リスクを軽減し、新しい企業を生み出します。金融がなければ現代世界は存在しないどころか、誕生さえしなかったでしょう。

お金そのものが金融の最初の大発見でした。

私はよく、最初に取引で紙幣を受け取った人を想像してみます。怪訝そうな顔をした白髪の農夫が、「はっきり言おう。俺の牛をくれてやるから、これを俺にくれないか」と、紙幣手に言ったのかもしれません。

これは起こるべくして起こったことでした。
物々交換の社会のままでは生きていけません。

金融は消費者や経営者に今すぐ物事を実現する能力を与えてくれて、貯蓄者から投資家、起業家へと資金が流れていきます。

市場はポジティブな変化をもたらす素晴らしい可能性を秘めています。そこでは人間の創意工夫を利用して、お金を持っている人と、お金になるアイデアを持っている人を結びつけるのです。

確かにウォール街の歴史は、恐怖と貪欲、マニアと暴落、詐欺と騙し、一攫千金の陰謀と貧乏くじの投機に満ちています。

金融市場には巨額の資金が流れているため、たとえ聖人が住んでいたとしても、ウォール街は過剰になりがちなのです(そして、この業界には聖人がいないことでも有名です)。

また大不況は、ウォール街の複雑な取引がいかに公共の利益を損なうかを示す典型的な例でした。

しかし金融イノベーションは必要不可欠です。それが経済、そして究極的にはすべてのものを動かしていて、現在と未来のギャップを埋め、富を蓄えることができるのです。

そして今日の世界では、金融イノベーションはリスクの共有と管理に役立っています。

 

中には金融イノベーションは感じられないという人がいます。しかし魚が水に気づかないのと同じように、彼らはそれに気づいていないのです。イノベーションは私たちの周りにあり、私たちの存在に浸透しています。

私が生まれた半世紀ちょっと前にはなかったものを、思いつくままに挙げてみました。

  • デビットカードとATM
  • オンライン・バンクと証券会社
  • 調整可能な金利の住宅ローン
  • 確定拠出年金
  • バーコードとスキャナー
  • 電子請求書の支払い
  • 税務申告書作成ソフト
  • 上場投資信託、インデックスファンド
  • ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティファンド
  • 高頻度取引
  • アマゾン
  • Uber
  • プライスライン、エクスペディア、エアビーアンドビー
  • クラウドファンディング
  • 暗号資産

と、これらはほんの一部です。

もちろん、すべての金融イノベーションが良いものではありません(負の償却の住宅ローンがそれに当たるでしょう)。

そして、多くの金融イノベーションはあまり評価されていません。例えば、世間で騒がれている高頻度取引は、実際には市場の流動性を向上させ、取引量を増やして取引をスムーズにしています。

このような状況が、投資家であるあなたにどのような影響を与えているかを考えてみましょう。今日、投資の選択肢はかつてないほど増えています。手数料はかつてないほど低くなり、また取引の実行もかつてないほど速くなりました。そしてポートフォリオのモニタリングはかつてないほど容易です。

ウォール街の経営者が「世界で最も賢い人々」を雇っていると自慢するのには理由があります。

金融は地球上で最も競争の激しい業界の一つです。私たちが目にすることはあまりありませんし、気づくこともありませんが、クリエイティブな頭脳が巨大で複雑な問題に取り組んでいるのです

その結果、アイデアに資金が投入され、プロジェクトが開始され、インフラが整備され、取引が行われ、最高のリターンを得られる場所に資金が流れていくのです。

このような活動の最終的な恩恵を受けるのは誰でしょうか?是非鏡を見てみてください。

良い投資を。

アレックス

 

Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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