少し前に経済学者のサラ・ソルニックとデビッド・ヘメンウェイはアンケートを実施し、参加者に「他の人が2万5,000ドル稼いでいる間に年5万ドル稼ぐのと、他の人が25万ドル稼いでいる間に年10万ドル稼ぐのと、どちらが良いか」と質問しました。
落ち着いて考えてみてください。
大多数の人は最初の選択肢を選びました。たとえそれが自分にとって半分しか稼げないとしても、他の人の2倍稼いだ方が良いと答えたのです。
もちろん、これは完全に馬鹿げています。しかしこの調査では、現代文化の羨望的な性質を裏付ける他の結果も得られたのです。
例えば、スター級の人たちと一緒にいる中でただのイケメンでいるよりも、誰も魅力的だと思われないグループ内で平均的な容姿でいる方がマシだという意見がありました。
教育に関しては、親は優秀な生徒が集まるクラスで賢い子供を育てるよりも、愚か者が集まる中で平均的な子供を育てる方が良いと答えたのです。
いったい何が起こっているのでしょうか。
サイエンティフィック・アメリカンのコラムニストであるマイケル・シャーマーは、著書『The Mind of Market』の中で、「私たちの幸福感は、他人が持っているものと比較したときの位置的・相対的な順位に基づいている傾向がある」と論じています。
これでは誰も幸せになれません。
しかし政治家やメディアは、私たちが「ひどい経済的不平等」の時代に生きていると主張し続け、火に油を注いでいます。
もし総所得の中で大きな割合を占めている上位1%の人々が羨ましいと思うなら、鏡の中の顔に向かって怒るべきなのかもしれません。
Webサービス「Giving What We Can」(https://howrichami.givingwhatwecan.org/how-rich-am-i)(収入もしくは資産を入力することで、自分が世界でおよそ何番目に「リッチ」であるかがわかるWebサービス)などで調べてみても、世界のトップ1%に入るためには、わずか3万2,400ドルの年収しか必要ないと言われています(世界銀行によると、30億人以上の人々が1日2.5ドル以下で生活しています)。
つまり、米国の平均的な学校の先生、会計士、正看護師、警察官などは、世界の1%に入ることができるということです。
おめでとうございます。では、政府があなたの収入を残りの99%の人たちに再分配するためには、どうすれば良いでしょうか? (あなたが経済的平等や社会的正義を強く支持しているのは素晴らしいことです)
現在の貧困層は、歴史的に見ても豊かです。貧困ラインの下で暮らすほとんどの米国人は、平均的なヨーロッパ人よりも大きな住宅に住んでいます。
歴史的に見れば、貧しいということは生きていくのに十分なカロリーを得るために苦労しなければならないということでした。しかし今日では、問題はその逆です。肥満、それも病的な肥満が、貧困層に医療危機をもたらしているのです。
現在、米国の貧困ライン以下の平均的な生活者は、電話、車、テレビ、室内トイレ、セントラルヒーティングやエアコンを持っています。1世紀半前には、最も裕福な悪徳資本家も、このような豊かさを夢見ることはできませんでした。
しかし私たちは未だに1%の富裕層と比較することで自分たちを不幸にしています。もっと言えば、1%の10分の1の超裕福層と比較することで…。
ビル・ゲイツはワシントン湖を見下ろす6万6,000平方フィートの豪邸に住んでいます。ウォーレン・バフェットは、プライベートジェットで国中を飛び回っています。オラクルの創業者であるラリー・エリソンは最近、453フィート、82部屋のヨットをハワイで6番目に大きい島の所有権と交換しました。
しかし、だから何だというのでしょう?
私たちの弱点の中で、嫉妬ほど下らないものはありません。嫉妬は私たちに満足感を与えず、時間を無駄にし、そして私たち自身の尊厳に対する侮辱となるのです。
最悪なのは、それが完全に自己責任であるということです。
小説家のオノレ・ド・バルザックは、「羨望は最も愚かな悪である」と書いていますが、それは「羨望から得られる利点が何もないから」です。
私たちは皆、より賢く、より健康で、より金持ちで、より面白く、より才能があり、より格好良い人を知っています。しかし、それがどうしたというのでしょう?
人と比べる考え方をしていると、あなた自身の個性や自尊心を認められなくなってしまいます。しかし、この個性や自尊心が強い目的意識と結びつくことで、大きな幸福へとつながるのです。
目的を持って行動することで、妬みから抜け出し幸せになるための4つの方法をシャーマーは指摘しています。その4つの方法とは、
1) 深い愛情と家族への献身
2) 意義のある仕事やキャリア
3) 社会や政治への関与
4) 超越性と精神性
心理学者は、他人と比較することで幸せになる方法をまだ発見していません(たまには自分の理想と照らし合わせてみるのも悪くないかもしれませんが)。
自分の財を築くことに集中し、他人の財を改善することは、隣人を評価するよりも満足感が得られるはずです。
ましてや相手の立場がわかれば、自分の立場の方が良いと思うかもしれません。
相手の恵まれた環境を恨むのは簡単です。しかしそれよりも、自分に与えられたものを大切にする方が意味のあることではないでしょうか?
良い投資を。
アレックス
関連