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だから、ビットコインは買うな!

この数ヶ月間、世界中でもOxford クラブの我々アナリストの間でも、ビットコインについて激しい議論が交わされてきました。

私の同僚の特に若い人たちの中には、銀行にお金を預けたり、借入したり、消費したりする方法は暗号資産によって大きく変化するだろうと純粋に信じている人もいます。

一方で、それはでたらめだと考える人もいて、私はそのうちの1人です。

ビットコインやブロックチェーンが本物のイノベーションではないと言っているのではありません。それは、もちろんその通りです。

政府は不当な支出とそれに伴う赤字およびインフレによって、政府が発行する通貨(不換通貨)の価値を下げてきた長い歴史があります。

しかしビットコインをはじめとする独立した通貨においては、国家による堕落は起こり得ず、これは注目すべき進展です。よって暗号資産はこれからもずっと続いていくでしょう。

だからといって、ビットコインが現在の市場価格である約5万ドルに近い価値があると考える理由にはなりません。

誤解しないでください。すべてのものは、誰かがそれに喜んでお金を払うことで「価値」が決まるのです。

ですが見方はすぐに変わります。

ビットコインを独自に評価するにはどうすれば良いのでしょうか。

 

他の投資とは異なり、ビットコインには売上高、業績、キャッシュフロー、簿価、配当がありません。利子の支払いや家賃収入もなければ、具体的な価値もないのです。

金や銀のような他の形態の資産も希少性、つまり制限がありますが、貴金属は分割が難しく、保管にもコストがかかり、譲渡も難しく、盗難にも遭いやすいという欠点があります。

暗号資産がよく「デジタルゴールド」と呼ばれるのは、金や銀のように、その発行上限数量が決まっているからです。しかし決定的に違うのは、暗号資産自体を創り出すことに関しては制限がないのです。実際、すでに6,000種類以上の暗号資産が存在しています。

他の暗号資産の介入はビットコインにとってリスクとなります。

ボラティリティーが低く、取引が簡単で、環境に優しい新しい暗号資産は、ビットコインを上回る可能性があるからです。

(バンク・オブ・アメリカの報告によると、ビットコインの採掘によって過去2年間で4,000万トンの炭素排出量が増加しており、これは道路に890万台の車が追加されたのと同じことになります)。

とはいえ、ビットコインは最も広く受け入れられている暗号資産であるため、4月の最高値と比べてかなり価格が下がったものの、高い評価に値すると主張する人もいます。

しかし経済の歴史には、すでに葬られた先駆者がたくさん存在します。いくつか例を挙げると、

• モトローラは最も広く使われている携帯電話だった。
• ネットスケープは最も広く使われているウェブブラウザだった。
• AOLは最も広く使われているインターネットポータルだった。
• Yahooは最も広く使われている検索エンジンだった。
• BlackBerryは最も広く使われているスマートフォンだった。

自由市場のすべてのものと同様に、ビットコインはイノベーションや競争の影響を受けやすいのですが、その中でもより大きなリスクとなるのは規制です。

現在、暗号資産による支払いを禁止している国もあれば、それを検討している国もあります。

なぜでしょうか?理由のひとつは、それが犯罪行為に広く利用されているからです。あなたがテロリスト・ネットワーク、人身売買、武器業者、麻薬集団、恐喝者、脱税者であれば、暗号資産は天からの恵みです。

すべてのランサムウェア(コンピュータウィルスの一種)の攻撃は、暗号資産、特にビットコインでの支払いを要求します。これにより、社会のコストは年間数億ドルから数十億ドルにまで膨れ上がっています。

主要国の政府がこのまま何もせずに黙っていると思いますか?

暗号資産は投機手段です。しかし多くの人々の現実的な問題を解決するものではありません。

例えば、最近アマゾンがビットコインでの支払いを開始するという噂がありました。結局これは否定されたのですが、仮にそれが事実だったらどうでしょう?

アマゾンやテスラ、あるいは他の誰かが、私の支払いをビットコインで受け付けるというのは意味がありません。

それによって何が変わるというのでしょうか?どんな問題を解決するのでしょうか?それが私の生活をどのように良くしたり、簡単にしたりするのでしょうか?

そうです、何ももたらさないのです。

また、世界には17億人の銀行口座を持たない人々がいて、腐敗した政府や自国の通貨を信用していないと指摘する人もいますビットコインはこういった人のニーズを満たすことができるのでしょうか?

すぐには無理でしょう。暗号資産はその乱高下の激しさから、銀行取引には不向きです。ビットコインは数時間のうちに価値の4分の1を失うこともあるし、実際にそうなったこともあるのです。

しかしエルサルバドルでは最近、ビットコインを法定通貨として受け入れることを商店に義務付けました。これは、素晴らしい新しいトレンドの始まりでしょうか?いや、そうではありません。

先週末、信用格付けを行うムーディーズは、エルサルバドルの信用格付けを引き下げ、特に新しいビットコイン法と「政策決定の質の低下」について指摘しました。

一般的なエルサルバドル人の運命についても考えてみましょう。

あなたが100ドル持っていて、それが朝食と昼食の間に75ドルになったと想像してみてください。そうすると、ビットコインは人生を変えるようなイノベーションとは思えないかもしれません。

(借りた相手が悪ければ、人生を変えることになるかもしれませんが)。

そして最も滑稽な暗号資産の正当性は、ウォール街の銀行が乗り気で、暗号資産をポートフォリオに組み入れるよう投資家に推奨していることです。

ここで少し私の考えをお話しましょう。私はドットコムバブルの頃、ウォール街で働いていました。

メリルリンチ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスの3社は、エンロン、ワールドコム、JDSユニフェーズなど、すべての銘柄に強力な「買い」を推奨したことで、思わぬ失敗をしてしまいました。

当時あなたがeToys.comやPets.comを買いたければ、ウォール街の人々は喜んでそれを売ってくれたでしょう。

そしてもし今日、ビットコインやイーサリアムを買いたいなら、彼らは喜んでそれも売ってくれます(運があなたに味方してくれることを祈るばかりです)。

まだ暗号資産が実体よりも誇大広告であることに納得していませんか?

では馬鹿げたドージコインをご覧ください。これは冗談で作られた暗号資産で、全く何の役にも立ちません。その最近の時価総額は900億ドル近くに達し、フォード・モーターやマリオット・インターナショナルよりも高いのです。

これはバブル以外にありえません。

ドージコインは数年後、今日の暗号資産マニアの明らかな不合理性を指摘する際に人々が引用するようなものになるでしょう。

最後に一言。

3ヶ月前のサタデー・ナイト・ライブの司会で、テスラの創業者であるイーロン・マスクがドージコインを「詐欺」と言及したのは有名な話です。

これは暗号資産の世界を表現するには悪くないと思います。

テクノオプティミスト、無政府資本主義者、そして真の信者に言わせれば、人々は暗号資産について理解していないと嘲笑し、主張するでしょう。

バークシャー・ハサウェイ社のウォーレン・バフェット会長とパートナーのチャーリー・マンガー氏は、現代の最も偉大な投資家と言っても過言ではありませんが、彼らもその「理解していない」中の人々です。

彼らはビットコインのことを「殺鼠剤」と呼んでいます。

ビットコインがあなたのポートフォリオに入っている場合には、検討してみる必要があるでしょう。

良い投資を。

アレックス

Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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