株価が下がっても利益が狙える
配当再投資を軸に資産形成を行えば、たとえ株価自体が上昇しなくても利益が狙える。むしろ株価が下がっても、株を安く買い足せるので都合がよいくらいだ。
例えば、あなたが4.7%の年配当利回りで、年10%増配する単価20ドルの株を500株(1万ドル:約100万円)買う。株は米国市場の平均ペースと同じく、年間7.84%ずつ成長するとする。配当再投資すると、10年後にこの500株は、単価42.54ドルの826株、総額3万5147ドルへと成長する。
逆に、下げ相場だった場合はどうだろう?1937年から10年間、市場は下降状態にあり、そのときの変平均下落率は2.27%である。それほど大したことないように聞こえるかもしれないが、10年後に20%以上保有銘柄が値下がりしているのを想像してみてほしい。1万ドルで買った株は7,700ドルほどになっていて、2,000ドル(20万円以上)の含み損がでているのだ。どれだけ痛手か想像してほしい。
しかし配当投資の場合、あなたは20%の損失をこうむることはない。それどころか、1万ドルの投資が10年後の下げ相場にもかかわらず、評価額1万8452ドルにまで増えているのだ!誰もがずっと損失を出していてTVでは連日株安が報じられている中でも、あなたは10年間で84%。年平均成長率で6.3%を達成することになる。おまけに、あなたの初期投資からの配当収入は毎年2400ドル近くになり、それは最初に投資した1万ドルのおよそ24%にもなる。
配当が入ってくる一方で株価は下がっていくため、株価が変わらない、あるいは上昇した場合に比べ配当再投資によってより多くの株数を手に入れられるため、複利の効果が高まってくるからだ。
株価が上昇しなくても、株数が2倍になれば評価額は倍になるし、得られる配当収入も倍(もしくは増配すればそれ以上)になる。そしてもちろん、その後長期的に株価が持ち直し上昇してくれば、安く購入したあなたの大量の株は一斉に価値があがってくる。
あなたが長期のスタンスで投資をするなら、配当再投資は市場が低迷しているときにでもあなたの資産を守って成長させる素晴らしい方法だ。むしろ低迷期は優良株を安く買い足せるので、株価が下がればいいのに・・・と思うべきかもしれない。
もちろん心理的には不安になることもあるだろう。株価が下がればメディアもネガティブなニュースばかり流す(もっとも、株価が上がっても「バブルだ」「もうすぐ暴落する」とネガティブな結論を付けたがるのだが)。買った株が買った値段よりも下がっていくのは、誰も見たくないものだ。しかし感情を音吐かせ、割安な株価は自分の資産形成を早める手助けになることを理解していれば、10年後、20年後、30年後、株を売却する時期までに株価が反転しさえすれば、今月、今年、株価が値下がりしていたところで、本当はどうでもいいことなのである。
ウォーレン・バフェットも学んだ投資の名門ウォートンスクールの教授「ジェレミー・シーゲル」はこう言った。
「配当は下落相場ではブレーキになり、上昇相場ではアクセルとなる。」
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