
「もし3年後に市場が50%下落しても、その変動に耐えられる?」
これは数年前、私が従兄弟のデイブに投げかけた質問です。
心配性な彼は株式投資に大きく偏った資産配分について、私のアドバイスを求めていました。長期投資を前提にしつつも、弱気相場や急落への不安を抱えていたのです。
私はまず、歴史的データに基づく長期投資の優位性を説明しました。
代表的な歴史データ:
- 市場は長期的には上昇する傾向がある
- 1937年以来のデータでは10年間の93%がプラス
- 10年間で損失となった唯一のケースは、大恐慌やリーマン・ショック直後の底で売却した場合のみで、パニック売りを避ければ損失の可能性は極めて小さかった。
しかし、数年後に市場が下落してポートフォリオが30%も減ってしまったとき、多くの投資家は理屈通りに考えることができなくなるのです。
これは「リスク許容度のギャップ」と言われます。
(注:私は近い将来に弱気相場が来ると予測しているわけではありません。水晶玉を持っているわけでもありません。ただ、重要なのはどんな投資家にも必ず弱気相場が訪れる という前提で、心の準備をしておくということです。)
私はデイブに、「毎年配当を増やし続ける銘柄」や「インデックスファンド」、
「アクティブ運用の投資信託」といった各種投資戦略について話しました。
それぞれのメリット・デメリット、
そして自分で運用する場合とアドバイザーに任せる場合の違いも説明しました。
リスク許容度が投資成果を左右する
さらに、奥さんとも「もし市場が下落したとき、自分たちはどうするのか」
を率直に話し合うよう勧めました。
つまり、弱気相場での行動計画です。ボラティリティに耐えられるか否かを互いに確認しておかなくてはいけません。
そうでなければ、
「S&P500種株価指数の過去40年間で、10年間の平均トータルリターンが140%だった」
という歴史的な事実も意味を持たなくなってしまうのです。
リスク許容度を自覚しないまま投資すれば、
相場が下落したとき、多くの投資家と同じように弱気相場の底付近で売ってしまうことになりがちです。
2008年に「大損した」と話す人の多くは、
実際にはパニックに陥り、安値で売却してしまった人たちでした。
もちろん、あのときの恐怖は理解できます。
実際、私たちは「金融の世界的崩壊寸前」まで追い込まれていたと言っても過言ではありません。
しかし、パニック売りをせずに持ち続けた投資家は、
その後、比較的早く資産を取り戻しました。
たとえ2007年の最高値で買っていたとしても、
2013年初めにはポートフォリオはほぼ元の水準に回復していたのです。

本当に“打撃に耐えられる”のか?
株価が順調に上昇しているときは誰もが理性的で、
「長期投資だから大丈夫だ」と言うのはとても簡単です。
しかし、マイク・タイソンの有名な言葉があります。
「誰もが計画を持っている。顔面を殴られるまでは」
弱気相場という「パンチ」を受けると、多くの投資家はその理性を失ってしまいます。
2008年の金融危機を経験した人は、あの暗い日々を思い出してみてください。
もしあのような暴落が再び訪れたとして、冷静に耐えることができるでしょうか?
【まとめ】リスク許容度を知る
当時投資していなかった人も、
ポートフォリオが半分に減る状況を一度想像してみてください。
その損失を取り戻すだけの時間はありますか?
夜、ぐっすり眠れますか?
心理的な打撃に耐えられますか?
もしこれらの質問のどれか一つでも「いいえ」なら、それはリスク許容度と資産配分を見直すきっかけです。
ポートフォリオの一部を債券やCD(譲渡性預金)などの安全資産へ移すことを検討すべきでしょう。
一方、下落に耐えられると判断できる人は、安心して市場に居続けてください。
歴史が示すように、長期的に見れば株式市場は必ず上昇してきたからです。
P.S.
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