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投資情報 | 世界一シンプルなポートフォリオ


「手間に対するリターン」という視点が教えてくれるもの


公認会計士であり著名な作家でもあるミッチェル・ボールドリッジ氏は、よく重要な投資の考え方について言及します。

彼はそれを「手間に対するリターン(return on hassle)」と呼びます。

この考え方は、「投資に伴う時間や労力もリターンの一部として考慮すべきだ」というものです。

例を挙げましょう。

42年前、私はオーランド中心部にある2世帯住宅を購入しました。

すぐ近くには拡張を続ける病院があり、病院が大きくなればいずれ私の家も高値で買い取ってもらえるだろうと考えていたのです。

しかし、それは実現しませんでした。

その間、大家としてあらゆる問題に直面しました。

空室、シロアリ、雨漏り、修繕トラブル、家電の故障、家賃を払えない入居者…

そして最悪だったのは、家賃を払えないのに退去もしない入居者です。

私は常に電話で対応したり、現地に行って問題に取り組んでいました。

最終的にその2世帯住宅を「大きな損失」で売却したとき、私は契約書にサインしながら小躍りしたい気分でした。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの言葉を借りるなら、「ついに自由だ。神よ感謝します、ようやく自由になれた」と。

それが私にとって最初で最後の不動産投資の経験でした。

私は手先が器用でもなく、自由時間も少なく、何より夜や週末に不満を抱えた入居者と向き合う気はありません。

どんなに利益が出そうでも、「手間に対するリターン」が私に合うとは思えません。

小規模ビジネスのオーナーも、同じような苦労を語るでしょう。

売上の低迷、高コスト、予期せぬ支出、信頼できない従業員、不満を抱えた顧客、盗難、壊れたシステム、不誠実な取引先、激しい競争、そして山のような規制(地方・州・連邦レベル)…

さらに「小売業の宿命」も忘れてはいけません。

店には常に自分か信頼できる誰かがいなければならないのです。

正直に言って、私にはそんな時間も忍耐もありません。

「手間に対するリターン」は、やはり自分には向いていません。(しかも、新しいビジネスの5件中4件は数年以内に失敗すると言われています。)

実際のところ、ほとんどの人には、成功するビジネスを自分で始め運営するための時間・資金・経験が足りません。


株式市場が提供する圧倒的な「手間の少なさ」


それでも私たちは、資本主義の本質である「株式市場」を通して優良企業の一部を所有することができます。少額の資金さえあれば、誰でも世界最高の企業に出資できます。

しかも簡単です。

マウスをクリックすれば「購入」、もう一度クリックすれば「売却」。(典型的な不動産取引と比べてみてください。)

会社の一部を所有するのは、会社を経営するよりはるかに簡単です。

▼会社の一部を所有するのに不要なもの

  • 個人保証の署名も不要
  • 従業員の採用や解雇も不要
  • 規制対応や弁護士・会計士への支払いも不要
  • 出勤する必要すらありません

どれだけ素晴らしい仕組みでしょうか。

ウォーレン・バフェット氏が言ったこんな有名な言葉があります。

「株式市場はこんなに簡単だ。他のことを試す理由がどこにある?」

まさに「手間に対するリターン」の核心を突いた言葉です。

とはいえ、バフェット氏は並外れた天才であり、彼のようなリターンを得られる投資家はそう多くありません。

多くの投資家はインデックスファンドを選びます。

バフェット氏自身もそれを推奨しています。


【まとめ】「世界一シンプルなポートフォリオ」が示す未来


そして 私の著書『バケーションポートフォリオ戦略』では、10種類の資産クラスを代表する10のインデックスファンドに分散投資する方法を勧めました。

あとは毎年、値上がりした資産を売却し、値下がりした資産に資金を回すだけでリバランスが完了します。

この戦略は非常にうまく機能し、リスクを抑えつつ高いリターンをもたらしました。

2002年に10万ドルを投資していれば、現在は60万ドルを超えています。

長年にわたり、私はこの戦略について2種類の反応を受けてきました。

1つは「こんなに簡単に高度な投資ができるなんて信じられない」。

もう1つは「それでも私には難しすぎる」です。

どうやら多くの人が、分数の計算に苦手意識を持っているようです。(リバランスの際にはその計算が必要になります。)

私の新著『The American Dream: Why It’s Still Alive… and How to Achieve It』では、この2番目のグループ、つまり「数字が苦手な人たち」に向けて、できる限りシンプルな投資法を紹介しています。

私はそれを「世界一シンプルなポートフォリオ」と呼んでいます。

このポートフォリオは完全に流動的で、幅広く分散され、適切に資産配分・税管理されており、経費率はわずか0.08%(1,000ドルあたりたった80セント)です。

「買って保有する」という一つの決断だけで、実践的で効果的な投資戦略が成立します。

最低投資額は1,000ドル。追加投資は1ドルから可能です。

経験豊富な投資家たちも口をそろえて言います。

これ以上に優れた「手間に対するリターン」を提供する方法はありません。

この「世界一シンプルなポートフォリオ」については、私の新著で詳しく説明しています。

そして別の機会にその魅力をさらに掘り下げる予定です。

P.S.

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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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