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投資情報 | メタ急落の裏で恩恵を受ける企業とは?


投資家を震撼させた”止まらない支出”


ある企業が、投資家に“この10年で最も恐ろしいハロウィンの悪夢”を与えました。

それはフェイスブックを生み出したメタ・プラットフォームズ (Nasdaq: META) 。

株価が10月末に急落したのです。

出所:Trading View

理由は、スキャンダルでも急な業績悪化でもありません…

それは、メタを率いるマーク・ザッカーバーグ氏が「支出」をやめられないことです。

彼の率いるソーシャルメディア帝国は、2025年の設備投資の下限を660億ドルから700億ドルに引き上げました。

上限は720億ドルのまま変わっていません。

つまりこれは、同社がすでに莫大な予算を“ほぼ上限”まで使う可能性が高くなったことを意味しており、ウォール街は恐れおののいているのです。

しかし、本当に背筋が凍るのはこの動きがメタだけではないということ。

マイクロソフト (Nasdaq: MSFT) でも同じような状況が起きています。

同社の設備投資は、前四半期に過去最高の350億ドルに達しました。

しかもこれは、CFOのエイミー・フッド氏が“支出ペースを落とす”と発言してから わずか数か月後のこと。

それにも関わらず、このテック界の巨人は再びアクセルを踏み込みました。

さらにアルファベット (Nasdaq: GOOGL) は、
その設備投資の急増ぶりでほかを圧倒しています。

経営陣は現在、AI構築マシンに最大920億ドルを投じる予定です。

これは、企業史上最大級の設備投資額。

この話が“正気の沙汰ではない”ように聞こえるなら、あなたは間違っていません。

ですが、これは無秩序な暴走ではありません。

“生存本能”です。

そして、これがなければ米国経済はもっと深刻な状態に陥っていたでしょう…


米国経済をギリギリで支えている“生命線”


もしAIブームがなかったら、今の米国経済は“見た目だけ立派で、中身は崩れかけている状態”だったかもしれません。

ウォール街のエコノミスト、BNPパリバのジェームズ・エゲルホフ氏とハーバード大学のジェイソン・ファーマン氏は、共通してこう言っています。

「AIがなければ、米国経済は成長どころか失速していた」

エゲルホフ氏は、
「人工知能が、米国を景気後退から救った」
と述べています。

ファーマン氏は、
「AI関連の設備投資がなければ、第2四半期のGDP成長率はほぼゼロまで落ち込んでいた」
と指摘しています。

これは無視できる話ではありません。

むしろ、“非常事態を知らせる赤い警告灯”のような数字です。

いま企業は、未来の夢やイノベーションのために投資しているのではなく、 「経済を止めないために仕方なく投資している」という状況なのです。

  • エヌビディア (Nasdaq: NVDA) が高性能チップを出荷するたび、
  • グーグルが新しいデータセンターを作るたび、
  • メタがサーバーを増やすたび、

など…

これは“未来への投資”ではなく、
「米国経済の呼吸をつなぎ止めている行為」
になっています。

バンク・オブ・アメリカ (NYSE: BAC)
「この夏のGDP成長率のうち、1%以上がAI関連の設備投資によるもの」
と算出した時点で、この状況は“成長”ではなく

「生き残りのための投資」
へと意味を変えました。

AIはもう「新しい成長テーマ」ではありません。

いまの米国経済を支えている“唯一の柱”になっているのです。

ゴールドマン・サックス (NYSE: GS) の分析によると、

  • アルファベット
  • アマゾン(Nasdaq:AMZN)
  • メタ
  • マイクロソフト

といった“ハイパースケーラー”と呼ばれる巨大企業だけで、
S&P500種株価指数の企業全体の設備投資の 4分の1以上 を占めています。

これらの企業は、2025年にAIへ合計3,800億ドルを投じる計画です。

これは、いくら米国経済が大きいとはいえ、
特定の少数企業に投資が偏りすぎている危険な状態を意味します。

本来経済は、「消費者の支出」によって動くはず。

しかし今は、消費者よりも、
巨大テック企業と、その機械(サーバーやチップ)
のほうが、経済を動かしているのです。

彼らがデータセンターやサーバーに莫大な資金を投入するたび、
株式市場は歓迎ムードになりますが…

そして、忘れてはいけないことがあります。

それは、どれだけ設備を増やしても、
その分の“需要”が必ず生まれるとは限らないということ。

つまり、AIインフラへの巨額投資が
そのまま本業の売上や利益につながる保証はどこにもない、
ということです。

そして数千億ドル規模のこの投資の恩恵を受ける企業も、
実際には、ほんの一握り。

AI関連の“巨大な金の流れ”は、特定の企業に極端に集中しているのです。


小型企業に訪れている“大チャンス”


AI向けの設備投資は、米国内で9,230億ドルの経済規模を生み出し、
約300万人の雇用を支えると予測されています。

そのインパクトは、むしろ“誇張しようとしてもできないほど”大きいものです。

そして今、この巨大なお金の流れは、
シリコンバレーの大企業だけでなく、

 

  • 部品メーカー
  • 建設会社
  • 電力インフラ会社

など、多くの中堅・小型企業にも利益をもたらしています。

これらは、AIインフラが急速に整備されていく過程で必ず必要になる“裏方”の企業で、 すでにこの1兆ドル級の投資ラッシュの恩恵を受け始めています。

いまウォール街では、
「ビッグテックのAI投資ブームはいつか失速するのでは?」
という不安も語られていますが、
本当に注目すべきなのは、その“周辺にいる企業”です。

彼らは、

  • AIサーバーをつくり、
  • データセンターの土地や建物を提供し、
  • 莫大な電力を供給する

という“AIインフラの土台”を担う存在です。

AI経済の成長は止まる気配がなく、
その裏側でこれらの企業が欠かせない役割を担っています。

だからこそ今は、派手なニュースや大企業の株価変動に振り回されず、
「その巨額資金が、最終的にどの企業へ流れ込んでいるのか」
に目を向けるべき時なのです。


【まとめ】AIゴールドラッシュで本当に勝つのは誰か


結局のところ──

この時代のAIゴールドラッシュで本当に勝つのは、
金を掘りに行く人ではなく、“ツルハシとシャベルを売る企業”だからです。

 

マシュー・カー

〜編集部〜

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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