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米国配当株投資 | 数字のマジックに惑わされるな── “利益”の落とし穴

投資判断をするとき、多くの人が真っ先に見るのは「利益」です。

決算発表で利益が予想を上回れば株価は上がり、下回れば下がる。

これは投資の世界ではよくある光景です。

実は、利益だけを頼りに投資判断を下すのは危険であるということについてご説明したいと思います。


利益だけを信じるのは危険な理由


私がセルサイドアナリスト*として働き始めた頃、毎日のようにExcelで財務モデルを作っていました。

*証券会社や調査会社に所属し、株式や債券などの金融商品の調査や分析を行い、その結果を顧客に提供する専門家

その中で気づいたのは、減価償却費や発行済株式数といった、事業そのものに大きな影響を与えない項目を少し調整するだけで、利益の値が大きく変わってしまうということでした。

つまり、経営者は利益を比較的簡単に操作できるということです。

私たちの家計に例えてみましょう。

住宅ローンの利息や通勤費などによって、課税所得は調整できます。しかし、それが生活のゆとりを正しく表しているわけではありません

例えば、家族に貸していた1,000ドルが返ってきても、税務上は収入には当たりませんが、手元のお金は確実に増えます。

企業にとっても、帳簿上の利益と実際の経済的価値は、必ずしも一致しないのです。

ペーサーETFsの34年間の調査も、このことを裏づけています。

同社は、企業の時価総額や負債で調整した独自の指標を用いて、その企業が生み出すキャッシュを算出。すると、上位10%に入った企業が最も高いリターンを実現し、株価のパフォーマンスもその順位に沿ったものでした。


企業の真価はキャッシュにあり


半導体メーカーのブロードコム (Nasdaq: AVGO) は、その典型例です。

ブロードコムの利益と投資リターンの事例:

  • 2016年
    ブロードコムは17億ドルの赤字を計上
    一見すると「危ない会社」と思われかねない状況
  • 2019年・2024年
    それぞれ78%減益58%減益と利益は大幅に減少
    それだけを見れば投資を避けたくなる水準
  • 投資成果
    もし1万ドルを投資していたら、33万9,986ドルに増加

つまり、利益の乱高下に惑わされず企業の本質を見極めた投資家だけが、大きなリターンを得ることができたわけです

もちろん、利益は、投資判断において欠かせない要素です。

とはいえ、それだけに頼るのは危険であ理、場合によっては赤字企業の方が投資妙味を秘めていることすらあるのです。


【まとめ】充実したツールボックスを持つ


多くの投資家が「利益が低いから」と見向きもしない銘柄の中に、実は大きな成長余地を持つ企業が隠れていることがあるのです。

だからこそ、投資家は利益以外にも複数の指標をツールボックスに加えるべきです。

そうすることで投資判断の精度は高まり、結果として投資パフォーマンスの向上につながるでしょう。

 

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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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