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金融情報 | 13回の関税発言、振り回されないためには


トランプ政策への見解と市場への期待


過去数年にわたって、私は読者の皆さんに繰り返しお伝えしてきました。

「マーケットタイミング、つまり、株を売って現金に変えたり、また買い直したりしてタイミングを狙うやり方は、うまくいかないんです。」

もちろん、たまにはうまく当たることもあるでしょう。

でも、それを“毎回正確に”当て続ける人なんて、誰一人いないのです。

つまり、市場が大きく上昇し始めたときに、タイミング投資家は“蚊帳の外”に置かれてしまう運命にあるということです。

そして、ここ数カ月はまさにその典型例でした。

トランプ大統領が関税を課すと脅したり、実際に課したりするたびに、市場は売られました。

一方で、彼が関税を先延ばしにしたり、軽減したり、あるいは交渉で取り下げたときは、市場は反発して上昇しました。

今年の就任以来の関税の動きを見てみましょう。

▼関税タイムライン

  • 2月1日:トランプ政権がメキシコ、カナダ、中国への関税を2月4日から実施すると発表。
  • 2月3日:メキシコとカナダへの関税を延期。一方で、中国には10%の関税を適用。
  • 2月13日:「報復関税」プランを発表。4月2日ごろの実施を予定。
  • 2月26日:EUは「アメリカを損させるためにできた」と発言し、EUに25%の関税を再び示唆。
  • 3月4日:カナダ・メキシコに25%、中国に追加で10%の関税を実施。
  • 3月6日:カナダ・メキシコの一部商品は対象外に。ただし、中国への関税は継続。
  • 4月2日:「リベレーション・デー」として世界中に10%の関税、さらに“最悪の国”には追加措置。
  • 4月11日:消費者向け電子機器は多くの国で関税対象外に。ただし中国製には20%の関税が残る。
  • 4月23日:12の州がトランプ関税に対し、議会を経ていないため違法とする訴訟を起こす。
  • 4月29日:自動車とその部品への関税を一部緩和する大統領令に署名。
  • 5月12日:米中で合意し、中国製品への関税は145%→30%、米国製品への関税は125%→10%に90日間引き下げ。
  • 5月28日:国際通商裁判所が一時的に関税を停止。「IEEPAは大統領に無制限の権限を与えるものではない」との判断。
  • 5月29日:控訴裁判所がこの停止命令を一時保留し、関税の行方は不透明に。

なんという数の「課税→延期→緩和→交渉」でしょう…

さて、ここで質問です。

この展開を事前に“予測できた人”がいたでしょうか?

答えはもちろん、「誰もいない」です。

では、「大半を予測できた人」は?

やはり、「誰もいません」。

つまり、市場の下落とその後の回復を“正確にタイミングよく当てる”なんて、不可能だったのです。

それでも、Oxford Clubの会員たちは、この期間にしっかり利益を上げることができました。

なぜでしょう?

答えは、「最悪の関税は長続きしない」と理解していたからです。

私は4月7日、株価が大きく下がっている最中に、会員の皆さんにこう伝えました。

「私は2017年の減税延長、規制緩和、エネルギー自立、政府の無駄や不正の排除というトランプの政策に賛成です。

しかし、関税については“自滅的な行為”だと思っています。おそらく、この関税は延期・軽減・撤回、あるいは交渉によって消えるでしょう。

なぜなら、すべては“一人の人間の気まぐれ”で決まるからです。

それでも、私は信じています。“理性が勝る”と。そして関税は最終的に撤廃されると。


市場の急落をチャンスと捉える


それが数日なのか、数週間なのかはわかりません。

ただ、恒久的な関税というのは、どう考えてもよくはないです。

だから私は『いずれ消える』方に賭けています。

たとえトランプが『関税撤廃は自分の計画通り』と勝利宣言したとしても、私は構いません。

それによって、今回の株価下落が“振り返れば過剰反応だった”と見直されるなら、それで十分です。

だからこそ、この急落を『買いのチャンス』と考えるのです。トランプは株価を、自分の大統領としての“成績表”のように見ています。(逮捕時の写真を選挙ポスターにしてしまう男を、甘く見てはいけません)

この前提をもとに、私たちはこの数週間で下落した銘柄を十数社、割安なうちに買いました。


投資判断の成果と他者との違い


そして今、それらの株は大きく上がっています。中には2カ月足らずで85%も上昇した銘柄もあります。

「リベレーション・デー」(世界中に10%の関税をかけると発表した日)以降、多くの投資家が右往左往しました。

パニックになって売ってしまった人。

何もせず様子を見ていた人。(あるいは、「もっと安くなってから買おう」と待っていた人も)

でも、私たちは違いました。

“チャンス”だと判断し、しっかり優良銘柄を仕込んだのです。

そして今、しっかりと報酬を受け取っています。


【まとめ】市場の原則に従った長期的視点


もちろん、私たちはマーケットタイマーではありません。

トランプが次に何をするかなんて、全く予想していませんでした。

市場がどのくらい早く回復するかも、わかりませんでした。

でも、私たちは“長年実証されてきた原則”に従って投資しています。

歴史が教えてくれるのは、「市場が暴落したときに、優良な資産を安く買うのが最も賢い選択である」ということです。

もちろん、「もう少し下がるまで待つ」という選択もできます。

しかしそれは“市場のタイミングを計る”という行為であり、うまくいかないのです。

結論、資産が安くなっているときに、“のんびりしていて投資ができなかった”なんてことはしないようにしましょう。

P.S.

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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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