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米国配当株投資 | この高配当株は“買い”と言えるか?


配当の安全性


数週間前、読者の方からファイザー (NYSE: PFE) について意見を求められました。

ファイザーは大手企業にしては珍しく、高い配当利回り(7%)を誇っています。

しかし私は、この銘柄が「バリュートラップ」(割安に見えるが実は投資価値が低い株)ではないかと考えているのです。

というのも、今後10年間は利益が減少していくと予想されているからです。

株価も2021年後半の最高値をつけてから、3年半近く冴えず、今ではその半分以下の水準で取引されています。

とはいえ、高配当が魅力的で、インカム投資家(配当重視の投資家)にとっては気になる銘柄でしょう。

では、その配当が本当に安全なのか、詳しく見ていきましょう。


キャッシュフローと配当性向


キャッシュフローの観点から見ると…

ファイザーは、コロナワクチンで得た一時的な成功の反動を受けています。
2021年と2022年には莫大なフリーキャッシュフロー(手元に残る現金)を稼ぎましたが、それ以降は激減。

  • 2021年:約299億ドル(ピーク)
  • 2023年:わずか48億ドル(大幅減)
  • 2024年:98億ドル(やや回復)
  • 2025年:177億ドル(予想、大幅回復)

一見すると回復基調に見えますが、ここ3年のキャッシュフローが減少傾向だったことが「配当の安全性評価」にマイナス点を与えています(来年にはこのマイナスは解消される見込み)。

配当性向の観点で見ると…

2023年、ファイザーは98億ドルのフリーキャッシュフローのうち、配当として95億ドルを支払いました。

つまり、配当性向(利益のうち配当に回した割合)は97%。

これはかなり危険な水準です。

ただし、2025年にキャッシュフローが予想通り大きく伸びれば、配当性向は54%程度に改善する見込みです。これは健全な水準と言えます。


【まとめ】増配実績に注目


同社はリーマンショックの時に一度配当を半減させましたが、2010年以降は毎年増配を続けており、16年連続の増配実績があります。

これは配当の信頼性を高める要素ですが、次のようなシナリオが考えられます。

  • もし2025年のキャッシュフローが予想通りなら、同社の配当は安全
  • 一方、2024年のような水準が続くと、再び配当性向が危険水準に戻り、配当の維持が厳しくなる可能性が生じる。

現時点では、配当が減らされる可能性は低く、株価よりも配当のほうが良好な状態だと言えるでしょう。

P.S.

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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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