
お金の価値と社会的評価のズレ
私はお金に関する根本的な問い――「どれだけあれば十分なのか?」について何度かコラムで書いてきました。
このテーマには様々な意見があり、前回のコラムでも読者から多くの反響が寄せられました。(実用的な視点、政治的な観点、哲学的な考察など、まさに“知恵の宝箱”でした。)
競争が激しくなる現代社会では、お金によって「能力」「成功」「人としての価値」が測られてしまうと感じている人もいます。
ただ、私の考えでは、これは間違っているどころか、非常に不快なことです。
ソーシャルワーカーや看護師、高校のバスケットボールコーチ、Navy SEALs(アメリカ海軍特殊部隊)など、驚くほどスキルの高い仕事をしていながら報酬の少ない人たちはたくさんいます。
多くの人が「今の生活」と「理想の生活」のギャップを感じており、「お金があればそのギャップを埋められる」と思っています。
確かに、お金は人生の中心的なテーマです。
欲しいもの、必要なものがあって、それを手に入れるにはお金が必要です。
お金を稼ぐことに対し、明確な目標としている人もいれば、そうではない、むしろお金なんて重要ではない、と考える人もいます。
とはいえ現実には、多くの人が“足りない気がする”、 “この先なくなるかもしれない”と不安を感じながら生きているのです。
私たちお金のある側の人(生まれが貧しかったとしても)は、時に「お金がない苦労」を忘れがちです。
調査によると、アメリカ人のほとんどが、給料をほぼすべて使い切っており、給料日前は常にストレスにさらされています。
これは貧困層や中間層だけの話ではありません。
不動産業で働く友人は、高級住宅地に住む多くの住民が「あと2回ローンを払えなければ破綻する」と言っていたのには驚かされました。
お金があれば、大切な人を助けたり、社会のために行動したり、夢を実現することもできます。
一方で、お金が原因で職場の人間関係を壊したり、家族や友人関係にヒビがはいったり、離婚の原因にもなるのです。
お金に余裕のある家庭だとしても、「いくら使うか」「いくら貯めるか」「どう増やすか」で意見が食い違って、夫婦喧嘩になることもあります。
資産とは何か――収入では測れない本当の“豊かさ”
こうした投資コラムを読んでいるあなたは、すでに多くの人よりもお金を持っている(もしくは、これから持つ)可能性が高いはずです。
ここで大事なのは、給料や貯金ではなく、「資産」つまり、いかにお金を増やし、減らさずにいくかという点です。
はっきり言っておきましょう。
資産とは「収入」ではありません。
▼資産とは、「今あなたが持っているもの」
- 株
- 現金
- 不動産
- 貴金属などの金融資産
「お金持ちとはいくら持っている人か?」と聞かれると、多くの人が100万ドル…300万ドル…2000万ドル…(1億〜20億)といった具体的な数字を挙げます。
私自身、子どもの頃は「100万ドル持っている人=とんでもない金持ち」と思っていました。
もちろん今でも大きな金額には違いありませんが、もはや珍しい額ではなくなりました。
インフレと社会全体の豊かさの上昇により、「純資産100万ドル(=資産から負債を引いた額)」を持つ人は、現在では普通になりつつあります。
市場調査会社のSpectrem Groupによると、2016年末の時点でアメリカには1080万世帯の「ミリオネア(資産1億)世帯」が存在していました。
これは9世帯に1つの割合です。(しかも2017年は株価も不動産もさらに上昇したため、数はさらに増えているはずです。)
では、ミリオネアたちは満足しているのでしょうか?
それとも「もう十分持っている」と感じているのでしょうか?
実はそうでもありません。
UBS証券の2013年の調査によれば、100万ドル~500万ドルを持つアメリカ人のうち、「自分は富裕層だ」と感じている人はわずか28%しかいませんでした。
どれだけ持っていても、他人がさらに持っていることを知ると「自分は足りない」と感じてしまう人もいます。
フォーブス(アメリカの有名なビジネス誌)の長者番付に載るような人でさえ、自分が何位かを気にしています。
【まとめ】あなたにとっての「十分」とは何か?
必要な金額というのは、住んでいる場所、家族の人数、生活コスト、旅行や高級品への欲求などによって大きく変わります。
高級なモノや体験は、もちろん“必需品”ではありません。
私自身、そういったものがない環境で育ち、今でもなくても困りません。
実際、私が最も楽しかった時期の1つは、20代の貧乏な独身時代でした。(幸いにも、車の種類よりもバーベキューの腕前を重視してくれる女性も世の中にはいます。)
「どれだけあれば十分か?」それを決めるのは他人ではなく、あなた自身です。
私の考えでは、
「自分の人生を、自分の望む形で生きられるなら、それこそが“本当の豊かさ”」
だと思っています。
P.S.
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