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トレンド投資 |トランプ関税が “自分の首を絞める”?


トランプ政権発足後1か月


ドナルド・トランプ大統領就任から1か月が経ち、ほとんどの米国人はすでに疲れ果てています。

トランプ氏は、ホワイトハウスでの現職就任後10日間に、歴代の大統領が就任後100日間に署名したものよりも多い数の大統領令に署名したのです。

これらの行動を通じて、米国政府の全面的な改革を行ない、世界における米国の地位を再形成しようとしています。

そして、同大統領の得意とする戦略、関税の賦課は、連日のようにニュースの見出しを飾っているのです。

つまり、米国国内および海外の投資家は、自らの戦略を適応させなければならないということ。

「誤爆」


トランプ関税


トランプ氏は、目まぐるしいペースで関税を発動しています。

そして、その最新の関税では原材料を標的としています。

先週、ホワイトハウスは全ての鉄鋼およびアルミニウムの輸入品に25%の関税を課すことを発表しました。

そして、この関税は2025年3月12日にすべての国を対象に課される予定です。

現在、米国は毎年使用する鉄鋼の約4分の1を輸入し、アルミニウムは全使用量のうちの半分を輸入しています。

米国が輸入する鉄鋼の半分は次の3か国から輸入しているのです

カナダ、ブラジル、メキシコの3カ国は、2024年に合わせて1,330万トンの鉄鋼を米国企業に輸出しました。

上位5か国には韓国と日本も含まれ、両国は米国に100万トン以上の鉄鋼を輸出しています。

アルミニウムに関しては、米国は毎年消費する量の3分の1しか生産していません。

つまり、輸入に頼らざるを得ないということです。

そして、貿易ははるかに偏っています。

カナダは米国にとって最大の貿易相手国であり、その差は数倍にも及びます。

実際、2位の国であるアラブ首長国連邦(UAE)の10倍近い量を米国に輸出しているのです。

さて、これらの図から分かるもう一つ重要なことは、従来からトランプ氏の標的とされてきた中国は、米国への鉄鋼とアルミニウムの輸入量はわずかだということです。


関税で恩恵を受ける国


中国は世界最大の鉄鋼生産国であり、鉄鋼消費国でもあります。
中国だけで生産される鉄鋼の半分以上を占めています。

つまり、トランプ大統領の関税の矢面に立たされることになるのは、米国と歴史的に同盟関係にある国々、つまり友好国になるということ。

そして、最大の受益者は中国であるようです。

これらの鉄鋼・アルミニウム関税の影響は、投資家がどのように調整しなければならないかを知る絶好の機会となります。

2025年だけでなく、今後4年間についてもです…

損失を被る状況

この貿易戦争で利益を得ると予想される企業は、すでに利益を享受しています。

しかし、注意も必要です。

ミシガン州とミネソタ州の五大湖地域で鉄鉱石を生産する米国企業クリーブランド・クリフス (NYSE: CLF)  の株価は、このニュースを受けて18.5%以上も急騰しました。

クリーブランド・クリフスほど恩恵を受ける企業はほとんどないでしょう。


【まとめ】「関税の勝者」を追うべきか?


関税は外国の競合企業に対する盾となり、トランプ大統領の選挙公約である「米国第一主義」を維持することになります。

▼このニュースを受けて上昇している企業

  • ニューコア( NYSE: NUE)
  • U.S.スチール(NYSE: X)
  • スチール・ダイナミクス (Nasdaq: STLD)
  • リライアンス・スチール(NYSE: RS)

また、アルミニウム生産のアルコア (NYSE: AA) の株価もこのニュースを受けて上昇しました。

もちろん、ヴァンエック鉄鋼ETF(SLX)もいます。

しかし、そのETFの保有銘柄をざっと見てみると、オーストラリアのリオ・ティント (NYSE: RIO)とブラジルのヴァーレ (NYSE: VALE)が最大となっています。

この2社でETFの約20%を占めています。

また、上位10銘柄の中には、ヨーロッパのアルセロール・ミッタル (NYSE: MT) とテナリス (NYSE: TS)  、そして韓国のポスコ・ホールディングス (NYSE: PKX) も含まれています。

この影響を理解するためには、ETFの保有銘柄を調べるのが重要である理由がここにあります。

ヴァンエック鉄鋼ETFでは、上位10銘柄の半分が関税の直撃を受けることになるからです。

しかし、もう一つの要素があります。

以前すでに、鉄鋼とアルミニウムに25%の関税が課された経験があります。

これはトランプ大統領の最初の任期中に実施されたものです。

そして、これは国内の生産者に悪影響を及ぼしました。

約半分の25%の関税が国内価格に転嫁されたのです。

これにより輸出が減少しました。

そして、国内の鉄鋼メーカーは投入コストの上昇に苦しんだのです。

トランプ氏は就任後わずか数週間で記録を塗り替えました。

そして、関税は貿易にとってマイナスであることを忘れないでください。

現在、投資家は米国の生産者の株価上昇を祝っているかもしれませんが、長期的な影響は基本的に彼らのビジネスを傷つけることになります

投資家はそれを念頭に置き、「関税の勝者」を追い求めるべきではありません。

マシュー・カー

 

〜編集部〜

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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