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利下げ間近か? 金利サイクルが市場に与える影響とは?

1970年、マーチン・ツヴァイクはウォール街で最も有名な4つの言葉を生み出しました

その一つが、「FRBと戦うな」です。

それから半世紀以上経った今でも、ツヴァイクの代表的な著書『ウォール街で勝つ』は、初心者からベテラン投資家までが読むべき本だと思っています。

そして、市場の動きと連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策との関連性に関する彼の分析は、何十年もの間、正しい考えとされてきました。

ここに記載された基本戦略には2つの部分があります。

1つ目は、「連邦準備制度理事会(FRB)が金利を引き下げ、金融政策を緩和しているときにリスクを取ること」

史上最長の強気相場は2009年3月9日に始まり、2020年2月19日のCOVID暴落まで続きました。

実際、この11年間、ナスダック総合指数は542%上昇し、S&P500種株式指数は322%上昇しています。

成長のロケット燃料となったのは、政策金利が何年もゼロに近かったことです。

FRBの金利推移

*出所:セントルイス連邦準備銀行

そして、FRBが大量の資金を供給している時期に利上げした時でさえ、計画的に利上げが行われました

2015年から2018年の間に9回、0.25%の利上げを行い、市場に衝撃を与えないよう、少しずつ利上げを予告していったのです。

そして、基本戦略の2つ目は、

「中央銀行が積極的な利上げを始めたら、リスクオフの姿勢を取ること」

暴落に備えるのです。

2022年3月16日、米国の中央銀行はインフレを抑えるために利上げを開始しました。

重要なのは、2007年以来最も速いペースで利上げを行ったことです。

前回の暴落を覚えている人は多いでしょう。

歴史は繰り返します。

2022年、FRBは0.75%、0.50%、0.25%の利上げを繰り返しました。

そして、S&P500は19.2%以上下落。

ナスダックは33%も暴落したのです。

「FRBと戦うな!」

この言葉を常に念頭に置いておくべきと言えるでしょう。

ツヴァイクの「教え」は50年以上にわたって投資家を導いてきました。

それには理由があるのです。

終わりの始まり

2023年後半、連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げキャンペーンの終了を決定しました。

それ以来、FOMCは利上げを据え置いています。

そして今、金利サイクルが間近に迫っていることが分かっているのです。
この事実を理解すること、そしてより重要なことは、この事実を受け入れることが、今後数か月、数年の間に大きな違いを生むことになるでしょう。

FRBは2年以上にわたり、インフレを再びコントロール下に置こうとしてきました。

しかし、これにはもう限界が来ているのです。

終わりは見えています。

私たちは、政府発表のデータ、月次売上高、その時々の危機への執着から目をそらし、その代わりに、次に何が起こるかに注意を向け、ポートフォリオを集中しなければいけません。

 

サイクルが終わるとき

市場に1ドルでも投資しているなら、今注目すべきデータはこれです。

私は50年近くにわたるFRBの金利決定と市場への影響をまとめました。

具体的には、米国の中央銀行の動きがナスダックのハイテク株のパフォーマンスにどのような影響を与えたかを調べたのです。

そして見つけたのがこれです。

利下げ局面では、過去10回のサイクルのうち7回ナスダックが上昇しています。

この中で、過去4回のうち3回は市場が暴落しました。

これは、2000年代初期のドットコムバブルの崩壊、2008年の世界金融危機、2020年のコロナショックがあったときです。

全体として、利下げサイクル中のハイテク株の平均上昇率は1980年以来7.67%となっています。

しかし、利下げサイクルが終わると、ナスダックの1年後のパフォーマンスは以下のようになるのです。

過去、利下げサイクル終了1年後のナスダックの平均上昇率は33.1%

しかし、ここからが本題です。

金利サイクル終了1年後の、ナスダックの平均上昇率は22.67%なのです。

これには利上げと利下げの両方が含まれています

私は2023年から、投資家が日々の市場の動きに一喜一憂するのをやめるようにと、伝えてきました。

ナスダックが今日の終値でどうなるか、明日どうなるか、来週どうなるか、来月どうなるか、などということを第一に考えるべきではありません。

注目すべきは、金利サイクル終了1年後、2年後の市場の姿です

新たな利下げサイクルが始まりに近いことは分かっています。

そして、歴史が教えてくれているのです。

ナスダックやS&P500が次にどうなるか?ではなく、次に何が起こるかに常に集中すべきなのです。

マーチン・ツヴァイクは半世紀以上も前に、なぜFRBと戦ってはいけないのかについて解説しています。

そして、それは時代を超越したガイダンスであり、私たちは今でもそれを使うことができるのです。

 

マシュー・カー

 

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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