1月は株式市場が 好調になるという“ウソ”
ウォール街には格言があふれています。
フェデラル・ホールからチャージング・ブル、ニューヨーク証券取引所、そしてストーン・ストリートに至るまで、たくさんの格言であふれているのです。
残念なことに、その格言の正確さを疑う人はそう多くありません…
“事実”として受け入れられることが多いのです。
現実のデータが誤りであることを示しているにも関わらず、何度も繰り返されることになります。
「この格言は本当に間違っているのか?」
そう反論される人もいることでしょう。
しかし、“善意”で言っているつもりが、実は誤った知識を持ったアナリストや金融評論家たちが間違ったことを伝えている場合もあるのです。
例えば、格言の一つに
「1月は株式市場にとって良い月になる傾向がある」
といったものがあります。
実はこの格言は誤りである可能性が高いのです。
1月効果のウソ
「1月は株にとって良い月になる傾向がある」
これは「1月効果」と呼ばれています。
投資家や企業は12月に年末の損失や利益を計上し、1月に買い戻しを行います。
その結果、株価は上昇し、1月は好調な滑り出しを迎えると言われているのです。
あるいは、年末のボーナスを株につぎ込む投資家がいることも、その要因と言われています。
一見すると、合理的に見えるかもしれませんが…
データはウソをつきません。
事実、2000年以降、1月は株式市場にとって最悪の月だったと言えるでしょう。
実際、これを見てください。
これは米国株式市場の平均とも言える、SPDR S&P 500 ETF (NYSE: SPY) が1月にどのようなパフォーマンスを出してきた表した図です。
これを見ると、2000年から2023年までの24年間で1月は13回もマイナスのリターンになっていることが分かります。
24回中13回ということは、約54%つまり半分以上の確率でリターンがマイナスになっていたということです…
これは勝率46%ということ。
この数値はそれほど低いというわけではありませんが、
「1月は株にとって良い月になる傾向がある」
と言われている割には、物足りない数字と言えるのではないでしょうか。
確かに、2001年、2012年、2013年、2018年、2019年、2023年を見ると、1月のリターンがプラスになっていた事実もあります。
しかし、これらの年の前月12月は多くの場合、マイナスのリターンで終わっていたことが多かったのです。
例えば、2023年1月の5.75%の上昇は、2022年12月に6.44%の損失が出た後でした。
2019年1月の9.74%の上昇は、2018年12月の10.83%という損失が出た後だったのです…
そして、過去10年間を見ても、1月にプラスのリターンが出ていたのはわずか4回。
しかも、その大部分は米国株史上最長の強気相場であったことを忘れてはいけません。
1月は新年を迎え、誰もが気持ちよくスタートしたいと思っているでしょう。
そのためにも、
「1月は株にとって良い月になる傾向がある」
といった格言を鵜呑みにするのではなく…
過去のデータをしっかり見た上で、投資判断をしていくことが賢明でしょう。
2024年を良いスタートで切るためにも、今日お伝えしたことを参考にしてみてはいかがでしょうか?
2024年があなたにとって、最高の1年になるように!
それでは、良いお年を。
マシュー・カー
P.S.
〜編集部〜
先日、Oxford クラブ代表の寺本とマシューが対談を実施しました。
この対談ではクリスマスシーズンから年明けにかけ、米国株式市場にどのような傾向があるか?をお話しています。
クリスマスは既に終わってしまいましたが、年明け以降に投資に取り組まれる上で参考にしていただける内容と考えておりますので、ぜひご覧ください。
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