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チャンピオンの思考法

前回のメールマガジンで、米国における貧富の差は「才能や努力、粘り強さではなく、運によるものだ」というニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ロバート・フランク氏の主張を取り上げました。

私の友人でフランク氏と全く逆の考えを持つ人がいます。

彼の名前はボブ・ロテラ博士。世界的なスポーツ心理学者です。

彼はオリンピック金メダリスト、テニスの世界チャンピオン、ゴルフメジャー大会84回優勝者、バスケットボールやサッカー、ラクロス選手、陸上競技のNCAAチャンピオン、そして世界最高のミュージシャンたちと仕事をしてきた素晴らしい人物です。

そしてレブロン・ジェームズ氏やローリー・マキロイ氏など、今最も優秀なアスリートの多くが、彼のコンサルティングを定期的に受けています。

またゼネラル・エレクトリック、フォード、コカ・コーラ、メリルなど、多くの世界的大企業のコンサルタントとしても活躍しています。

ボブは、卓越した存在になりたいと願う人々を支援することに生涯を捧げてきました。そして彼は、最も重要な発見のいくつかを、最新のニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー『How Champions Think(仮邦題:チャンピオンの思考法)』にまとめました。

博士はそのキャリアを通じて、「偉大な業績を残した人々は共通する多くの考え方や性格を持っている」ということを発見しました。

ここでは彼が発見した、最高の競争相手とその他の競争相手(ビジネスでもスポーツでも)との違いについて、いくつか紹介しましょう。

その1:究極の楽観主義

大きな目標を達成するには、それを「絶対に達成するんだ」という強い確信がなければいけません。

卓越した人たちは通常、目的意識の高いイメージトレーニングによってこれを実現します。楽観主義によって彼らは活力を取り戻し、自らの将来に希望を感じて懸命にアクションを起こしていくのです。

もちろん、楽観主義だけで必ず成功するということは保証できませんが、間違いなく必要な要素です。ネガティブな思考と失敗の間には、相関関係があるのです。

その2:自信に満ちたセルフイメージ

我々は皆、自分自身がどんな人間なのかというイメージを持っています。そのイメージは人生を大きく左右します。チャンピオンは自分が勝者であるというイメージを常に持っており、そのイメージを現実のものにするために人生を捧げるのです。

その3:素晴らしい習慣

卓越した人は、成功をほぼ必然的なものにするため、厳しい習慣に従っています。どこまで厳格に従うかということは十人十色ですが、習慣によって身に付く忍耐力は計り知れません。

博士の経験では、苦労している人はたいてい努力を台無しにしてしまうような習慣を持っているようです。

その4:プロセスへの揺るぎないコミットメント

優秀な人は、ただ夢を追いかけるだけではありません。その夢を実現するためのプロセスに強くこだわりを持っているのです。彼らは、ただ長く一生懸命に働くだけでなく、より賢く仕事をします。

博士が言うには、もしあなたが”最高”になることを目指していないのであれば、それは惰性で生きているようなものだと言っています。

その5:一つの目的に向かってひたむきである

チャンピオンは一般的に考えられるような充実した人生を送っているわけではありません。

偉大なビジネスリーダーであり、偉大な親でもあり、偉大なアスリートでもあり、偉大な社交家でもある…そのようなあらゆる分野で偉大になろうとしてはいけないことを知っているからです。彼らは一つのことに情熱を傾け、熱意を持って自らの目的を追い求めます。

博士の経験では、チャンピオンは起きている時間のほとんどをその分野で最高になるための努力に費やし、残りの時間を家族と過ごすのだそうです。

その6:誠実な自己評価

多くの人は、自分に対して高い基準を設定します。しかしその一方で、甘い自己評価をしてしまいます。平均的な成果を上げている人は「自分はとても努力したのだ」と過大評価してしまう傾向にあります。しかしチャンピオンはそうではありません。彼らは「どこまですれば努力したと言えるのか」という点を具体的に定義し、最も厳しい基準で自分自身を評価するのです。

その7:立ち直る力

ビジネスや人生において失敗は避けられません。しかし卓越した人は失敗を気にせず、未来に希望を見出します。失敗には必ず、学ぶべき教訓があるのです。

 

「一生懸命働くこと」は大前提


 
ロバート・フランク氏は、おそらく「才能があり一生懸命働いていても、運が悪いために大きな成功を収められないという人はたくさんいる」と反論するでしょう。

しかし彼は、卓越した人々にとっては「一生懸命働くことがそもそも大前提になっている」ということに気づいていないようです。

チャンピオンはたとえ一生懸命働いたとしても”必ず”成功するという保証がないことを知っています。

卓越した人たちにとって、一生懸命働くことは単なる出発点に過ぎないのです。

彼らは、自分との戦いこそが最大の戦いであると理解しています。その戦いにおいて準備や実行を怠るようなことがあっては決していけません。

だからこそ彼らは自分を成功に導いてくれる人たちに囲まれ、その声に耳を傾けるのです。

ボブ博士が書いているように、「特別な人は、素晴らしいパフォーマンス、素晴らしいキャリア、素晴らしい何かというビジョンを持っており、他人が何と言おうが、どう思おうが気にしない。自分の夢が非現実的であるということを示唆する情報には決して耳を傾けない。そして、自らのビジョンを実現しようとする」のです。

これは、フランク氏が言うように「運が良い」ということなのでしょうか?

決してそうではないでしょう。

私は偶然にもボブ博士の本とフランク氏の本を同時に読みましたが、それはまるで異世界を旅しているような気分でした。

一方では、成功は偉大なビジョン、不屈の意志、並外れた集中力、粘り強い努力によって決まると言っています。

もう一方では、それはサイコロを振ったような偶然によるものだと言っています。

もしこれがビジネスに当てはまるなら、株式市場ではどうでしょうか?

結局のところ、あなたがどんなに賢く、情報に精通し勤勉であっても、金利、コモディティ価格、為替変動、GDP成長率、企業収益、FRB政策、その他株価に影響を与える数多くの要因をコントロールすることはできません…

では株式市場の成功は「運」で決まるのでしょうか?

答えは「ノー」です。

その理由はまたお話しましょう。

アレックス

P.S.
これから投資していく中で失敗することも出てくるでしょう。ですが、その失敗にも必ず学ぶべき教訓があります。

私たちOxford クラブはあなたの隣で資産形成をサポートしていきます。

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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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