私は今年、一つの大きな投資予測を立ててスタートしました。それは、「2022年はバリュー株の年である」という見通しです。
Oxford キャピタル・レターの1月号で、私はバリュー株(売上高、業績、簿価に比して安価な企業)が「グラマー株」を劇的に上回ると示唆しました。グラマー株〔glamour stocks〕とは、将来性と魅力のある有望株のことです。一般的に、米国ではハイリターンを狙える小型成長株を指します。
この10年間、テクノロジー株に代表されるグロース株は、大小のバリュー株、さらには外国市場のバリュー株を大幅に上回ってきました。
しかしその流れは2022年にはすでに逆転していて、その理由を説明するのは難しくありません。
一部のセクター、資産クラス、個別銘柄のバリュエーションは、過大評価から完全に異常な状態に陥っていました。それが今、バリュエーションは現実のものと一致しつつあります。
例えば、私は経営がうまくいっている破壊的企業の株を所有することに賛成です。しかしPER335倍で取引されているテスラ (Nasdaq: TSLA) を買うことには興味がありません。
誤解しないでください。テスラはとても有能な人が経営する素晴らしい企業です。しかしその時価総額は、世界の9大自動車メーカーを合わせたものより大きいのです。
もし同社が急成長する電気自動車(EV)市場を独占していたなら、これは妥当なことかもしれませんが、そうではありません。今年は、世界有数の高級車メーカーを含む競合他社が次々と魅力的なEVを発表しているため、それはより鮮明になるでしょう。
そのためテスラはウォール街の専門用語でいうところの「マルチプル・コントラクション(PERの縮小)」に見舞われる可能性があるのです。すなわちそれは「買われすぎ」だと思われて売られることで、株価が市場平均よりも下回る可能性が高いということです。
しかし私が予測しているのは、非現実的なバリュエーションを持つ一握りのハイテク企業だけではありません。
バリュー株は持続可能な長期トレンドか?
14年間にわたる金利の高騰により、現金で持っていても意味がない、低利回りの債券にはほとんど見返りがないと投資家は思い込んでいます。この前提は正しいのですが、残念なことに、このことが投資家を刺激して、資産クラス全体を正当化できない水準まで引き上げてしまったのです。
このことは、グロース株のバブル現象から暗号資産や非代替性トークン(NFT)市場の完全な熱狂まで、あらゆるものに見て取れます。
こうした「投資家」の多くは、ウォーレン・バフェット氏が20年以上前に引用した教訓、「価格とは自分が支払うもの、価値とは自分が得るもの」を知ることになるのです。
1980年代後半の日本の不動産バブル、1990年代後半のドットコムバブル、今新世紀最初の10年間の住宅バブル、そして昨年のミーム株バブルで、投資家はこのことを痛感しました。どのケースでも、投機家は前週、前月、前年に上がったものが翌週、翌月、翌年も上がり続けると思い込んでいたのです。これは人生を変えるような不当な信念になりかねません。そして最終的に、本来の価値とはかけ離れた株価水準にまで上がってしまうのです。
これはまだ多くの株に投資しておらず、資金を寝かせたままにしている投資家にとっては素晴らしいニュースです。逆に、株価は高すぎるとは思っていても、さらなる愚か者がより高い価格で買ってくれることを期待する「グレーター・フール理論(Greater Fool、Foolとは愚か者の意味)」信奉者にとっては、破滅的なニュースになるでしょう。
ある時点になれば、さらなる愚か者は現れません。そして投資家は鏡の中に大馬鹿者を見るのです。
良い投資を。
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