最近のニュースのトップ記事では、インフレ、世界的な半導体チップ不足、サプライチェーン問題など、世界中の消費者や企業に悪影響を及ぼすネガティブなニュースが目につきます。
その中であまり注目されていない出来事が一つありますが、それはおそらく主要メディアの絶え間ないネガティブなストーリーを覆すものだからでしょう。
米国は今、生産性ブームの最前線にいます。
企業も顧客も、より少ない労働力でより多くの生産を行うことを容易にする新しい技術を受け入れています。
これは単なる一過性のものではなく、今後何年にもわたって広範な恩恵をもたらすであろう、来るべきブームの幕開けなのです。
「生産性」という言葉は漠然としていますが、ここで定義しておきましょう。
経済的に見て生産性とは、「1時間にどれだけの生産を行えるか」を意味します。
より高性能なコンピューター、より高速なインターネット接続、より優れたネットワーク、ロボット、センサー、人工知能など、労働者がより良いツールを手に入れれば、物を作ったり、サービスを提供したり、データを処理したりすることがより速くできるようになります。
生産性の向上は、より多くの商品やサービスの提供、そして賃金の上昇にもつながります。
この新しいトレンドを後押ししたのは何でしょうか?皮肉なことに、それはパンデミックなのです。
経済停止、店舗の閉鎖、ソーシャルディスタンス、在宅勤務の流行などにより、世界中の企業が今後10年間で行うはずだったデジタルアップグレードを、わずか数四半期に圧縮せざるを得なくなりました。
それはステロイドのような技術導入でした。
我々の出版社がその良い例です。当社の投資アナリストのほとんどは、何年も前からリモートで仕事をしています。
しかしオフィスに毎日出社している数十人の社員が、対面式のミーティングやコラボなしでも同じように仕事ができるとは想像もしていませんでした。
パンデミックが発生し、全員が自宅で仕事をしなければならなくなったときも、やるべきことはすべてやり遂げられました。しかも以前よりも短時間で終わることが多かったのです。
生産性が飛躍的に向上したという我々の経験は、典型的なものでしょう。
そしてこの傾向は米国に限らず、世界中で起こっているのです。
オンラインで仕事をしたり、買い物をしたり、銀行を利用したり、さらには医者にかかったりする人が、かつてないほど増えています。
新しいデジタル経済は、ほとんどすべての人にとって良いことばかりです。
またデジタル経済は労働者の手に力を取り戻しました。多くの人が、会社に戻らなければならない場合、自分を除外するよう雇用主に伝えたのです。
彼らは自宅で仕事をするのを好み、そして得意なのです。それを変化させたくはありません。
働き手を必要としている企業はそれを認めていて、深刻な労働力不足の中で、彼らが望むものを提供することを快諾しています。
生産性の向上は労働者の需要を高め、より高い賃金と福利厚生、そしてより多くの機会をもたらします。
消費者は選択肢が増え、最終的には価格が下がります。
ではなぜ今物価が上昇しているのでしょうか。
その理由の一つは政府の無策が原因です。景気が回復し、完全雇用に近く、インフレ率が年率6.2%で推移しているときに、短期金利をゼロにし、何兆ドルもの赤字を出すことを正当化するのは困難です。
しかし世界的なチップ不足の問題もあり、これは一朝一夕には元に戻りません。
ですが大手メーカーは今年、約1,460億ドルを新たな製造能力に注ぎ込んでいます。
技術市場調査会社のガートナー社によると、これはパンデミック前の2019年と比べて50%増というだけではなく、5年前に業界が費やした額の2倍以上に相当します。
もう一つの理由は、世界中で発生しているサプライチェーン問題です。
世界の製造拠点の多くは発展途上国にありますが、これらの地域では安全で効果的なワクチンの供給が遅れていました。
今ではその状況は変わりつつありますが、工場をオンライン化し、出荷のスケジュールを立て、在庫を保管し、輸送手段をフル回転させるには時間がかかります。
このプロセスには、さらに6〜9か月かかるでしょう。
しかしここで良いニュースがあります。市場は常に未来を考慮しています。
投資家がどのくらい先を見ているのかと言えば、だいたい6~9か月先です。(その先はあまりにも漠然としています。)
もしあなたがネガティブなニュースサイクルの中で強気になる理由を探しているなら、生産性ブームについて考えてみてください。
それは最終的に、より強い経済成長、より大きな企業利益、そして何よりも株価の上昇につながるのです。
良い投資を。
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