我々は皆ニュースの見出しを目にして、そして実際に食料品店やガソリンスタンドで、価格の上昇を目の当たりにしました。
米国の消費者物価は過去31年間で最も高い水準にあり、消費者はそれに不満を持っています。
そのためジョー・バイデン大統領にも熱が入っています。
バイデン氏は当初、インフレ率の上昇は誇張されたものだと主張していました。物価の上昇が続いても「一過性のものだ」と言っていました。しかし物価の上昇が続くにつれ政権は新たな方針を打ち出し、物価上昇の原因は、石油・ガス産業を中心とした「企業の強欲さ」にあるとしたのです。
政治家が責任を転嫁するのは今に始まったことではありません。どちらの政党もそうしています。
しかし一方の政党が下院、上院、ホワイトハウスを支配している場合は特に、権力を失った政党を責めるのは信憑性に欠けます。
そこで表れた最新の戦略は、大企業を非難することなのです。
(大企業とは、何千万人もの米国人を雇い、訓練し、何十億もの税金を納め、あなたの投資ポートフォリオのリターンを高め、ついでに我々の経済的欲求のほとんどを満たしている邪悪な企業のことを指しています。)
もし政治家がただ言葉を並べているだけなら、このような身代わりを用意する必要はないでしょう。
しかし11月17日、バイデン氏は米連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長に書簡を送り、石油会社が反競争的で違法な行為を行っていないか調査するよう求めました。
これは業界にとっては費用と時間がかかり、コストの上乗せになるでしょう。
しかし結果的に、彼らは全く何も見つけられないはずです。
というのも、石油・ガス会社が結託したり、価格をつり上げたり、反競争的な行為を行っているという証拠は微塵もないからです。
ではなぜガソリン価格が高騰しているのでしょうか?
ガソリンの主成分は石油です。パンデミックの初期には1バレル20ドル前後まで下落した原油価格は、現在では70ドルを大きく超えています。
なぜこれほどまでに原油価格が上昇しているのでしょうか?
世界はパンデミックから立ち直りつつあり、米国の雇用保険申請件数は52年ぶりの低水準となりました。
JPモルガンは、米国の経済成長率を7%に上方修正しています。またモルガン・スタンレーは成長率予想を8.7%に変更しました。
労働力不足とサプライチェーンにおけるボトルネックのおかげで、供給が制限されているにもかかわらず、需要は旺盛とみられます。
これは価格上昇の原因となり、特に連邦政府による何兆ドルもの赤字支出が、さらに流動性を失わせているのです。
しかしガソリン価格上昇には、景気回復や消費者の手元にある余分なお金とは関係のない別の理由があるようです。
バイデン氏は1月に就任するや否や、いくつかの大統領令に大々的に署名しました。
彼はキーストーンXLパイプラインの建設認可を取り消し(そしてミシガン州の重要なパイプライン「ライン5」の閉鎖を検討しています)、政府所有地での石油・ガス掘削のための新規リースの発行を凍結しました。また化石燃料産業を非難する一方で、製油所に高額な要件を課しています。
その結果、米国の石油供給が制約されることが予想されたため、バイデン氏はOPECに増産を要請しました。
バイデン氏は、OPEC加盟国であるサウジアラビア、イラン、ベネズエラに増産を要請し、米国内の石油産業の売上高と利益を否定しています。
さらに彼は、何兆ドルもの追加支出がインフレ抑制に役立つと主張し、「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)」法案を通すよう党員に勧めています。
これは何の意味もないどころか、大人に向かってそのような言い方をすること自体、侮辱的なことです。
供給を制限することで価格を下げることはできません。
ノーベル賞受賞経済学者のミルトン・フリードマンが指摘したように、「いつ、いかなる場合も貨幣的現象」であるインフレを、何兆ドルもの政府支出を追加することで低下させることはできないのです。
経済学入門を学んだことのある人なら、あるいは需要と供給の基本を理解している人なら、この方法がうまくいかないことに気づくでしょう。
不可能なことが起こるのを待っている間に、バイデン氏は国の戦略石油備蓄から5,000万バレルの石油を放出することを命じました。
この備蓄は、戦争やその他の国家的緊急事態の際に使用するためのものなのです。
(バイデン氏の支持率が38%であることは、国家的緊急事態とは言えません。)
このことは投資家にとってどのような意味を持つのでしょうか?
バイデン氏の巧言には注意を払わず、石油・ガスセクター銘柄を長く保有しましょう。
ワシントンでの官僚の怠慢にもかかわらず、景気回復は勢いを増しているところです。
原油価格も株価もまだまだ上昇していくでしょう。
良い投資を。
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