数年前、私は22人の親戚が感謝祭に押しかけてきて、「家宅侵入」に遭ったことがあります。(その中には実際に招待した親戚もいましたが。)
我々はお互いの健康や友情に感謝し、そしてコーンブレッド・ドレッシングを詰めた10キロ以上の七面鳥と、クランベリーソース、カボチャのスフレ、アーモンド入りパルメザンガーリックインゲン豆、そしてサツマイモ料理を囲みました。
しかしすべての恵みに感謝するには1日では到底足りません。
有名な資産家であり慈善家でもあるジョン・テンプルトン卿は、著書『Discovering the Laws of Life(仮邦題:人生の法則の発見)』の中で別のアプローチを推奨していて、彼はそれを(サンクスギビングをもじって)「サンクスリビング」と呼んでいます。
サンクスリビングとは、常に感謝の気持ちを持ち続けることです。
良い時であれば、それは難しいことではありません。しかし多くの米国人は、経済的な問題、個人的な問題、健康問題など、どの家庭でも時々遭遇する問題に直面しています。そのため感謝の気持ちを持ち続けることは困難な場合もあります。
しかしテンプルトン卿は根本的に異なる視点を提示しました。それは、恵まれた環境に感謝するだけでなく、問題にも感謝しようという発想です。
これは一見直感とは反することのように思えますが、問題に直面することで、我々はより強く、より賢く、よりタフになり、親として、伴侶として、従業員として、そして人間としての価値が高まるのです。
人間は問題を解決するために創造されて、それが人生の価値を高めるのです。
テンプルトン卿はこう言っています。
逆境を乗り越えれば強くなる。だから我々は問題そのものではなく、そこから得られる力や知識に感謝するのだ。この成長に先んじて感謝することで、困難を乗り越えるだけでなく、成長することができるのだ。
我々の運命は状況だけで決まるものではありません。自分には運命を切り開く力があり、その力を信じることから始まります。
悩み、後悔、不満は何の解決にもなりません。それらは何の変化も起こさないどころか、むしろあなたの健康や社会環境、生活の質を損なうものです。
また困難な状況は、プラス思考や感謝の気持ちだけでは解決できません。困難な状況を解決するには、もう一つの重要な要素である「持続的な行動」が必要なのです。
そうは言っても解決困難な問題もあります。また愛する人の死のように、解決不可能なものもあります。そのような場合には、「受け入れる」という姿勢でなければ前に進めません。
しかし我々の日々の問題のほとんどは、鏡の中の自分が作り出したものです。
我々がそれらの問題を作り出し、そしてそれは修正することができるのです。
プレストン・ブラッドリー牧師は次のように述べました。
世の中には、求めたものが与えられるという法則がある。恐れから失敗や貧困を予期すれば、いくら成功しようと努力しても、それらを手にしてしまう。自分への信頼や人生が自分にしてくれることへの信頼を欠くと、世界の良いものから切り離されてしまうのだ。一方勝利を期待すれば、勝利を得ることができる。勇気と信念が物心両面の報酬をもたらすビジネスの世界ほど、このことが真実味を帯びているものはない。
この教訓は幼少期に学ぶのが一番です。私が7歳くらいのとき、重そうな箱を車に積み込むように父に頼まれたことがありました。
私は怪訝な顔をして、「できないよ」と答えました。
普段怒ることなどない父が、この時は例外で「今の言葉は何だ?」と訊きました。
「できないという言葉?」と、私はおずおずと尋ねました。
父は「その言葉は二度と聞きたくない」と言い、そして私が箱を車に積み込むと、父は足早に去っていきました。
ジャーナリストのサム・レヴェンソンも同じような経験をしています。
私の5歳の誕生日に、父が私の肩に手を置いて言いました。「息子よ、助けてくれる手が必要なとき、自分の腕の先にその手があることを思い出しなさい」と。
もちろん、助けを求めることは悪いことではありませんし、助けがなければ成功しない状況もあります。時には助けを求めることもあるでしょう。
しかし自分の力で問題を解決したときの満足感と尊さは格段に違います。
挫折を経験することで、自分の力を証明するだけでなく、仲間の問題に敏感になり、思いやりを持つことができます。
周囲を見渡せば、あなたよりも問題を抱えている善良な人々がたくさんいます。因みに、この季節は彼らを思い出す季節でもあります。(本当の意味でのサンクスリビングとは、1年中、思い出し、与えることですが。)
個人的な問題、社会的な問題、経済的な問題など、どのような問題に直面しても、常に勇気と忍耐と平静さをもって立ち向かうことが最善の方法です。
そしてできれば感謝の気持ちを忘れないことです。チャンスは努力に紛れて現れるものです。
もちろん問題が自分自身よりも大きい場合もあります。リンカーンは1859年の演説で、ソロモン王の物語を紹介しました。
ある東洋の君主が、常に視野に入れておくべき、また、どんな時代や状況でも真実で適切である言葉を考案するよう賢者たちに命じた。彼らは君主に次のような言葉を贈った。
「これもまた過ぎていく」。
これほど両局面をうまく表現する言葉があるだろうか。勝利の喜びで高慢になっている時には戒めとなり、苦悩している時には慰めとなる。
どんな問題でも、楽観的で粘り強く、そして心からの感謝の精神をもってすればそれに耐えられるものはほとんどありません。そして喜びも苦しみも、いつかは過ぎ去るものなのです。 だから動き出しましょう。
詩人のロバート・フロストはこのように述べています。
「困難を抜け出す最良の方法は、常にやり通すことだ」
良い投資を。
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