「収入よりも支出の方が少ない平均以上の投資家であれば、一生かけて大金持ちにならずにはいられない」
バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット会長(チェアパーソン)はこのように言ったことがあります。
これは投資家を目指す人にとっても、経験豊富な人にとっても心強い言葉で、私もその意見に全面的に賛成です。
彼のこの言葉には2つの重要な注意点があります。
1つ目は「身の丈に合った生活をすること」で、もう1つは「平均より少しでも良い投資利回りを得ること」です。
ところが多くの米国人はこの2つの条件を満たしていません。これには人間性が大きく影響しています。
例えば栄養士の資格を持つ人が太った大人たちを前にして、健康的な食事をすれば体重が減り、体調も良くなり、長生きできる、と根気よく説明したとします。
大方の聴衆は同意するでしょう。ですが経験上大多数の人は体重が減りません。
それはポテトチップスやクラッカー、パンやパスタ、ハンバーガーやピザ、アイスクリーム、キャンディー、アルコールなどを減らすことを意味するからです。
ほとんどの人はこういったものを手放したくないし、摂取量を大幅に減らしたくもありません。
よって、よりスリムで健康的になるという目標が達成できないのです。
同様に、ファイナンシャル・アドバイザーが負債を抱えた人たちの前に立って、諸経費を削減し、自由に使える支出を抑え、高利の借金を返済し、給料の10%を貯金するように(そのために転職をしたり、掛け持ちで仕事をしたりする必要があったとしても)指示したとします。
大多数の人はその通りだ、とうなずくでしょう。しかしほとんどの人は経済的な問題を抱えたままなのです。
それは長時間働き、より狭い部屋に住み、より古い車に乗り、日常の贅沢を諦めることを意味するからです。
我々が長期的に達成する良いことのほとんどは、良い習慣と満足を先延ばしにした結果です。
しかし短期的に見れば、誘惑に勝つのは困難です。フルーツを食べるよりもアイスクリームを食べるほうがワクワクするように、貯蓄するよりも使うほうが楽しいのです。
確かに必要な知識が不足している場合もあります。しかし多くの場合、コミットしてやり遂げることに消極的であることが本当の原因なのです。
ですがしっかりと予算を組み定期的に貯蓄している人でも、平均的なリターンを得ることは難しく、ましてや平均以上のリターンを得るとなれば極めて稀です。
調査会社のダルバー社は、2019年12月31日までの30年間における投資家の行動を定量的に分析しました。
それによると、平均的な株式ファンドの投資家の年間収益はわずか5.04%で、これは期間中のS&P500種株価指数収益の半分にあたります。
これは彼らの投資アドバイザーが、市場をひどく下回る高い手数料のファンドに入れたことが一因です。
しかしダルバー社は、ファンド投資家が修正相場や弱気相場の時に規律を守らず、不安定な時期に現金に逃げ込み、その後の株価の反発に乗り遅れていることも発見しました。
2020年はその良い例で、誰もが予期せぬパンデミックに驚きました。
健康危機はともかく、消費者、大企業・中小企業、企業収益に悪影響を及ぼすことを投資家は理解していました。
そして2020年6月、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が行った世論調査によると、回答者の80%という超多数が、米国は 「制御不能のスパイラルに陥っている」と考えていたのです。
確かに状況は厳しいものでした。
特にメディアは毎日のように累積した死者数を報じ、企業や家庭が窮地に陥っている様子を生々しく伝え、状況が改善する前にどれだけ悪化するかを予測する「専門家」へのインタビューを定期的に行っていました。
当時我々は読者に、パンデミックは深刻だが一時的なものであること、市場はすでに悪いニュースを割り引いていること、ワクチンはほとんど誰もが予想していたよりも早く登場すること、そして低い株価を利用すべきであることを認識するよう呼びかけました。
そしてそれに従った投資家は今日、利益の山を築いています。
この1年半に起こったことが、今後まったく同じように起こることはないでしょう。
しかし経済や株式市場の見通しを悪くするような(一時的とはいえ)深刻な後退も、動きとして見られるでしょう。
ですがバフェットのアドバイスに従って、身の丈に合った生活をし、平均よりも少しでも良いリターンを得ることができれば、時間の経過とともに豊かになるのは避けようがありません。
この現実を認識しそれに基づいて行動しようとする人にとっては、まさに朗報ではないでしょうか。
良い投資を。
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