投資情報

フェイスブックは見るな

投資家として成功するために必要なものといえば、正確な情報です。

しかしその情報を得るのは簡単なことではありません。

例えば投資銀行や証券会社には利害の対立があります。

彼らは上場企業に関する「公平な」調査を投資家に提供すると同時に、これらの企業に株式や債券を買ってもらわなければいけません。

そのため投資銀行や証券会社は、一般投資家向けに発信する情報に「この企業の株を売るべきだ」という推奨をほとんど行いません。なぜならその「企業」はお客様でもあるからです。最悪の格付けであっても「売り」ではなく「標準以下」という、行動を促さない曖昧なものにとどまります。

一方、ロイターやブルームバーグ、ウォール・ストリート・ジャーナルのようなまともな新聞からは、概ね信頼できる情報を得ることができます。

 

しかし主流メディアにはしばしば視点が欠けています。さらに事実がセンセーショナルに取り上げられたり、文脈から切り離されたり、あるいは誤って報道されたりすることもあります。

また企業が「期待を下回る」発表を行った時などは、ソーシャルメディアはすぐに炎上します。大勢の無責任で感情的なユーザー(そして多くの場合匿名のユーザー)が、嘘の情報や誤解を招くような内容も含めて一斉に悪いことを書き込みます。

その結果、人々は自分自身や自分の住む世界について、必要以上に悪い印象を抱くことになります。

そして多くの人は真実を聞いて怒りを覚えます。

例えば2016年にバラク・オバマ元大統領は、欧州の若者を中心とした聴衆を前に、次のようなスピーチを行いました。

 

  • 我々は幸運にも人類史上最も平和で、最も繁栄し、
  • 最も進歩的な時代に生きています。
  • 大国間の最後の戦争から何十年も経ち、
  • より多くの人々が民主主義の下で暮らしています。
  • 世界経済のおかげで、
  • 10億人以上の人々が極度の貧困から脱却し、アメリカ、
  • アフリカ、アジアに新たな中流階級が誕生しました。
  • もしあなたが人類の歴史の中で、国籍や性別、
  • 経済的地位などが事前にわからない状態で生まれてくる瞬間を選ぶ
  • としたら、今日を選ぶに違いありません。

 

これは事実上他の結論がないため、議論の余地のない発言であるはずです。

しかしオバマ氏は、彼の所属した民主党を含む多くの人々から、楽観的すぎるバラ色の眼鏡で世界を見ていると批判されました。

バーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員のように、銀行や大企業、そして「億万長者」がシステムを破壊し、経済を不正に操作し、我々からお金を巻き上げていると常日頃から警告しているポピュリストたちに比べて、オバマ元大統領の前向きなメッセージは対照的です。

ポピュリストの話は事実無根ですが、期待を裏切られたり、妬まれたり、恨まれたりして悩んでいる何百万人もの米国人の心に響くのです。

しかし彼らのメッセージは、単に意気消沈させるだけではなく、極めて不正確です。

現在の一般的な米国人の生活水準は、パソコン、スマートフォン、GPS、ブロードバンドインターネット接続、音楽やビデオのストリーミングサービス、ウルトラハイビジョンテレビ、フェイスタイム、翌日配達など、誰もが利用できなかった40年前と比べて、はるかに高い水準にあります。

確かに経済危機と健康危機が一体となったパンデミックは、青天の霹靂のように我々を襲いました。

しかし生活の質が何年も前から停滞または低下しているという一般的な考え方は、明らかに嘘なだけでなく馬鹿げています。

 

米国人の家はかつてないほど大きくなりました。教育水準もかつてないほど高くなっています。また今ほど余暇が充実している時代はありません。

今日多くの米国人が「民主主義の終焉」を訴えていますが、彼らが好きなように話したり、書いたり、礼拝したり、集合したり、組織したり、投票したりする権利を失う危険性はまったくありません。

1983年の世帯純資産の中央値は5万2,000ドルでした。それが1997年には9万7,300ドル、そして現在は12万1,700ドルです。

この事実を知っても、本当に、中産階級は停滞していると言えるでしょうか?

何百万人もの米国人がペットを飼っていて、世界中の何十億人もの人々よりも良い医療を受けています。

しかし先のことを考えると….

経済は過去30年以上で最も速いペースで成長しています。企業収益は第2四半期(4 – 6月期)だけで70%以上増加しました。そしてワクチン接種の増加、さらに何千万人もの自然免疫が、我々をより良い場所へと導いています。

しかしソーシャルメディア上では、我々は恐ろしい時代の反ユートビア的な世界に生きているのです。この考え方を受け入れて、投資家として成功するのは大変なことです。

結局、投資家として成功するためには、多くの課題や挫折にもかかわらず、長期的な見通しは明るいんだという揺るぎない信念が必要なのです

良いニュース?科学の進歩や技術革新、民主主義制度、資本市場のおかげで、それが可能になるということです。

悪いニュース?ソーシャルメディア上ではそのようには見えないということです。

我々はハーバード大学の心理学者スティーブン・ピンカー氏が「長い平和」と呼び、経済学者ディアドラ・マクロスキー氏が「大いなる豊かさ」と呼ぶ、かつてない平和と繁栄の時代の真っ只中にいます。

これは非常に大きな投資機会を生み出しています。

しかし投資家としてそれを活用するには、優れた情報を持つ必要があります。

理性的な声に耳を傾け、感情的な声に耳を塞ぎましょう。

良い投資を。

アレックス

Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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