しばしば、語り手の話に耳をふさぐことはありませんか?
例えば、矛盾していることを話し始めた時など、つい、耳をふさぎたくなるものです。
でも、投資家であれば、相手が話す内容に影響を受けてしまいやすいのも確かです。
コロナウイルス感染症のワクチンメーカーであるモデルナ (Nasdaq: MRNA) を例に挙げてみましょう。
米国時間8月9日に株価は急騰した後、10日、11日と続落しました。その後株価は再び上昇基調となったものの、変動幅の大きな展開が続いています。
2021年、モデルナ社の収益率はS&P500種株価指数(以下S&P500)をはるかに上回ってきました。実際、同指数の18%の収益率は、同社の261%の収益率と比べたらほぼ横線でしかありません。加えて、2020年、同社の株価が434%急騰したことを思い出して下さい。
ウォール街のアナリストに関する構造的な問題をご存じですか?
それを如実に反映する一例が、モデルナです。同社に対するウォール街のアナリストによる目標株価の平均値は339.42ドルとなっています。これは、米国時間8月17日の終値より18%程低い水準です。
つまり、モデルナの株価は、ウォール街のアナリストたちの目標株価を超えても、なお実態に即した対応が取られていないようにも見えます。
ただ、驚くべきことに、モデルナのように目標株価が実際の株価を上回っている銘柄が、S&P500のうち70社あります。
いかがでしょうか。多いと感じますか?
株式市場の摂理を読み解く賢明な投資家の皆さんは、この事実から、ウォール街のアナリストの提示する目標株価が、真に投資家の資産形成のためのものではなく、別の主目的のために作られていることに気付くことでしょう。
悪い予告の暗示
昔から報道機関ではよく言われていることです。「酷い事件ほどトップニュースになる。」
人は、災害、ドラマ、パニックに興味をかきたてられます。私たちはネガティブな話を、まるで栄養価が無くカロリーだけ高いお菓子をむさぼるように取り込んでしまうのです。
人間の根源的な部分を満たしてくれるから、でしょうか。
多くの人が暗いニュースを見ることを望んでいるため、良いニュースは取り扱われにくくなりがちです。
あなたが暗いニュースばかり見ているとしたら、米国の複数の主要指数が史上最高値を記録していることに気づいていないかも知れません。
ダウ工業株30種平均指数、ナスダック総合指数、S&P500の年初来からの上昇幅は、再び二桁台で推移しています。
これは、私が2020年11月の米大統領選挙前に予測したトレンドです。
市場が米大統領選サイクルの影響を受けていることも理由ですが、全般的に株式市場に資金が流入しているということです。
しかし、ここで疑問が湧きます。次の株式市場の下落はいつだろうか?
株式市場が好調なときには、その崩壊について暗示する人も現れます。
2009年10月号の『フィナンシャル・タイムズ』で、株式市場は40%以上過剰評価されているという記事を読んだことを思い出します。
それは、リーマンショックを受け、市場が底を打ってから7ヵ月あまり後のことでした。
多くの報道機関がそうであるように、2010年にはCNNが、2011年には『ウォール・ストリート・ジャーナル』のロバート・シラーが、似たような警告を繰り返していました。
2020年3月、コロナウイルス感染症が強気市場に終止符を打つまで、市場は10年以上好調だったのです。そして「暗示者たち」は、「ほら、私たちが言った通りでしょう。」と得意げに言いました。
私は20年間金融業界に身を置き、あらゆる警告も耳に入らなくなる高揚感と、心が張り裂けそうな絶望感を経験してきました。
今回はどちらでもありません。
これまで、S&P500内の88%の企業は第2四半期(4 – 6 月期)の売上と業績予測を上回ってきました。
2022年には、この10年間で初めて、同指数を構成するほとんどの企業が黒字化するでしょう。
ですから、否定的な意見に惑わされないで下さい。
私の今までの経歴において、経済的に自立するために大事なことを学んできました。
あなたにもできます。
誰にでもできるのです。
一般投資家であっても市場に勝てるのです。
私たちは、市場が崩壊しかけている際に資金を投じ、株価が最高値を記録した時、利益を得ることができます。
私たちはデータに耳を傾け、先のことを考えて計画します。
私たちは上昇傾向の企業に注目します。
強気市場は終わっていません。しかし今は、1年前と比べて、選択することがより重要です。
メディアの煽り記事ではなく、本質に焦点を当てる。そして、主流のネガティブな意見がいつ味方になるのか、それを見極めましょう。
ハイリターンを願って。
マシュー
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