投資情報
資産が減ると早死にする
私たちの多くは、健康を維持するために実践的なステップを踏んでいます。
例えば砂糖や精製された炭水化物を減らし、葉物野菜や抗酸化物質を含む果物を食べるようにしています。
またネットフリックスの新シリーズを見るのを我慢して、外やジムで過ごすことを心掛けています。
タバコはやめて、お酒もほどほどにし(あるいはまったく飲まないで)、ビーチに行く前には日焼け止めを塗ることも怠りません。
しかし本当に自分の健康を守りたいのであれば、他にもやるべきことがあるのです。それはポートフォリオのリスクを下げることです。
ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)に掲載された研究によると、資産のかなりの割合を失うことは、単に不幸な出来事として片づけられません。それは無一文になるのと同じくらい、平均寿命に悪影響を及ぼすのです。
社会科学者たちは、この国の富裕層が貧困層よりも長生きであることを長年にわたって認識してきました。
実際、マサチューセッツ工科大学(MIT)の2人の研究者が共著した研究によると、男性の最上位1%の富裕層は、男性の最下位1%の貧困層よりも14.6年長生きしています。女性では、その差は平均10.1年です。
これにはいくつかの理由が考えられます。
貧しい人々はより危険な地域に住んでいて、また予防医療を受ける機会も少ないでしょう。また食生活も健康的とは言い難いのが現状です。
実際、人口の56%を占める政府補助食品プログラムを受けている人々は、肥満、糖尿病、炎症、高コレステロールのリスクが高いなど、最悪の健康状態にあります(フードスタンプ受給者が購入するアイテムの第1位は炭酸飲料です)。
しかし投資ポートフォリオに大きな打撃を与えてしまうと、より豊かで健康的な生活を送ることができなくなってしまうのです。
JAMAによれば、資産の大半を失うと20年以内に死亡する確率が50%高くなるそうです。
これは心臓病と診断された場合と同じくらい大きな死亡率です。また既存の健康問題を考慮した場合でも同様です。
経済状態が悪くなる前後で、人々が裕福であったかどうかは問題ではありませんでした。ただ大きな損失(と、それに伴う悲しみ)を経験したというだけです。
さらにこの調査では、51歳以上の米国人の実に4人に1人が、「財産ショック」と呼ばれる経験をしていることがわかりました。
この数字が高いと感じるなら、大不況のことを思い出してください。
大不況は、建設前のマンションを転売したり、サブプライムローン証券を購入したり、信用取引で株を売買したりしていた庶民の生活に追い打ちをかけました。
その結果、退職金を大幅に失ったり、自己破産したりした人を誰もが知っています。
あなたにそのようにして命を落とす一人になって欲しくないですし、そうなる必要もないのです。今日、あなたにできることはたくさんあります。
直近の過去最長の強気相場は10年以上続き、安心感が浸透しました。そして1年余りが過ぎた新たな株高局面では、未だ多くの人々がオプションや先物、暗号資産を取引しています。彼らは根拠が薄弱なファンダメンタルズ分析に基づき株を買っていて、アップサイドの可能性だけを考え、ダウンサイドのリスクを全く考えていません。
幸いなことに、この問題を解決する簡単な方法があります。それは、「ポートフォリオのプレモータム」と呼ばれるものです。
プレモータムとは、壊滅的な弱気市場に突入したと想像し、被害を最小限に抑えるために何ができたかを逆算して考える戦略です。
リタイア後の方、またはリタイアが近い方は、このシナリオを数分かけてイメージし、心に刻み込んでください。危機に瀕しているのは、何年もかけて多大な犠牲を払って手に入れた本物のお金であることを認識するのです。
自分がどう感じるかを考えてみてください。そして次の6つの重要なステップを実行してください。
- 株式と債券投資のバランスが良くなるように、資産配分を調整する。
- 低品質の株式を減らし、高品質の株式を増やす。高品質の株式は、業績を上げ、配当を支払う。
- 小型株よりも大型株に重点を置く。歴史的に見ても、大型株の方が市場の低迷時にはるかによく持ちこたえる。
- 成長株よりもバリュー株を重視する。バリュー株は、売上高、業績、簿価に対する倍率が低いため、変動が少ない。
- 個別株のポジションにトレーリング・ストップを設定する。そうすることで、元本と利益の両方を守ることができる。
- 高利回り債よりもハイグレード債を選ぶ。高利回り債がジャンク債と呼ばれるには理由がある。
これを今日、実行してから、深呼吸してみてください。
あなたは一生をかけて蓄えた備蓄を守っただけではありません。
それはあなたの健康という、より価値のあるものを守ったことにもなるのです。
良い投資を。
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