トレンド投資

9月の株式市場分析

テックカンパニーはパンデミック中でも断トツの強さでした。

このことは、2020年、我々のマントラ(真言)でしょう。

そして投資家はこの単純なトレンドに沿って、今年は、何度も繰り返し利益を得ています。

ナスダックは史上最高値を更新しました。米国の第2四半期のGDP成長率はマイナス32.9%だったにも関わらず、強烈な上昇勢いを見せました。

中でも目を瞠るほどの上昇トレンドを形成したのが、Zoomビデオコミュニケーションズ(Nasdaq:ZM)です。Zoomは、年初来比600%高となりました。

しかし、数週間前、その好調だった雰囲気が一変して、ナスダックの大暴落でつまずきました。

この慌ただしい数週間の間に、ハイテク株は11.5%も減少しました。 現在、ナスダックは、僅か11,000ポイントの上昇にとどまり、本格的な調整局面に入っています。

このようなハイテク株の大規模な反転は、ダウ工業平均株価とS&P500指数の急落を引き起こしました。

これは、6月に見られたプルバックよりも悪化しています。

(注釈:プルバックとは、相場が一定の方向へ動く場合、それまでの買い手または売り手が、利益確定のために反対売買し、価格が一時反対方向へ動くことを指します。)

前回、ここまで急落したのは3月の陰鬱な日々まで振り返らねばなりません。

これは終わりの始まりなのでしょうか?

それとも、両手を広げて歓迎するチャンスなのでしょうか?


9月は恐怖の月?

人生にはリズムがあります。 

市場にもリズムがあります。

私は10年以上、このパターンを探し、それを利用してきました。そして今、私たちが目にしていることは、安心感を与えてくれています。

多くの投資家は、「9月の暴落」と恐れていました。9月は恐怖の月として知られています。

1993 年以来、9 月末にダウ平均株価が下落したのは合計 14 回でした。そのうち6回は1999年から2004年までの間に発生しました。

これは投資家にとって、強烈で不気味な出来事でした。

このデータは、9月の悪いイメージを描いています。1985年以来、9月はダウ平均株価にとって最悪の月です。


図訳:Average Monthly Gain of the Dow: ダウの月間平均利益)

過去35年間で平均してマイナスのリターンがあった月は、3回しかありません。そして9月の損失は圧倒的に最悪です。

2番目に悪いのは8月です。優良株指数は、過去11年間で7回もこの月をマイナスで終えています。そして6月は、怠惰で横ばいの取引月で、私たちが「夏の小康状態」(夏場で相場がダレた状態)と呼んでいるものの開始となり、9月まで続きます。

夏(夏の小康状態)は終わりを迎えようとしています。

 これは何度も何度も繰り返されるリズムです。

そして、それは歓迎すべきことです。


大統領選の年は憂鬱である

「よくそんなことが言えますね」と疑問に思う方もいるでしょう。

今年はパンデミックに悩まされ、市場史最速の30%下落、史上最速のベアマーケット(弱気相場)からブルマーケット(強気市場)への回復、この時代最悪の不況、そして市場に新種のデイ・トレーダーが殺到するなどしました。実際には、このプルバックは正常な状態の兆候です。

これは本当に巨額の損失です。

間違いなく、「2020年」という言葉は、何らかの形で呪いや罵りの言葉に発展することでしょう。近い将来、2020というキーワードが、軽く100語程度の皮肉を込めた言い方に置き換えられるでしょう。

大恐慌と大不況がそうだったように、今年は、人々の心に永遠に傷跡を残すような、何も価値のない、腐った、悲惨な年なのです。

しかし、「9月の暴落」は、正に絶好のタイミングでした。9月は歴史的に見て、ダウ平均株価だけでなく、ナスダックとS&P500指数にとっても最悪の月だからです。

この見解には異論があるかもしれません。「5.5%の下落は『急落』以上のものだ」と主張する人もいることでしょう。

しかし、覚えておいて頂きたいのは、今年はアメリカ大統領選挙の年であり、恐らくここ暫くの間で候補者が最も対立的な年であり、市場は不確実性を嫌っていることです。

ダウ平均株価は、西暦2000年代におけるアメリカ大統領選挙がある年の9月では、ほぼ全て赤字になっています。

先ず、2000年のダウ平均株価は9月に5.07%下落して終わりました。

2004年9月の終値は、0.88%の下落で締めくくりました。

2008年9月のダウ平均株価は、6.02%の下落でした。

2012年には、優良株が2.64%上昇しました。

そして、前回の2016年9月のダウ平均株価は、0.48%の下落で終えました。

最後に今年の9月、株価は5.5%以上も下落しています。

従って、このことは、今まで過去に見てきたことで、想定内です。

確かに、ここ数週間の株式市場は醜い下落を演じていました。そして、過去これまでに見たことも無い酷い値動きでした。

しかし、9月は株価が下落することで知られている月です。ただ、そこは心配していません。なぜならば、株式市場にとって10月、11月、12月が、歴史的に見てベストな3か月だからです。

この時期は、あなたの欲しい物リスト作成を始める時期です。自分に対する少し早い休日のプレゼントと考えてください。このプルバックは、割引価格で一流企業の株式をポートフォリオに追加する機会を提供するのです。

株式市場が11月まで大荒れしないわけではありません。しかし、こうした下落を利用してポジションを構築し、株価が引きあがることを待ちましょう。

これを 「9月の暴落 」と受け止めるのではなく「蓄えの9月」のチャンスと思ってください。

ハイリターンを願って。
マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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