米国配当株投資

絶対に買ってはいけない株とは?

所要時間: 2分.

この記事のポイント

  1. 数十億ドルの株主資本をビットコインに注ぎ込んだ企業

  2. 15億ドルのビットコインを購入したテスラとの違い

  3. 一番の問題はビジネスモデルの転換にある


企業の経営陣と取締役会は、株主の資産を最大限に増やし、守るという受託者責任があります。

(編集部注:受託者責任とは、資産の運用に関わる人が受益者に負うべき責任のことです。)

最近のビットコインの急騰によって、ビットコイン熱はますますヒートアップしています。このため、流行りものに飛びつく平均以下のトレーダーがビットコインを購入するのは驚くことではありません。

しかし株式公開企業の最高経営責任者が株主の資金を使って、数十億ドルものビットコインを購入している事実にはショックを受けます。

マイクロ・ストラテジー(Nasdaq: MSTR)はビットコインに賭けています。

去年、同社は主要な財務戦略の一つとしてビットコインを使用すると発表しました。

これはとても無責任な行為です。

ビットコインは代替通貨として認識されていますが、実際の取引には使用されていません。もしかしたら将来的には使用されるかもしれませんが、現時点では使用されていません。

マイクロ・ストラテジーは2020年末時点で6,000万ドルの現金を持っています。それに対して約45億ドルものビットコインを保有しています。これは非常識です。

米ドル以外の通貨を保有することは悪いことではありませんが、保有している資金のほとんどがビットコインというのは賢い分散とは言えません。

現時点ではビットコインが高騰しているので、誰も文句は言いません。でも仮に企業が全資金を金やトルコリラ、数百万ポンドもの大麻に注ぎ込んでいたら、投資家は文句を言わないでしょうか?

少なくとも大麻は現金化できますが。

もしマイクロ・ストラテジーがビットコインを売ることになったら、売値は一気に下がることでしょう。

それは見せかけのデザートのようなものです。

マイクロ・ストラテジーは企業理念を拡大して、ビットコインの購入と保持を掲げています。

言い換えると、企業分析のソフトウェア企業が、企業戦略の一環としてビットコインに賭ける企業になったということです。

本来であればビットコインの購入に投資された人件費や時間などのビジネス資源は、事業拡大や顧客のために使用すべきなのです。

でも、マイクロ・ストラテジーは、なぜ、それほど大量のビットコインを購入できるのでしょうか?

最近同社はビットコインを更に購入するために6億ドル相当もの金利0%の転換社債を発行しました。その後にも追加発行されて、この社債の元本総額は10億5,000万ドルにもなりました。

(編集部注:転換社債とは、一定の条件で株式に転換できる権利が付与されている社債のことです。)

少し考えてみましょう。金利ゼロの転換社債を購入する投資家は、企業価値が上がり、株価が上昇することで利益が得られることを期待しています。一般的な転換社債の場合には、株式に転換するまでの間、投資家は金利を得ることもできます。

しかし、マイクロ・ストラテジーが発行した転換社債の購入者は、集めた資金はビットコインの購入にだけ使用されると説明されています。資金を一般的な企業の目的や借金の返済に充てるのではなく、より多くのビットコインの投機に使用しているのです。

それはビジネスの根幹として行うことではありません。

このように言うと、最近15億ドルのビットコインを購入したテスラ (Nasdaq: TSLA) はどうなんだ、と思われる方もいると思います。

テスラは2020年末で199億ドルの現金を保有しています。そのうちのわずかな金額を資金分散のためビットコインに換金することに抗議はしません。

さらに重要なことは、テスラはビジネスモデルを変えておらず、乗用車と家庭用蓄電池の生産に取り組んでいます。ビットコインを保有していますが、ビットコインのビジネスをしているわけではありません。

米ドルが不換通貨であることと、莫大な政府債務のせいで、時間と共に米ドルの価値が下がると懸念する気持ちは理解できます。

(編集部注:不換通貨とは、金(ゴールド)などの裏付けがない通貨のことです。)

もう一度言いますが、企業が株主を守るために、他の通貨に分散することは問題ありません。

ですが多額の現金を投機的な資産に投資し、その投機から利益を得るようなビジネスモデルに変えてしまうのは企業の受託者責任に反しています。

もしビットコインの価値が下がれば、株主はとても大きなダメージを受けることでしょう。そして企業の幹部や取締役は訴えられるかもしれません。

ITバブル期には馬鹿げた買収や無駄遣いをする企業もありましたが、私の25年の投資経験の中で、これほど無責任に株主資本を運用する企業は見たことがありません。

マイクロ・ストラテジーはここ数年で最高の空売りチャンスがある企業です。

そうは言っても、空売りは難しいですし、プット・オプションのプレミアムは高額です。ビットコインの高騰が続けば、マイクロ・ストラテジーも高値を更新するかもしれません。ですが私は、300ドル以下まで株価が下がると思います。

ビットコインが欲しいなら、ビットコインを買いましょう。株主資本を大切にしない企業の株を買わないでください。

よい投資を!

マーク


いかがでしたか?
少しでもこのアメリカの強い株が「いいな」と思ったら1株からでもいいので買ってみてください。(アメリカの株は日本と違って1株から買うことができます。)

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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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