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株式か債券か?転換社債とは。ETFではメリットを活かせない!?

所要時間: 4分.

この記事のポイント

  1. 転換社債とは

    → 株価が上昇していれば株式と交換することのできる債券

  2. 転換社債は通常、株式と債券の両方を上回るパフォーマンスを上げる

  3. ETFでの購入はおすすめしない

    → 転換社債のメリットをフルに享受できない為


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株式の投資家には大きな利益を生むチャンスがありますが、その利益を得るにはリスクを背負わなければなりません。

債券の投資家は一般的に、それほどの利益はでないが、高い安全性と安定した収入を得ることができます。

では、債券の安全性を備えながら株価上昇の恩恵に与ることのできる、投資方法があるとしたらどうでしょう。

転換社債は、株価が上昇していれば株式と交換することのできる債券です。

それに加えて、満期日まで債券として持ち続けることができ、株が下落している場合には債券保有者は償還金を受けることができます。

その仕組みとは、、、

企業が転換社債を発行するとき、通常は、債券発行時よりも低い金利水準で発行となり、企業の利息支払い金を節約することができます。その上、すぐに新たな株式を発行しないため、希薄化し株の価値が低下することに直面することもありません。

「希薄化」は、企業が多くの株式を発行すると発生します。(編集部注:発行した転換社債が株式転換されると、発行済み株式数が増加します。発行済み株式数の増加は、株式投資家が投資をする際の重要指標の一つである『一株当たり利益』の下落につながり、株価下落の一因となります。)

例えば、発行済み株式が1,000万株ある企業が、さらに新株を100万株発行すると、発行済み株式が10%増えるため、既存株主の利益を10%希薄化させてしまいます。

企業が株式を売り出し発行すると、通常はプレスリリースされ、その企業が株主を10%希薄化させることが市場全体に知れ渡ります。

しかし、転換社債保有者が債券を株式に転換した場合、そのような記事は出ないのです。
また、すべての債券保有者が債券を株式化する選択をするわけではありません。
転換社債は、プレミアム(編集部注:上乗せ価格のこと)、あるいは特定の転換比率で発行されます。

例えば、40ドルで株式の取引をしている企業は、25%のプレミアムで転換社債を発行することができるとしましょう。

これは、債券保有者は債券を発行する時に、株価の25%のプレミアムで債券を株式に変換できるということです。この場合だと、1株あたり50ドルになります。

満期時に株式が50ドルを上回る金額で取引されている場合、転換社債の保有者は株式と交換することですぐに利益につなげることができます。(そして、交換前に利息収入も受け取れます)

その株式が50ドル未満で取引されている場合は、転換する必要はなく、代わりに満期時に1債券あたり1,000ドルを受け取ることができます。

(ほとんどの債券は、額面1,000ドルで発行されています。投資家は公開市場で購入するとき、1,000ドル以上、あるいはそれ以下を支払う可能性があり、満期時には1債券あたり1,000ドルを受け取ります)

そのほか、転換社債は転換比率で発行されることもあります。

債券の転換率が10対1の場合、1つあたり1,000ドルの債券が1株あたり100ドルの株式10株に転換されるということです。

オプション・プレミアムと同じように、株式が100ドル未満で取引されている場合、債券保有者は満期時に1,000ドルを受け取るかどうかを決めることができます。
株式が100ドル以上で取引されている場合は普通株に変換し、すぐに利益を得ることができます。

コロナクラッシュですでに株価が落下している間に、株主を希薄化させたくないという願望と低い金利が影響し、転換社債の新しい発行額は12年ぶりの高水準を示しています。

企業は4月に140億ドルの転換社債を発行し、5月度分に関しては、13日時点で100億ドル分を発行しました。

クルーズ船運航会社のカーニバル (NYSE:CCL)は、5.75%の表面利率(編集部注:債券の利回りのこと。クーポンレート)で20億ドルの社債を発行し、支払う利息を節約しました。

転換社債は通常、株式と債券の両方を上回るパフォーマンスを上げます。特に変動が大きい時期は尚更です。債券の安全性と株の利点を有しているため、これは驚くことではないでしょう。

この1年で、最大の転換社債の上場投資信託(ETF)であるSPDRブルームバーグ・バークレイズ・コンバーチブル債券 ETF(NYSE: CWB)は、株式市場を大幅に上回りました。

S&P500の2.3%上昇に対し、このETFは7.4%上昇しました。

グラフ: Convertible Bonds Trounce the Broader Market 
転換社債が市場全般を打ち破る
SPDRブルームバーグ・バークレイズ

コンバーチブル債券 ETF
出典:ブルームバーグ L.P.

また、2月と3月の最近の暴落の間、ETFは他のすべての資産とともに下落しましたが、2月19から5月13日までの10.9%の低下は、S&P500の16.3%の低下に対し、はるかに下回っています。

SPDRブルームバーグ・バークレイズ・コンバーチブル債券ETFの現在の利回りは3.2%です。

その最大の保有株は、ウェルズ・ファーゴ(NYSE: WFC)、テスラ(Nasdaq: TSLA)、バンク・オブ・アメリカ(NYSE: BAC)の転換社債です。

市場平均を上回る可能性はありますが、投資家は個人向け転換社債を所有することのメリットを享受することはないため、私はETFの購入はお勧めしません。

そして、これらのメリットは極めて重要です。

株価が上昇したときに利益を得るチャンスと、株価が下落するときに投資家のお金を取り戻す、ほとんど保証に近いものの両方を与えてくれるのですから。

ETFの場合、その価値は、下落する可能性がある債券ポートフォリオの値に関連付けられているので、上記のようなメリットはありません。

今回取り上げたETFについては、転換社債が市場平均を上回ることを説明するためだけに触れていることにご注意ください。

まとめると、転換社債は安全性と株の値上がりが期待できるため、知る人ぞ知る穴場的な投資対象と言えます。

あなたの投資が上手くいくことを願って。

マーク


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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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