米国配当株投資

年利回り9%の米国最大の燃料配給会社

所要時間: 3分.

この記事のポイント

  1.  130年の歴史を持つ年利回り9%の燃料配給会社

  2.  コロナ禍でも分配可能な現金が大幅増

  3. 多過ぎる負債が分配金の足を引っ張る?


130年以上前に、ペンシルベニア州ピッツバーグの小さな石油会社としてスタートしたスノコ (NYSE: SUN) は、今では米国最大の燃料配給会社です。 同社は、年間80億ガロン(約303億リットル)以上のガソリンを33州の7,300店を超える小売店に販売しています。 スノコは、四半期ごとに1ユニットあたり0.8255ドル、つまり株価36ドルで年利回り9%の分配金を支払っています。スノコはマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)なので、パートナー(株主に相当)に分配金(配当金に相当)を支払います。この所有権のことをユニット(株式に相当)と呼びます。 (編集部注:MLPは天然資源やエネルギー事業を収益源とする米国における投資形態の一つです。MLPは事業への課税を優遇するかわりに利益の大半を投資家に還元することを法律で定められているため、比較的高配当になります。) この高利回りは、配当投資家にとっては魅力的です。特にスノコが無名の投機的な企業ではないことを考えるとなおさらです。100年以上の歴史があるのですから。 スノコは2012年以降、毎年、分配金を支払っています。 同社は2016年11月に1ユニット当たり0.8255ドルに達するまで四半期の分配金を引き上げ、それ以降は、同額を維持しています。分配金を引き下げたことはありません。 同社は、投資家に支払っている高い利回りを維持することができるのでしょうか? MLPの評価においては、キャッシュフローの指標である「分配可能な現金(CAD: Cash Available for Distribution)」を用います。 スノコの2020年CADは4億5,300万ドルから5億1,700万ドルへと大きく成長しました。 しかし、2021年は、過去数年間で最低の4億4,300万ドルまで落ち込むと予想されています。
Oxford クラブ独自の格付ツールであるセーフティネットプロの基準における最大のマイナス要因は、キャッシュフローを減少させることです。 スノコには、過去9年以上にわたって分配金を減らさなかったという確固たる実績があります。 しかし、2021年にCADが大きく減少することが予想されているということは、配当安全性が低下する可能性があることを意味しています。 また、負債も多すぎます。同社の2021年第1四半期(1 – 3月)のEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益)有利子負債倍率は、4.42倍です。しかし、同社は負債の返済に積極的なので、2021年にはこれより下がると予想されます。 (編集部注:EBITDA有利子負債倍率は、企業における有利子負債をEBITDAの何年で返済できるかを判断する指標です。) 企業の負債が多すぎると、現金の多くが利子の返済に充てられることになり、分配可能な現金が減少してしまいます。そのため、分配金に関しては、負債が少ないほど良いと言えます。 幸いなことに、CADの減少が予想されているにもかかわらず、スノコには分配金を支払う余裕がまだあります。 2020年のCADを基準にした配当性向は68%でした。2021年は80%に上昇すると予想されますが、それでも問題ないと思います。MLPが、CADの100%以上を投資家に支払っていない限り、大した問題にはならないからです。 当面の間、スノコが減配することはなさそうですが、CADの減少には引き続き注意を払っておく必要があります。 もし、2021年のCADが予想を大幅に下回る結果となり、2022年もCADが減少すると判断された場合には、スノコが減配する可能性を考慮する必要があるかもしれません。 今のところ、減配リスクは「中」です。 配当安全性格付け:C
よい投資を! マーク
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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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