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下落した市場は戻らないのか:リスクを理解し、弱気相場を乗り切る

所要時間: 4分.

この記事のポイント

  1. 下落した市場が回復するのに、「一生」はかからない

  2. 1937年以降、10年以上にわたって市場がマイナスになったのは、7回だけ。

    1937年、1938年、1939年、1940年、1946年、2008年、2009年

  3. 弱気相場を乗り切るには、3つポイントがある

    ・今後3年間で使う資金は投資しない
    ・配当性向が高い企業に投資する
    ・売りストップ戦略を使う


「ウォールストリートのカジノには投資するな!!」と、その男は叫びしました。「そのお金は捨て金になって、もう戻ってこない!それであれば、この…」と、続けざまに言いました。そう、彼はラジオで「年金保険を販売している男」でした。彼は、投資家たちに「高いリスクのカジノ」だと主張するのです。だから、その代わりに、年金保険をと。

そして、彼はこうも言いました。2000年や2008年のようなひどい弱気相場になったら、「元本を取り戻すには一生かかるぞ!」と言って、ラジオのリスナーの目の前で、火事が起きるがごとく、恐怖を煽りはじめました。



恐怖に支配されたリスナーたちは…


なんということでしょう。その恐怖の感情に支配されたリスナーは、今すぐ、株式投資から撤退し、彼の年金保険に入るかもしれません。もしくは、これから株式投資を始めようとしていたリスナーは、カジノでお金を失う前に、彼の年金保険に入るかもしれません。

それもそのはずです。彼らにとっては交通事故か、火事にでもあったように、株式を扱い、リスナーの恐怖の感情を煽っているのですから。でも、きっと賢明なあなたは、これが「大きな間違い」だということにお気づきでしょう。というより、「完全な間違い」だと。



本当に一生かかる?


例えば、1987年10月19日のブラック・マンデーに、ダウ工業平均株価は22.6%急落しました。これは米国株式市場の歴史上、1日での最大の下落になりました。
では、この下落を取り戻すのに一生かかったのでしょうか?その答えがこちらです。

ダウ平均株価ー1987年〜1989年の推移

一生かかりませんでした。かかったのは「わずか15ヶ月」でした。他にも間違いが。2007年から2008年にかけての金融危機の間、S&Pは2007年10月の高値から57%とケタ外れの下落を記録しました。では、この下落を取り戻すのに一生かかったのでしょうか?その答えがこちらです。

S&Pインデックスー2007年〜2013年の推移

一生かかりませんでした。多少時間は要しましたが2013年4月までには2007年10月の水準に戻りました。5年半は長い期間です。でも、決して「生涯」ではありませんでした。

実際、もしあなたが信じられないほど悪いタイミングで2007年に市場に参入し、それを今日まで保有し続けたとしても「89.2%」つまり年率7%の上昇になります。

これは市場の過去平均値の8%をわずかに下回る水準です。大恐慌以来、最もタイミグの悪い急落の直前に、相場の天井で買ったことを考えると、それほど悪い結果ではないでしょう。



彼は話を大きくし過ぎた…


ここまでお伝えすれば賢明なあなたであれば、もうお分かりでしょう。私が強調したいのは、この年金保険商品のセールスマンの彼が、「年金が魅力的に聞こえるように、市場リスクを大袈裟に伝えた」ということです。

彼は、何としてでも私たちを恐怖の感情で支配しようとし、弱気相場や暴落が起きたとき、パニック売りが続き、回復するまで一生かかるからリスクが大きいぞ!と主張を続けたようです、、、自分の保険を売るために…。



「市場の10ヶ年リターン」に注目


私は『Get Rich With Dividends』を執筆したとき、「市場の10ヶ年リターン」に注目しました。すると、分かったのは、1937年以降、10年以上にわたって市場がプラスにならなかったのは、

  • 1937年
  • 1938年
  • 1939年
  • 1940年
  • 1946年
  • 2008年
  • 2009年

の7回だけでした。

約80年の中で、7回だけです。言い換えれば、10年以上にわたり損失する場合、史上最悪の経済で株式市場の下降局面で売っていなければならなかったことになります。そして、弱気相場中も、まだ利益を上げていたはずの期間が沢山ありました。

たとえば、1932年から1941年まで市場に幅広く投資していたなら、大恐慌中であっても、まだ利益を上げ続けていたことになります。2001年の初めに投資を開始しドットコム業界の大暴落と2008年の全体的な大不況を耐え2010年に売却していれば、12%上昇したことになります。

だから、次の暴落では元が取れない(理論上、下がるかもしれない)という考えは、とても考えられないことでしょう。そうは言っても、これは全て結果から分かることです。だから、実際に弱気相場に直面したらそうはいかないかもしれません。



弱気相場を乗り切る3つのポイント


そこで、最後にその弱気相場に直面したときそれを乗り切る「3つのポイント」をお伝えしましょう。


【1】今後3年間で使う資金は投資しない

今後3年間の支払いに必要な資金を、現金や預金口座などの、できるだけ安全なものに保管しておきましょう。米国債も、その一部に該当するかもしれません。そうすれば、株式市場が下落しても、必要以上に恐れる必要はなくなるでしょう。


【2】配当性向が高い企業に投資する

利回りが安定していれば、弱気相場の痛みを和らげることができるでしょう。さらに、その銘柄が増配を続ける場合は、より良い材料になるでしょう。(Oxfordインカム・レターのポートフォリオはこのような銘柄です)


【3】売りストップ戦略を使う

トレードに入る際にストップ・ロスを設定すれば、市場が下落したときに売ってしまうという感情的な意思決定を避けることができます。ストップにはさまざまな種類があり、出口戦略によって使用するものが異なります。出口戦略を明確に決める前に、ポジションを持ってはいけません。それが私の考えです。

売りのストップ戦略を使うと、弱気相場に切り替った際、利益を確定するか、損失を最小限に抑えて、手を引くことができるでしょう。



強気相場が来るように、弱気相場も来るものです。もちろん、それはあなたにとって面白くないことであることは承知しています。ですが、それは、この世の終わりではありません。これまでご覧になっていただいた通り、理論上の損失を取り戻すのに、「一生掛かるわけではない」ということを、あなたにご理解いただきたいと思います。

そうすれば、弱気相場での損失を最小限に抑えることもできれば、株価が下落したときに、保険のセールスマンの脅しともいえる売り込みから回避できるでしょう。そして、それがあなたの資産を増やすこと狙う良い投資になるでしょう。

良い投資を!

マーク・リクテンフェルド


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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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