トレンド投資

上場を控える新たな公共交通機関の「創造的破壊者」企業

過去数十年間、我々は「創造的破壊者」企業の改革を様々な産業で目撃してきました

フェイスブック (Nasdaq: FB) とツイッター (NYSE: TWTR) は、人々に新たなコミュニケーション方法を提供しました。ソーシャルメディアは今や、世界で最も力強い広告プラットフォームの一つとなっています。

ストリーミングサービスのネットフリックス (Nasdaq: NFLX) は、他の何十社もが真似するビジネスモデルを作っただけでなく、最高のコンテンツも提供しています。同社が制作した番組は、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞に毎年ノミネートされ、実際に多くの賞を受賞しています。

ウーバー (NYSE: UBER) とリフト (Nasdaq: LYFT) は、自動車による送迎のライドヘイリングサービス産業を覆しました。実際のところ、ニューヨークなどの都市ではタクシーの価値が急激に下がりました。

電子商取引の巨大企業であるアリババ (NYSE: BABA) とアマゾン (Nasdaq: AMZN) は、全小売業界が真似したい手本となっています。

テスラ (Nasdaq: TSLA) は、自動車産業全体を電気自動車の大量導入へと導いています。

不動産業では、オープンドア・テクノロジーズ (Nasdaq: OPEN) とジロー (Nasdaq: Z) が注目されています

金融業界では、ビットコインと暗号資産が注目を浴び、ブロックチェーンの将来性も期待されています。

こういった企業は他にも多く存在します。

このような「創造的破壊者」企業が軌道に乗る前から投資してきた投資家たちは、人生が大きく変わるほどの利益を手にしています。そして、実はまた新たな「創造的破壊者」企業が上場しようとしているのです。この企業はウーバーやリフトのように、今後の我々の移動手段を変えることでしょう。

今後10年間の新たな公共交通機関

2000年に入ってがっかりしたことと言えば、空飛ぶ車がまだ存在していなかったことでしょう。私が小学生の頃、未来には空飛ぶ車と自動運転車があるだろうと期待していましたし、ロボットも沢山あると思っていました。誤解しないで欲しいのですが、実際にこのようなものは存在しています。ただ、想定していたほどの数ではないのです。

そして、空飛ぶ車は間もなく実用化されますが、高価すぎるので一般人には購入できません。しかし、ョビー・アビエーションは数百万人の通勤者に空飛ぶ車を提供しようとしています。

同社は、過去10年間にわたり、交通渋滞を避けるために排気ガスの出ない電動垂直離着陸機(eVTOL、イーブイトール)を開発してきました。

出所:ジョビー・アビエーション

各機体には、操縦者1名と乗客4名が乗車でき、最高時速約322km(200マイル)で、およそ8kmから241km(5~150マイル)移動することができます。

これは、ウーバーとリフトに続く未来のタクシーなのです。実はウーバーがこの件で動いていましたが、2020年12月にその事業をジョビー社に売却してしまいました。そしてウーバーはジョビー社に7,500万ドルの出資をすることで同意しました。さらに2020年には、eVTOLタクシー事業はトヨタ (NYSE: TM) からも3億9,400万ドルの出資を受けています。

同社の目標は、環境に優しい方法で、10億人の毎日の通勤時間を1時間減らすことです。早ければ2024年にも空飛ぶタクシーの実用化を計画しています。そして実用化し始めれば、同社のビジネスは文字通り離陸することになるでしょう。

同社の2025年までの売上高予想は7億2,100万ドルです。そして、2026年までにはその2倍以上の売上高を予想しています。その頃までには約850台のeVTOLタクシーが稼働する見込みで、同社は1台あたり年間220万ドルの売上を予測しています。

また、今後10年間では、およそ1万4,000台のeVTOLタクシーが稼働し、売上高は200億ドルを見込んでいます。少なくとも世界各国の20都市に展開し、同事業が年間売上高全体の50%以上を占めると予想されています。この業績予想は高く見積もりすぎているように見えますが、同社は競合の中では飛びぬけて事業を推進しているのです。

10ドルから始められる1兆ドルのチャンス

市場にいち早くeVTOLタクシーを送り出そうと必死な企業はいくつかあります。その中でも、ジョビー社には非常に魅力的なチャンスがあるのです。

同社の機体はすでにテスト飛行を開始していて、米国連邦航空局からeVTOL企業として初めて安全認証を取得しました。また、アメリカ空軍からも機体の安全性を承認されています。それから、トヨタとウーバーからの投資を受けているという大きな強みも持っています。トヨタは機体の製造の戦略的パートナーでもあり、2021年中に製造を開始します。

さらに、同社を支援している投資家は、同社が特別買収目的会社(SPAC)のレインベント・テクノロジー・パートナーズ (NYSE: RTP) との合併後に上場することから恩恵を受けるでしょう。ジョビー社の取引価格は66億ドルです。この数字はまだ実際の売上が出ていないのに高額なように見えますが、エアモビリティ市場は米国で5,000億ドル、世界では1兆ドルを上回る規模になると予想されています。また、レインベント・テクノロジー・パートナーズの株式は、約10ドルで取引されています。この巨大な市場に参入するには割安です。

ジョビー社は、我々の移動手段に革命をもたらそうとしていて、今後10年間で偉大な「創造的破壊者」企業となるでしょう。この市場が軌道に乗るのは数年後になりそうですが、投資家は今のうちからジョビー社にアンテナを張っておくべきことに違いありません。

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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