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ポートフォリオ考え方:更に一歩進んだ、戦略のポートフォリオとは?

所要時間: 5分.

この記事のポイント

  1. ポートフォリオを端的に言うと、組み合わせ

  2. ポートフォリオを組む意味は、リスクを分散する為

    組み合わせ次第では、安定的に利益を上げることを狙える

  3. 「マルチストラテジー」は、同時に複数の戦略を運用する戦略のポートフォリオ

    例:時間軸で分ける、リスクとリターンのバランスで分ける、人で分ける、分野で分ける


株式投資に限らず、投資の世界には「ポートフォリオ」という言葉があります。ポートフォリオとは、シンプルに言えば「組み合わせ」とも表現できるかもしれません。

例えば、投資家によっては「現金・預金・為替・株式・不動産・金・債券・先物」などのように、異なる金融資産を組み合わせることとして、ポートフォリオを使うでしょう。

また、投資家によっては「株式で保有する銘柄の組み合わせ」や「保有する不動産の組み合わせ」を指すでしょう。もしくは、「株式の中でも国内と海外の組み合わせ」や「不動産の中でも国内と海外の組み合わせ」というように、組み合わせ方法は様々です。



なぜ、ポートフォリオが必要?


では、そもそも、なぜこのようなポートフォリオを組むかと言うと、その大きな目的は「リスク分散」「リスクヘッジ」だと考えられています。例えば、あなたが、現金と日本株だけを保有していたとしましょう。そのようなとき、かつて起きたリーマン・ショックのような大暴落があったらどうでしょうか…?

想像するのは簡単でしょう。一気に資産が減り、正常な精神状態を保つのは難しいと思われます。実際、あの出来事は、株式投資専門家であるファンドマネージャーたちも、大きな損失を受けました。

中には、あのことを機に、他の投資手法に変えた人もいるほどです。専門家以外でも、資産を大きく減らした個人投資家が多く、株式投資から撤退した人も多数いると耳にします。



一銘柄に集中投資できる?


きっと、一般的な投資家よりも高い知識を持っているあなたであれば「一銘柄集中投資」を選択するのは、なかなか難しい選択だと考えるでしょう。反対に、「一銘柄に集中」という行為は、投資ではなくギャンブルなどの賭け事と変わらない感覚かもしれません。

つまり、これは一銘柄という例えは極端かもしれませんが、偏りのある投資はリスクがあるということでしょう。このように、ポートフォリオを組むことは「こちらがダメでも、あちらが大丈夫」というように、リスクヘッジにつながります。また、組み合わせ次第では、安定的に利益を上げることを狙うことができるでしょう。

だからこそ、私たち投資家の中では、形式は様々ですが、このポートフォリオという概念を取り入れることは必須とも言えるのではないでしょうか。ただし、ここで一つ注意しなければならないことがあります。



見落としがちなポートフォリオの盲点


それは、一般的に言われるポートフォリオとは、このような金融商品の組み合わせや、銘柄の組み合わせにとどまっていることです。もちろん、これは必須とも言える概念ですので、間違いではありません。ですが、ここでもう一段深堀りした概念があります。

それが「マルチストラテジー」と言われる概念です。これはヘッジファンドなどが資産運用のときに使う手法だと言われています。では、そのマルチストラテジーとは何かと言うと「複数の戦略」を組み合わせてリスク分散をしながら、利益の最大化を狙う手法です。



戦略を組み合わせるのもポートフォリオ


名前は違いますが、考え方はポートフォリオと同じなので、ポートフォリオの一種と考えても良いでしょう。では、具体的には、どのようなものが、このマルチストラテジーにはあるのでしょうか?例えば、このような「戦略の組み合わせ」があります。

  • 上昇相場向けの戦略(順張り戦略)
  • 下落相場向けの戦略(逆張り戦略)

上昇相場向けの戦略の代表的なものとして「順張り戦略」というものがあります。これはアメリカの伝説の投資家集団「タートルズ」などが使う戦略として有名な戦略です。

イメージとしてはオークションのようなものです。ある銘柄に買いの需要が高まり、株価が上昇しているときに買付し、その上昇基調が終わるときを見計らって売却し、利益を上げることを狙う戦略です。

反対に、下落相場向けの戦略の代表的なものとして「逆張り戦略」というものがあります。これは、比較的日本の個人投資家に好まれる戦略と言われています。

イメージとしてはバーゲンセールのようなものです。悪材料などが出て、本来の株価よりも下落したタイミングで買い付け、本来の株価に戻ったときに売却して利益を上げることを狙う戦略です。

このように、この2つの戦略は全く戦略の性質が異なります。片方は「人気のあるものは、もっと人気が出て価格が上がる!」というオークション型の前提条件で、片方は「一時的な下がったものは、また戻るから今が買いだ!」というバーゲンセール型の前提条件です。



あなたなら、どの戦略を選ぶ?


もし、あなたがこれらの戦略を運用して利益を上げることを狙うなら、どのような選択をするでしょうか。上昇相場向きの順張り戦略だけを使うでしょか…それとも、下落相場向きの逆張り戦略だけを使うでしょうか…それとも両方でしょうか?

賢明なあなたであれば、どちらか一方の選択をするのは、偏りのある投資でリスク分散になっていないと考えるでしょう。加えて、それは利益の最大化を狙うことにはならないだろうと考えるでしょう。きっと、あなたは両方の戦略を運用することを選択するでしょう。

つまり、これが戦略のポートフォリオとも言える、同時に複数の戦略を運用する「マルチストラテジー」なのです。しかし、この概念は、ポートフォリオに比べて、まだ一般的ではないこともあり、あまり知られていません。

リスク分散をして、利益の最大化を狙うなら「金融商品の分散」「銘柄の分散」というところまでの概念にとどまっています。そういった意味では、あなたがここでマルチストラテジーの存在を知ったことは大きいかもしれません。

ちなみに、このマルチストラテジーを構成する戦略の組み合わせ方も、ポートフォリオと同様に様々です。ポートフォリオに正解がないように、「これだ!」という正解はないと考えてよいでしょう。しかしながら、組み合わせの際、注意するポイントはあります。それが「同じタイプのものを組み合わせない」ということです。



戦略の組み合わせ方


厳密に言うと、同じタイプでも成立する方法はありますが、それは高度なテクニックを要します。ですので、基本的な考えとしては、同じタイプは組み合わせないほうが良いでしょう。例えば、何らかの順張り戦略だけを組み合わせるようなことです。

なぜなら、同じタイプの戦略を組み合わせると、このマルチストラテジーやポートフォリオの概念は「リスク分散して、利益の最大化を狙う」ことにつがりくいからです。

特定の銘柄への集中はしませんが、戦略が集中してしまいます。だから、これはリスク分散につながりにくく、何かの節に全ての戦略が上手くいかなくなるリスクが抱えていることになるでしょう。

ただし、多少高度なテクニックが必要になりますが、同じ戦略のタイプでもそうならないようにする方法もあります。例えば、日本株で考えると、東証一部銘柄、東証二部銘柄、JASDAQ銘柄などのように、投資対象の銘柄群を分けるという方法です。



その1:時間軸を分ける


その他にも、このような方法があります。(※これは一例です。他もアイデア次第で様々な組み合わせ方法があります)

  • 1.時間軸を分ける
  • 2.リスクとリターンのバランスを分ける
  • 3.人を分ける

1つ目の「時間軸を分ける」は、「短期・中期・長期・超長期」など、戦略のコンセプトを分類することです。例えば、同じ配当株投資と言っても、20年、30年先を見据えた超長期スタンスの戦略もあれば、最大10年、11年を見据えた長期スタンスの戦略もあります。場合によっては、5年後…来年…来月…など、中期や短期のスタンスの戦略もあります。このように時間軸は、様々でしょう。

もし、あなたが、20年、30年を見据えた超長期スタンスの戦略から選んだ銘柄だけを保有していたらどうでしょうか?きっと、この感覚はあなたの年齢などで大きく変わると思います。もしかすると、現実的に見て、もう少し手前の年月で利益を狙いたいと考えているかもしれません。

では、あなたであれば、そのときどうするでしょうか?もちろん、しっかりとポートフォリオやマルチストラテジーの概念があるあなたであれば、「今は、超長期のものを保有しているから、これに長期、中期、短期などのものを組み合わせる」と考えるでしょう。

ですが、しっかりとポートフォリオやマルチストラテジーの概念がない、私たち以外の投資家たちは「よしっ、超長期では利益が先になってしまうから、それは資金を引いて、短期に集中しよう!」などに舵を切ってしまう傾向があります。



その2:リスクとリターンのバランスを分ける


だから、このウェルス・ピラミッドは、このような時間軸をミックスした戦略コンセプトになっています。また、それに加えて、2つ目の「リスクとリターンのバランスを分ける」ことをしています。ローリスク・ローリターン型の「保守的な投資」、ミドルリスク・ミドルリターン型の「積極的な投資」、ハイリスク・ハイリターン型の「超積極的な投資」を組み合わせています。

つまり、ここからも分かるように偏りなく戦略も組み合わせていくことが重要だということでしょう。また、この他に変則的ではありますが「アナリスト」を分けるという方法もあります。投資家の中には、自分で銘柄選定するのではなく「特定のアナリストがすすめる銘柄」を保有することを好む人もいます。



その3:人を分ける


実は、これも「人を分ける」ことを取り入れることでリスクヘッジにつながり、利益の最大化を狙うマルチストラテジーの概念に当てはまります。例えば、投資家の中には「あのアナリストは、こう言っているが、あちらのアナリストは、こう言っている…どちらが正しいのだ!」と悩む方がいます。

もし、そのような場合は、資金量に合わせて「複数のアナリストの情報を組み合わせる」ことも、マルチストラテジーの一種になるでしょう。アナリストの情報は、全員が同じということはなく、その人の得意分野や投資スタンスによって異なります。

しかも、同じ戦略に見えても、その中身が異なることは十分に考えられます。例えば、同じ成長株投資でも、来月の成長を狙うのか、来年を狙うのか、10年後を狙うのかなど、時間軸が違うことは多々あります。

そういった場合、そのアナリストが、どのような時間軸で見ているかを把握し、組み合わせるのも方法の一つでしょう。このように、アナリストと言っても戦略の細かい部分が違うので、組み合わせ次第では、様々なことができるかもしれません。

そうそう他にも、銘柄を全て同じテーマのものにしないという方法もありました。例えば「バイオ」などに偏らず、「バイオ」「ハイテク」「食品」「インフラ」などのように分野を組み合わせるのも方法でしょう。さらに、トレンドで戦略をスイッチする「スイッチング・モデル」という方法もあります。

つまり、それだけ自由度があるので、あなたに一番合った組み合わせを選択すと、できるだけリスクを抑えて利益を最大化することを狙えるのでしょう。



情報の受け手だから受けられるメリット


なお、ここで挙げたものは、あくまでも例です。先にお伝えしたように、これが正解という組み合わせはありません。ただし、ポートフォリオやマルチストラテジーの基本的な概念に基づくと、「こちらよりも、あちらのほうが良いと思うから、資金を引き上げて、あちらに全部移す」という発想は、いささか違う可能性があるでしょう。

もちろん、損切りが続き、パフォーマンスが悪いというときは話が違います。自ら損する道に飛び込む必要はありません。そのような状況を除き、もし今保有している銘柄や、運用している戦略、情報を取得しているアナリストなどよりも、より良いものが見つかった場合、このような視点を持つと、良いと考えられます。

マルチストラテジーもポートフォリオの概念の一種と考えると、ポートフォリオには、本当に様々な組み合わせ方があります。一般的に言われる金融商品の区分や銘柄の区分だけでなく、このような戦略の区分もあります。

ですが、なかなかこの視点を持ってポートフォリオを組んでいる投資家が少ないことも現実です。そういった意味では、まさに多くの投資家が見落としがちな「ポートフォリオの盲点」かもしれません。

そのような視点を持ち合わせていると、私たちのように情報を受け取る側は、組み合わせ次第で、本当に様々なことができるということでしょう。もちろん、それには情報を集める必要があります。

ですが、反対に言えば情報を集めることだけで、あなたにとって最適なポートフォリオを組むことができると考えられます。ぜひ、このような視点も持ちながら、これから投資判断をしてみてはいかがでしょうか。


いかがでしたか?
少しでもこのアメリカの強い株が「いいな」と思ったら1株からでもいいので買ってみてください。(アメリカの株は日本と違って1株から買うことができます。)

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