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コロナを打ち負かす2つのもの。

広範囲でワクチン接種が進められる昨今、アメリカは徐々に経済が再開され生活が通常に戻り始めています。ほんの数ヶ月前には、パンデミック終息まで何年もかかると言われていましたが、終息に向かっているのは政府の勝利だ、とメディアでは再三言われています。一方で、次のパンデミックに備えて今から気を引き締めておくべきだ、との警鐘も鳴らしているのです。

しかし、これは両方とも誤った考えです。

新型コロナウイルスによる死亡率が大きく上昇しなかったのは、主に科学とビジネスのおかげであって、政府のおかげではありません。また、次のパンデミックは全く起こらない可能性だってあります。これは主流のメディアが述べる話とは全く逆のことなので、ご説明しましょう。

私たちは、科学がどれほど生活を向上させ、寿命を延ばしてくれるかということを十分に理解していません。

天体物理学者であるニール・ドグラース・タイソン博士は、最近、ウォール・ストリート・ジャーナル紙で次のように述べています。

私たちが100トンの鉄の塊の中で、クッションのついたシートに座って、地上約9,100mを時速約800kmで飛ぶことができるのは、科学のおかげです。私たちがこれまでに会ったことのあるほとんどの人と、一瞬にしてコミュニケーションをとることができるのは、科学のおかげです。世界中のあらゆる知識にすぐにアクセスできるのは、科学のおかげです。あなたもあなたのお母さんも出産で死ななかったのは、科学のおかげです。昔は大体65歳や45歳。あるいはもっと若くに死んでいましたが、今そうでないのは科学のおかげなのです。

そして今、健康と経済の危機であるパンデミックが終息に近づいているのも、科学のおかげです。

しかし、先程のタイソン博士の指摘に水をさすことになりますが、科学者だけの功績ではありません。 何らかの発見が応用科学に成長し、テクノロジー、工学、医学の形で何十億人もの消費者に行き渡るためには、資本主義が必要なのです。

そして、資本主義だけでなく政府も必要です。バスケットボール選手が審判を必要とするように、ビジネスマンにも規制を行う人が必要です。

しかし、審判が笛を吹いて悪質な注意をし続けても、物事は良くもならなければ、簡単にもなりません。

ところが、政府関係者はパンデミックの間中、基本的にそういったことを行っていたのです。私が言っているのは、2020年1月、ドナルド・トランプ大統領(当時)が「我々は(新型コロナウイルスを)完全にコントロールしている」と主張したことや、ニューヨーク州知事が入院患者を老人ホームに入れ、そこで患者が新型コロナウイルスに感染して死亡したことだけではありません。

連邦政府と州政府の失敗により、何万人、いや何十万人もの人々が回避可能だった死を遂げたのです。それはどのようにして起こったのでしょうか?

強引な規制によって薬学研究コストが大幅に増加したことで、有効な新治療法の供給が減少したことによります。タフツ大学医薬品開発研究センターが最近行った調査によると、新薬開発にかかる費用は、2003年の8億200万ドルから、現在では約26億ドルにまで増加しています。

さらに、食品医薬品局(FDA)の新型コロナウイルス担当職員は、新しく発見された治療法の承認を委ねられていながらも、会議を遅らせたり、何日も休んだりしていたことも原因です。現在では、1回のワクチン接種で高い効果が得られるという明確な証拠が得られていますが、従来の2倍の人数にワクチン接種を行ってもなお、多くの命が失われています。

猛烈なスピードで、前例のない協力関係を築いて、私たちにワクチンを作ってくれたバイオテック企業の功績と、政府関係者の無能さを比較してみてください。

例えばモデルナ (Nasdaq: MRNA) は、2020年1月に中国が新型コロナウイルスのゲノムをオンラインで公開してから2日でワクチンを作り上げました。

官僚が次のパンデミックに備えるよう警告する一方で、米国で最も優れた科学作家の一人であり、先月のインベストメント U カンファレンスで基調講演を行ったロナルド・ベイリー氏は、リーズン誌の最新号で、これが最後のパンデミックになるかもしれないと指摘しています。

なぜでしょうか?その理由は、科学とビジネスがそれだけ良い仕事をしているからです。

大手製薬企業は単に新しいワクチンを作っているだけではありません。彼らは全く新しい方法でワクチンを作っているのです。

従来のワクチンの多くは、弱毒化したウイルスや遺伝子組み換えのウイルスを使っていましたが、mRNAワクチンは違います。mRNAワクチンは、体内の細胞が病気を予防したり戦ったりするタンパク質を作る一連の命令をするようなものです。そして、さまざまな病気に対応可能なmRNAワクチンの実用化は、まだ始まったばかりです。

しかし、次の新しいウイルスの流行がパンデミックになる前に押さえ込まれると言える理由は、それだけではありません。

ベイリー氏は下記のように指摘しています。

現在の世界的な大惨事によって引き起こされた生物医学の革新によって、将来の世代に、その後のウイルスの侵入を食い止めるためのツールをもたらしてくれました。これには、迅速に新たなワクチンを生産するプラットフォームの確立、より優れた診断および疾病監視モニタリングの開発、治療薬を迅速に設計する進歩などが含まれます。

遺伝子解析、バイオ医療品、ワクチン開発の進歩により、記録的な速さで新薬が生み出されているというのは素晴らしいニュースです。そして同時に、この業界には新しい投資チャンスが生まれています。

良い投資を。

アレックス

Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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