米国株入門金融リテラシー

米国株投資と外国税額控除の基礎知識:税制と二重課税回避

所要時間: 4分.

この記事のポイント

  1. 不安があれば、税理士に相談するのが良い

  2. 米国株では、二重課税を回避すること

  3. 税制は変更などがあるので、都度確認すること


ここでは、これから米国株投資を始める方にとって必要となる「税」に関する知識をお話します。ただし、こちらの内容は、情報提供としてお伝えするものです。ですので、場合によって適応されるものが違ったり、制度の中の詳細が異なったりすることがあります。ぜひ、税理士や税務署等に相談することなどを適宜していただくことをおすすめします。

また、税務はその時々で変更もありえます。年ごとに税理士や税務署に確認の上、確定申告を行っていただければと思います。では、それを前提に米国株投資における税に関する知識をお話ししましょう。



何もしないと二重課税になる?


米国株売買では、日本株の売買と同様に、利益に対して税金がかかります。ただし、日本株と中身が少々異なります。例えば、以下のような部分が違います。

【売買に伴う譲渡益税】
◯日本株=譲渡益税、配当課税
◯米国株=譲渡益税、配当課税

【配当に伴う配当課税】
◯日本株=国内における配当課税
◯米国株=国内における配当課税+米国での源泉徴収課税

まず、株式の売買における利益にかかる譲渡益税20%は日本国内のみの課税です。つまり、米国株も日本株の売買と変わりがありません。現在はここに東日本大震災に伴う復興課税である0.315%が加わっているので、20.315%が日本国内での課税ということになります。

ただし、配当金への税金は日本株と異なります。米国株の配当金は以下のように課税されます。

  • 米国内での課税10%
  • 日本での課税20%+復興特別税0.315%

 お気づきでしょうか?そうです、二重に課税されています。具体的に見ると、以下の計算式で考えることができます。

  • 100×0.9(米国源泉徴収課税)×0.8(日本での配当課税)=72

 二重で課税されると、この計算式のように、米国株配当金の手取りは72%です。もし、100万円の配当金を年間で得たら、72万円ほど手元に残る計算です。ですので、場合によっては、配当控除などを取れる国内投資に比べて、米国株の配当金利益は、著しく不利だと考えられます。そうなると、私たちが考えている配当株投資は有効ではない方法なのでしょうか?

…いえ、そのようなことはありません。米国の課税は、日米両国における租税条約に基づき、控除することができます。この二重課税は、あくまでも何もしなかった場合の話です(ただし、何もしなければこのように二重課税になってしまいます)。そこで、この二重課税の回避方法として出てくる制度が「外国税額控除」です。

ただし、この「外国税額控除」の申請には条件があります。その一つが「所得税と住民税を納付している人」という条件です。これは、一般的には会社員など収入がある人が申請できるということを示します。また、他に「証券口座の種類」によっても内容が変わります。



一般口座での申請方法


証券口座には、大きく分けて「一般口座」と「特定口座」があります。そこで、まず「一般口座」からご説明しましょう。一般口座の場合、「外国税額控除」の申請をするには、配当を受けるたびに「日本円」で金額を記録し、年間のトータルの額を申告する必要があります。

加えて、一枚ずつの配当報告書を添付して申告します。ですので、日々記録をしっかりつけていないと、確定申告間際で大変になるでしょう。もし、面倒な場合は、税理士に確定申告のお願いをしてしまっても良いかもしれません。

中でも気をつけなければならないのが「日本円で金額を記録する」ことです。控除を受け、還付されるのは日本円です。ですので、ドルベースで記録していても確定申告することはできません。

よって、そうならないよう、その都度の為替を記録し、為替から算出される日本円を記録する必要があります。通常、配当報告書に、これらは記載されていますが、銘柄数が多い場合は1年間ためると、それなりの作業量になります。

だから、できる限りこの一般口座ではなく、特定口座で配当は受け取ったほうが管理コストの面から見て利便性が高いでしょう。しかし、あまり有名ではない銘柄は日系の証券会社では購入することができません。その場合は、やはり一般口座での手続きと同様の記録が必要になるでしょう。

以上が、一般口座での申請方法です。こちらの詳細は、ご利用いただく証券会社にご確認いただくと良いでしょう。



特定口座での申請方法


次は、特定口座での申請方法をご説明しましょう。特定口座の場合は、一般口座とは対照的にシンプルです。一般口座で必要だった年間の損益通算を証券会社が行ってくれます。その結果は、証券会社から1月中旬ごろに発行される「特定口座年間取引報告書」に記載されます。

そして、この結果を国税庁のサイトで打ち込んでいきます。もちろん、税務署に行き同様の手続きをすることも可能です。なお、この手続きで用意する書類は以下の2点です。

  • 特定口座年間取引報告書
  • 源泉徴収票

以上が、特定口座での申請方法です。こちらの手続きについて不安な場合は、最寄りの税務署や税理士などに確認するのが良いでしょう。



売却損(譲渡損)が出た場合との相殺


最後に、損益通算についてご説明しましょう。株式売買の利益は、損益通算と言って、損失とぶつけることによって相殺することができます。これはどのようなことかと言うと、例えば、株式の配当が年間100万円あったとしましょう。

同時に、株式の評価損(マイナス評価)が150万円あるとします。この場合は、あえて評価損を確定させるのが良いと考えられます。なぜなら、年間の損益はマイナス50万円になるからです。そうすると、日本国内における税金はかからないことになります。なおかつ、損失のマイナス50万円は、個人ならば3年間繰り越すことができます。

これはどのようなことかと言うと、米国株の配当金の場合、安定していることが多いことが関係しています。この安定により、翌年も同額程度の配当金を得られる可能性があります。このとき、前年に50万円のマイナスがあると、それが繰り越され、翌年の配当利益から50万円がマイナスされます。

もし、配当利益が100万円であれば、そこから50万円マイナスになるので、そのときの課税対象は50万円になります。そして、これは結果的に節税になります。このような制度を活用すると、税金面でメリットがあります。

ただし、この税制については、場合によって変わることがあります。あくまでも、ここでご紹介したのは知識としての概要です。よって、自分だけで判断せず、税理士や税務署と相談をしたうえで、自分でもできるだけ正確な知識を付けていくことが大切です。

また、細かな制度改正もあります。そのような部分に対応することも必要ですので、ぜひ専門家への相談などをするようにすることをオススメします。


いかがでしたか?
少しでもこのアメリカの強い株が「いいな」と思ったら1株からでもいいので買ってみてください。(アメリカの株は日本と違って1株から買うことができます。)

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