定期預金の不都合な真実…3000万円貯金は現実的か?
所要時間: 7分.
この記事のポイント
- 定期預金の金利は、比較的高いもので0.02%
- 定期預金で3000万円を作ろうとすると、非常に厳しい
- インフレ率の上昇も合わさり、貨幣の価値が変わると更に状況は厳しくなる
「よし、将来のために貯金しよう!」と思ったとき、あなたなら何から始めるでしょうか?その選択肢はたくさんあるでしょう。代表的なところで言えば、利率が普通預金よりも良い「定期預金」などの銀行貯蓄かもしれません。もしくは、貯蓄用の保険などもあります。もし、あなたなら、どのような方法で将来のために貯金をするでしょうか?
3000万円を貯金するには?
ちなみに、この貯金の目標額ですが、ここ最近「2000万円」や「3000万円」の数字をメディアで目にする機会が増えてきました。そこで今回は、仮に「もし3000万円の貯金をつくるなら…」と仮定して、その貯金方法を考えてみたいと思います。
では、いったいどのような方法を使えば「3000万円の貯金」を作ることができるのでしょうか?そこで、はじめに貯金方法を考えるにあたり、その一つの基準として「定期預金」を例に考えてみましょう。なお、この計算方法には、下記のサイトの計算を使います。
<積立目標額の試算 – 高精度計算サイト>
現在の定期預金で考えると…?
あなたは、現在の定期預金の金利をご存じでしょうか?きっと、カンの良いあなたであればご存じでしょう。そうです、比較的高いもので「0.02%」です。中には0.002%などもあります。では、もしあなたが定期預金で3000万円を貯蓄しようとした場合、どのようになるか見てみましょう。下の表をご覧ください。
<金利0.02%の定期預金の場合(年複利)>
もし、3000万円を貯金するのに30年の余裕があれば、比較的現実的な数字に見えるかもしれません。ただし、それでも毎月の積立額「約8万3000円」です。今のあなたの月収から8万3000円を毎月積み立てることを想像してみてください。そのインパクトはどれくらいでしょうか?
当然のことながら、そこに加えて、積立期間も考慮しなければなりません。これはあくまでも30年の場合です。あなたが今、40代であればこの期間は20年かもしれません…50代であれば10年かもしれません…60代であれば、数年かもしれません…そう考えると、少々恐ろしい現実かもしれません。
日本人の月の平均貯蓄「4.1~6.1万円」
ちなみに、日本人の平均手取り年収から算出すると、4.1万円〜6.1万円だと言われています。そこで、今度は「4.1万円」と「6.1万円」積み立てる場合は、3000万円に到達するに、どれくらいかかるか調べてみました。その結果が、こちらです。
<毎月4.1万円・6.1万円の場合(年複利)>
なんと、このような結果がでました。毎月6.1万円の積立の場合は、何と「41年」かかります。もし、この貯金を老後のために考えるなら、19~25歳ごろから積立をはじめなければ間に合わないでしょう。ですが、国税庁の調べによると、その年齢の平均的な手取りは「21.1万円」です。約28%分を貯金するのは少々厳しいでしょう。
もし、毎月の積立を4.1万円にしても約20%分を貯金しなければなりません。しかも60年間かかります。この場合は、あなたが生まれたときからご両親が、毎月4.1万円を積立ていなければ、もう絶望的な数字でしょう。
定期預金の不都合な真実
実は、これが定期預金の不都合な真実です。しかも、今回使った金利は、定期預金の中で、比較的高いものを選択しました。だから、私たちは、将来のために3000万円を作ろうとすると、非常に厳しい環境にいるのが実態でしょう。
そして、これは少々難しい話ですが、見落としてはいけないことがあります。それが「インフレ率」です。身近なところで言えば、自動販売機の飲料の価格が分かりやすいでしょう。かつて100円で購入できたものが、110円…120円…130円と約15年の中で上昇しています。
このように貨幣の価値は、少しずつ変わり、かつて100円で買えたものが100円で買えなくなります。これを考えると、金利が0.02%というのは、このインフレ率の上昇と比較すると、マイナスになる可能性が高いでしょう。
つまり、今私たちが3000万円で購入できると思っていたものが、実際に3000万円を貯めたときに買えない可能性があるということです。そうなってしまっては、せっかく3000万円を手にしても、その効果は薄れるでしょう。
3000万円は10年もたない…
そして、その後に待ち受けるのは「貯金を切り崩す生活」です。仕事を引退し、それまであった月収はなくなり、貯蓄した3000万円と退職金、そしてわずかな年金での生活に切り替わります。そうなった場合、あと何年生活するかを考えながら、貯金を取り崩す生活に変わります。
毎月30万円を使う生活なら、毎年360万円が減ります。その速度は、毎年10%減る速さです。そうなると、10年ももたないうちに、貯金した3000万円を失うことになるでしょう。しかも、手取りの約20~28%を貯蓄したにも関わらず…。3000万円を貯金して「10年もたない」という現実…これが、これまで誰も言ってこなかった本当の不都合な真実でしょう。
では、この不都合な真実を、私たちはただ見ているだけで、そのときに直面するしかないのでしょうか。いえ、そんなことはありません。この不都合な真実を変える方法があります。その方法については、別の記事でお話しましょう。
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