我々投資家がコントロールできないもの、できるもの
以前、投資家として3つの主な目標を持つべきだと解説したことがあります。
- 世界の実情を理解する
- 自分でコントロールできることとできないことを認識する
- 有益なトレンドを利用する
世界の実情を十分に理解していますか?
残念ながら、大半の投資家はここで、大抵知らず知らずのうちに主流メディアの容赦ないネガティブな報道の犠牲となり、脱線します。
ほとんどの人は、世界は実際よりもはるかに自由、平和、安全、平等、豊かではないと思っています。
成功する投資家になりたければ、新聞の見出しではなく、動向を追うことです。
正確で事実に基づいた世界観を取り入れた後の次のステップは、自分でコントロールできるものを見極めることです。以下のチャートが参考になります。
投資家にとって重要なことはたくさんあります。以下は、そのほんの一部です。
- 経済成長
- ビジネスサイクル
- インフレーション
- 金利
- コモディティ(商品)価格
- 技術革新
- 企業業績
- 地政学的事象
- 選挙
- 連邦準備制度理事会(FRB)の政策
- 新しい法律
このリストを注意深くご覧ください。これらの要因はすべて、何らかの形であなたのポートフォリオに影響を与えるでしょう。
このうちのどれをあなたはコントロールすることができますか?厳密に言うと、皆無です。
では、なぜそれらに執着して、あなたの貴重な時間を無駄にするのでしょうか?
この時点では、こう答える人がいるかもしれません。「こういったことを確実に知っている人はいないが、推測を立てなくてはいけない。」
いいえ、あなたは推測する必要はありません。聡明な投資家の真髄はそこにあるのです。「予想する部分」を最小限に抑えましょう。
代わりに注目すべきことは、「あなたのポートフォリオの将来の価値を決定する7つの要因」です。
それらは…
- 投資額
- 複利期間
- 資産配分
- 安全性の高い投資銘柄の選択
- 厳格な売却ルール
- 投資コスト
- 利子、配当、キャピタルゲインへの課税
これらの要因のうち、あなたのコントロールが及ぶ範囲内にあるのはどれでしょうか?全てです。
ここで元の質問に戻りましょう。あなたは投資家として何をしているべきでしょうか?
無理のない範囲で極力多くの投資額を用いて、極力早く投資し始め、極力長い間複利させることです。
あなたの年齢、経験、リスク許容度、想定期間を反映した資産配分で行うべきです。
例えば、あなたが若くて積極的であれば、ポートフォリオは最も好調なパフォーマンスを見せる傾向にあると知られている資産クラス、つまり普通株に大きく傾くべきです。
また、大型株と小型株、外国と国内の金融商品、成長株と割安株などにリスク分散して投資すべきでしょう。
もしあなたが年齢を重ねていて保守的であっても、十分にインフレを上回るリターンを生み出す株式を保有すべきです。しかし同時に、安定性を確保し、不安定要素を低減するために、債券も保有すべきでしょう。
また、安全性の高い投資銘柄を用いて、適切な資産配分を行うべきです。つまり、低コストで節税効果の高い個別株、ETF、手数料なしの投資信託などの有価証券を選び、資産配分を行うのです。
利益を守り、リスクを抑えるためには、年に一度のリバランス(各資産についての配分の比率を計画通り修正し、ポートフォリオのバランスを最適に保つこと)やトレーリングストップ(あらかじめ決めた金額まで値下がりしたら売却すること)などの厳格な売却ルールを利用しましょう。
そして、国税庁の詮索の手からできるだけ多くの利益を守れるよう、ポートフォリオを節税的観点からも管理すべきです。(編集部注:日本ではNISAの活用などで税金優遇を受けることが有効です。)
私は個人富裕層の投資顧問として16年間の実績があり、その後の20 年間はインベストメント・ストラテジストと金融ライターとして活動してきました。
そして、この7つの基本的な要因に注目すれば、95%の投資家よりも有利に投資を進めることができ、大きな資産を形成する助けになるでしょう。
また、もう一つの大きなメリットとして、ストレスや不安を軽減することができます。
なぜでしょうか?それは自分の意思決定能力の範囲内で重要なことに集中しているからです。
哲学者であり詩人でもあるハリール・ジブラーンにはこんな名言があります。
「私たちの不安は、将来のことを考えることではなく、将来をコントロールしたいと思うことから生じる。」
良い投資を。
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