トレンド投資

急成長する人工肉 (植物性たんぱく質) の売上

米国人は肉食です。

ビッグマック、ベーコネーター (ベーコンが入ったボリュームたっぷりのハンバーガー)、ミート・ラバーズ ピザ (肉好きのためのピザ)、ハートアタックグリル (ラスベガスの過激なハンバーガー店。ハートアタックは心臓発作の意味) はアメリカから誕生し、アメリカは肉中心の大食いの生地です。

ここ何年も肉への食欲は増すばかりです。しかし、変化があるかもしれません。

1960年、平均的なアメリカ人の赤身肉消費量は1人当たり167パウンド(約76キロ)でしたが、2018年には31.7%増の220パウンド(約100キロ)近くまで膨れ上がっています。

この記録的な数字は冷汗が出るほどです。

だが、その独占的な赤肉産業は完璧からかけ離れています。カーギル、JBS、ナショナルビーフ、タイソン・フーズの僅か4社が米国内の牛肉加工産業をコントロールしているのです。

この4社が全体の66%以上を占めており、コロナによる生肉工場の閉鎖が起こった際、人々は肉不足に陥るだけでなく、同業界にとっては数百億ドルの売上損失となりました。

2020年5月に読者の皆さんに肉の消費量を抑えるようお伝えしたのは、まさにこういった経緯からです。

フレキシタリアン市場の潜在力

植物性肉類の売上高は2027年までに742億ドルになると見込まれています。

さらに楽観的な予測だと2030年には1,400億ドルを上回ると言われています。

しかし、このような巨額の予測すら保守的な見方かもしれません。

パンデミックが流行している間に植物性の肉の売上高は300%近くも急騰しました。

そして、ビヨンド・ミート (Nasdaq: BYND) からの私のお気に入りの商品は近所のスーパーでも売り切れ状態になっていることは珍しくありません。

ミレニアル世代とZ世代(ミレニアル世代は1981年から1996年生まれ;Z世代は1997年から2012年生まれ)が特に植物性肉の売上に貢献しています。最近流行のベジタリアンやビーガン(ベジタリアンの一種で、卵や乳製品も含んだ動物性食品を一切食べない人のこと)も増加してきていますが、一番食しているのは、きっと私のような消費者でしょう。

私はベジタリアンでもビーガンでもなく、肉を食べます。だが、週に2、3回は赤身肉の代わりに重たく感じない、軽い植物性の肉も食べます。

そんな私は米国民の29%を占める ”フレキシタリアン” に分類されます。フレキシタリアンは様々な食材を食べますが、意識的に乳製品と肉を少なめに食べます。これは6%のベジタリアンよりもはるかに大きな市場です。

投資家はこのフレキシタリアン市場の潜在力に目を付けるべきですし、他の企業がそうすることは確かでしょう。

幅広い商品展開

最近、ビヨンド・ミートは話題のニュースを受けて新高値を更新しました。

同社は次から次へと大手企業と契約を交わし、カールスジュニア(ハンバーガーチェーン)、デルタコ(メキシコ料理を中心とした米国のファストフードチェーン)、ダンキンドーナツ、マクドナルド、ピザハット、サブウェイなどのメニューに商品を提供しています。しかし先日、同社はかつてない最大の提携を交わしました。あのペプシで有名なペプシコ (Nasdaq: PEP) との合弁事業を発表したのです。

2社はThe PLANeT Partnership, LLCを設立することに合意し、これにより、ペプシコのマーケティングとビヨンド・ミートの植物性食品の技術の相乗効果が生まれることでしょう。

実際の商品はまだ開発中ですが、投資家はこの興奮を抑えられません。

私たちが見てきた消費者の食習慣の変化にもうなずけます。1、2年前からペプシコは代替商品や、より健康的な商品の開発に力を入れてきました。例えば、オーブンで焼いたポテトチップスを企画・開発し、ハマス(ひよこ豆をベースにしたディップ)の売上急騰に伴い、ディップして食べられるスナックをリリースしました。また、スポーツドリンクやすぐ飲める冷製野菜スープにいたるまで発売してきました。

さらに、ペプシコは家庭で楽しめる飲料機を提供するソーダストリームや、グルテン(小麦などのタンパク質)や遺伝子組み換え作物が含まれていないフルーツや野菜のチップスを提供するベアフーズ・カンパニーも買収しました。

ペプシコは代替え商品や植物性食品の市場が提供するであろう、とてつもないメリットを得るべく、買収で数十億ドルを先行投資しました。

最近行われた、世界を牽引する大手加工食品企業のうちの1社との合弁において、両社間の提携はまだ始まったばかりですが、ビヨンド・ミートの活躍は今後さらに拡大していく可能性が高い予兆と見れるでしょう。

そして、ビヨンド・ミートは同業界を代表する企業です。現時点で、店舗での売上はうなぎ登りで、2021年には食品サービス面での売上が標準値に戻るとともに、さらなる上昇局面となることでしょう。

今年、レストランが再開すれば、同社の売上は49%以上増加し6億1,145万ドルになると予想され、直実に利益化することが見込まれています。

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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