トレンド投資

健康ブームに後押しされる銘柄とは

トレンドには、始めは影響がわずかでも次第にかなり大きな影響を及ぼすものがあります。

たとえば、「ニューノーマル(新たな常態)」の象徴と言えるものがその一つです。

私は同僚に「最後に病気になったのっていつ?」と聞いてみたことがあります。あなたも考えてみてください。

私はと言うと、2019年以来鼻をグズつかせたことがありません。こんなにも長い間、ちょっとした病気にすらかからなかったことはありませんでした。

私はかなり旅行好きなので、新型コロナウイルスによるパンデミック発生前は、定期的に空港や船のターミナルに行き、飛行機、バス、車、船、電車を利用していました。ホテルにも泊まり、混み合ったレストランやバーで食事をしていました。

そして海外旅行中でも、仕事でオフィスに立ち寄った時でも、握手やらハグやらの挨拶をしていたのですが、こういった挨拶は細菌にとって格別な媒体だったのです。今はこういった挨拶は全くしなくなってしまいましたが、パンデミックのことを考えれば仕方ありません。

そして多くの人が「ウェルビーイング(心身ともに健康な状態にあること)」を最優先に考えています。実はこれが、投資家にとって大きな利益と機会につながるのです。

コロナが助長する健康ブーム

新型コロナウイルスによるパンデミックを受けて、幅広い部門で消費者の習慣に変化がありました。

たとえば、新鮮な果物や野菜が飛ぶように売れ、ビタミンやサプリメントの売上が急増しています。それから運動器具の需要が非常に高いので、企業はその需要に追いつくのに力を注いているのです。

2020年には、ホームジムで有名なノーチラス (NYSE: NLS) とペロトン・インタラクティブ (Nasdaq : PTON) は、広い範囲で市場指数を大幅に上回りました。

そして両社ともまだ伸び代がありますが、健康ブームにおいて、他にも同様に勢いを増している側面があります。

ご存知かもしれないですが、パンデミック中、消費者の77%が免疫力、代謝、メンタルヘルスを高める食品を求めています。そして、赤身肉から植物性(プラントベース)食品への転換もこのトレンドの中に含まれているのです。

世界の植物性食品の市場規模は、2027年までに約740億ドル、10年後までには1,400億ドルに成長する可能性があると予測されています。(2020年9月時点)つまり、1,000%以上の成長が見込まれているということです。

これは肉に限った話ではなく、多くの植物性製品およびビーガン製品の売上は、動物性製品の売上の何倍も速く成長しています。

実際、卵や動物性ヨーグルトの売上は従来より減少傾向にありますが、チーズや牛乳などのひと昔前の時代にテーブルに並んでいた主食は本質的に同水準で使われています。

これは文化的変化の一端に過ぎません。

たとえば、アメリカ人の29%は自らを「フレクシタリアン(準菜食主義者)」と称しています。アメリカ人のほとんどは、野菜、肉、穀物など様々な食品を食べていますが、フレクシタリアンは、そのような様々な食品を食べながらも、乳製品や肉の消費量を減らしています。

さらに、アメリカ人のビーガン人口は急上昇しています。2014年には、米国における消費者のビーガンの割合はわずか1%でしたが、2017年までにその割合は6%になり、500%も増加しているのです。そしてその数は今後も増加し続けます。

これは投資家が無視できない大きなチャンスなのです。

コナグラ・ブランズ (NYSE: CAG) 、ケロッグ (NYSE:K) 、タイソン・フーズ (NYSE: TSN) などの主要企業は、植物性製品のブランド開発に160億ドル以上を投資しています。

また、米国発代替肉メーカーのビヨンド・ミート (Nasdaq: BYND) の株価は、2020年には一時3倍以上になったこともありました。 同じく代替肉メーカーのインポッシブル・フーズのIPOは、今後12ヶ月以内に行われる見込みです。(2021年4月現在)

さて、コロナに後押しされたのはステイホーム関連銘柄だけではなく、アメリカ人の健康意識の高まりによって後押しされた銘柄もあるのです。健康ブームは多くの人に支持されるトレンドであるとともに、利益を得ることができるトレンドでもあります。アメリカ人は運動器具を購入したり、より多くのビタミンを摂取したりしているだけでなく、食生活も従来の食事から植物性タンパク質にまで幅を広げています。

アメリカ人が長生きしようとすることで、投資家にとっては人生を変えるほどの利益を手にする多くの道が開かれています。

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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