トレンド投資

ピードモント・リチウムがテスラとの契約締結で上昇

2020年10月12日

ウォール街には昔から存在する戦略があります。噂で買ってニュースで売れ、というものです。 

この戦略はハイプサイクル(新技術の発表後に過度な期待が起こる→実際に利用して幻滅する→正しい利用方法が広まり再度注目される→安定すると言うサイクル)の中で繰り返し見受けられます。大きなイベント、大きな製品のリリース、新発表に対する期待が高揚感へと沸き立てられるのです。

 投資家たちは、「世界はこの日を境に変わる!」というようなことを言って互いにけしかけます。そしてほとんどの場合、現実は期待を大きく裏切ります。 

バッテリー・デーは不発に終わりました。 

この大きな話題となったテスラ(Nasdaq: TSLA)のイベントでは、投資家たちがよだれを垂らしていました。イーロン・マスクCEOが「ミリオンマイル」技術の画期的な部分を明らかにすると噂されていたからです。 

しかし、彼らが発表したのは、ゆくゆくは電気自動車メーカーがパナソニックからバッテリーを調達する代わりに自社で生産し、コスト削減のために段階的な技術的およびサプライチェーンの改善を図る複数年計画でした。あくびをしたくなるような内容です。 

テスラの株価は、このバッテリー・デーの失望からの数日で430ドルから372ドルまで急落しました。 

でもこれでいいのです。 

イーロン・マスクは山を動かそうとしています。そしてそれは時間がかかることです。 

株価はその後反発しました。そして、依然として2020年に入ってから400%超の上昇率を保っているのです! 

あなたがもしテスラの船に乗り遅れてしまっていても、利益を獲得できる完璧なポジション取りをする方法はまだあります。 

事実、先月には既にとある無名企業の株が600%以上も急騰しているのです。  


サプライチェーンの上昇 

私が覚えている限りでは、世界的な電気自動車(Electric Vehicle。以下「EV」)ブームは必要な原材料の供給に悩まされてきました。このメルマガでは、これまで、銅とニッケルを取り上げてこれらの供給障害について説明してきました。 

テスラは、2030年までに3,000万台のEVを生産できるだけのバッテリー容量を確保したいと考えています。これは、自動車メーカーが今年量産する予定の50万台から大規模な増産です。そして、それはEVメーカーの目標に過ぎません。 

本題はここからです。 

イーロン・マスクと彼の自動車産業の覇権を握る計画を阻む要素が一つあります。 

それは、リチウムです。 

世界のリチウムの総生産量は年間約40万トンです。これは200万~300万台のEVを動かすのに十分な量です。しかし、それは全てのリチウムが電池の生産に回されていれば、の話です。

現在EVに使われているのは採掘されたリチウムの3分の1に過ぎないのです。 

テスラや他のEVメーカーが自社の高尚な目標を達成するためには、より多くのリチウムが必要になります。 

現在、世界のリチウム需要は2025年までに3倍の150万トンになると予測されています。そして2024年までには2倍になると予測されています。 

これは需要と供給の競争です。しかし、私の友人であり同僚でもあるデビッド・フェスラーが長年にわたり何度も指摘してきたように、電池コストが下がればEVも手頃な価格になります。そして、これが需要を押し上げることになるのです。 

イーロン・マスクは自分の夢が直面するサプライチェーンの課題を理解しています。そのため、彼は自分の持ち駒でこのレースに勝負をかけようとしています。直近では、ピードモント・リチウム(Nasdaq: PLL)がその一例です。 

この新興の鉱山会社は、テスラに高純度のリチウム鉱石を供給することを約束した5年間の契約を締結しました。この発表により、ピードモントの株価はロケットよりも高く跳ね上がりました! 

過去1ヶ月間でピードモントの株価は600%以上も急上昇したのです。比較的無名の鉱山会社にとっては大きな勝利です。 

契約上、ピードモントは年間16万トンの3分の1をイーロン・マスクが指示する方法で生産および出荷することになっています。順調にいけば、両社はこの契約をさらに5年間延長します。 

この動きは、私たちが長い間、説いてきたリチウムや他の必要な材料で利益を生む機会を浮き彫りにしています。 

あなたは個人的にEVが好きではないかもしれません。テスラは富裕層向けの高価なおもちゃに過ぎないと思っているかもしれません。しかし、投資家ならEVの普及が革新的なトレンドであることを無視することはできません。 

中国だけでも、2025年までに新車販売台数の20%をEVが占めるようとしているのです。 

世界最大のリチウム鉱山会社であるアルベマール(NYSE: ALB)、ピードモント、またはより規模が大きいもので言えばグローバルXリチウム&バッテリー・テクETF(NYSE: LIT)をポートフォリオに追加し、少なからずリチウム関連の銘柄を持つようにすべきです。 

リチウムは、銅やニッケルと並んでこの革命の鍵となる材料です。そして、今後数年間の見通しも非常に明るいのです。 

ハイリターンを願って。
マシュー

原文:

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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