米国配当株投資

3つのバイオテック投資ルール

所要時間: 2分.

この記事のポイント

  1. 例年と異なるバイオテック業界の動向

  2. ニュースを受けて株価が大きく変動する可能性のあるセクター

  3. バイオテックで利益を上げるために絶対に守るべき3つのルール


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毎年この時期といえば、サンフランシスコで一週間にわたり開催されるJPモルガンのヘルスケア・カンファレンスから戻って荷解きをしているころなのですが…皆さんご存じの理由で、今年は例年とは様子が異なりました。

JPモルガン・ヘルスケア・カンファレンスはヘルスケア業界最大の投資家向けシンポジウムです。

企業の役員、機関投資家やアナリストなど一万人以上が、ホテルの廊下、宴会場やロビーを埋め尽くし、さらには近隣のレストランやコーヒーショップ、天気が良ければ公園まで、関係者で溢れかえります。皆、次のヘルスケア投資で大きな利益を出そうと期待に満ち溢れています。

毎年、このカンファレンスで、重要な臨床治験データ、高額のライセンス契約、さらには大規模なM&Aが発表されます。そのニュースを受け、ヘルスケア銘柄の株価は大きく変動します。

その後数週間の間に、投資家がすべての情報を消化し、調査が進み、マーケットは徐々に落ち着いていきます。

でも、今年は様子が違いました。会議はオンライン開催だったので、ホテルはガラガラ、ユニオン・スクエアを埋め尽くすスーツの群れはありませんでした。

実際、今回のカンファレンスは不発だったと個人的には感じています。 

もちろん誰のせいでもありません。JPモルガンは、テクノロジーを駆使した素晴らしいカンファレンスを滞りなく終えました。ただ、毎年恒例となっている、企業からの大きな発表がなかったのです。

投資家にとってこれはどういう意味があるのでしょうか?沢山の意味があります。

バイオテック銘柄は、カンファレンス前のさまざまな期待で上昇することがよくあり、期間中に重大な発表があれば大きく動きます。その後、若干の調整を経て、沈静化します。

今年、大きなニュースの発表がなかったことは、つまり、今後にカタリスト (株価を動かす材料)が控えているという意味です。

例えば、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq: REGN)の高コレステロール血症治療薬「エビナクマブ」、ティージー・セラピュ―ティクス(Nasdaq: TGTX) の難治性辺縁帯リンパ腫治療薬「ウムブラリシブ」など、米国食品医薬品局(FDA)の新薬承認待ちをしている企業が沢山あります。

リジェネロン・ファーマシューティカルズは2021年2月11日、ティージー・セラピュ―ティクスは2月15日に、FDAから承認審査結果通達を受ける予定です。FDA承認は大きなカタリストになりえます。

(注釈:「エビナクマブ」は2月12日、「ウムブラリシブ」は2月5日にFDAに承認されました。リジェネロン・ファーマシューティカルズの株価はほぼ変わらず、ティージー・セラピュ―ティクスの株価はわずかに上昇しただけです。様々な要因があるため、必ずしも株価が大きく動くとは限りません。)

また、アミカス・セラピューティクス(Nasdaq: FOLD)のポンぺ病治療薬、ノババックス (Nasdaq: NVAX)の新型コロナウイルス感染症ワクチンの臨床治験データなどが、今後数週間(2021年2月上~中旬)以内に発表される予定です。

(注釈:アミカスは2月10日にポンペ病治療薬のフェーズ3臨床試験で標準薬を上回る結果が得られなかったと発表して株価が急落しました。ノババックスは2月4日に新型コロナワクチンのフェーズ3臨床試験が進行中だが、使用許可に必要な一部データの審査をFDAが開始したと発表しましたため、株価が大きく上昇しました。こちらは株価が大きく動いた事例になります。)

バイオテック・セクターにおいてどのようなM&Aが行われるかは予測困難です。カンファレンス期間中に契約締結を発表する企業が多いですが、静かに交渉が進む場合もあります。しかし、カンファレンスの際に顔を合わせて協議することは交渉を着実に進めるのに効果があるのは確かです。

私は、今年もこのセクターのM&Aが行われると予想しています。大手製薬会社もバイオテック企業も成長のために買収をしていかなければならないからです。サンフランシスコで直接の話し合う機会を失ったことで交渉が遅れているのでしょう。

バイオテック・セクターの投資家、著者として、通常でしたら今頃は一息ついたあと、カンファレンスで収集した情報の分析にせっせと勤しんでいるころです。

今年はカンファレンスで大きなニュース発表がなかったということはつまり、今後数週間から数か月にかけて、ヘルスケア、バイオテック・セクターで様々な出来事が起きることを意味しています。

皆さんも心しておいてください。2021年バイオテック・セクター投資で利益を上げるためには次の3点に気を付けてください。

1. 新型コロナウイルス感染症関連にこだわらない

希少疾患、癌や心臓疾患などを治療する素晴らしい薬を開発中の企業の株価は、発表内容次第で激しい値動きを見せます。

2. 投資対象に多様性を持たせる

バイオテック・セクターに投資するときは、分散投資を心掛けてください。どんなにすばらしい薬品や技術だと思えても、銘柄を一つや二つに絞ってはいけません。バイオテック・セクターの投資では企業規模にとらわれず、また一つの疾病に対象を限定せずに、ポートフォリオに多様性(ダイバーシティ)を持たせるようにしてください。

3. リスクを管理する

バイオテックの、特に小さな企業などは、ニュースによる値動きが激しく、株価が一気に50%以上変動することもあります。特定の銘柄に大金をつぎ込んでポートフォリオ全体にマイナスの影響が出ないように気を付けてください。

また、その銘柄に投資した理由を明確にして、それを貫くことも大切です。

例えば、ある製薬会社が開発中のがん治療薬が、安全で効果があると予測して投資したのに、臨床治験データが悪かった場合、今後、何か良いことが起きるかもしれないと期待してその銘柄を持ち続けることを正当化しないでください。直ちに、売ってください。

今年は対面形式のカンファレスがなくて大変残念でしたが、これからの2-3四半期はバイオテック・セクターに大きな動きがあるでしょう。注目点・ポイントを見誤らなければ、大きな利益を上げられるでしょう。

よい投資を!

マーク


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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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