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偉大な投資家が持つマインド


  • 世界で最も成功している投資家たちは、世界の状況や最新の市場分析を気にしていません。
  • 今日は、アレクサンダー・グリーンが、世界で最も成功している投資家たちが知っていること、そして私たちが実際の現状について何を認識すべきかについて解説します。

何百万人もの投資家が、バークシャー・ハサウェイ社のウォーレン・バフェット氏や、フィデリティ・マゼラン・ファンドの伝説的元マネージャーのピーター・リンチ氏のように、素晴らしい投資リターンを得ることを夢見ています。

しかし残念ながら、大多数の投資家にはそれに必要な決定的要素が欠けています。それは、正しく物事を捉える力です。

例えば、こういうことです。

世論調査「YouGov」による2016年の調査で、17ヵ国の人々に「すべてを考慮した上で、世界は良くなっていると思いますか?悪くなっていると思いますか?」と尋ねました。

わずか11%が「良くなっている」と回答しました。(米国では、「良くなっている」と回答したのは6%だけでした。)

あなたも同意するかもしれません。でも、すべきではありません。

200年前、世界人口の84%が極度の貧困のなかで生活していました。1981年も、世界銀行調査によると、その数はまだ43%でした。今日、その数は8%未満です。

200年前、世界人口の90%が読み書きができませんでした。今日、その数は反転し、90%近くの世界人口が読めるようになっています。

ここ30年間で、26億人がきれいな水を手に入れることができるようになりました。世界人口の80%以上が電気を利用できるようになりました。

30年前、インターネットにアクセスできる世界人口は0%でしたが、今日は半数以上がアクセスできます。

1945年以降、世界の大国間で戦争が起きたことはありません。過去30年間、内戦ははるかに少なくなっています。テロ攻撃も減少しています。

私たちは、ハーバード大学の心理学者スティーブン・ピンカー氏が「長い平和」と呼ぶ環境のなかで暮らしています。

他にも多くの改善の兆しがあります。

民主主義下で暮らす人々の数は増加しています。世界的に平均寿命は伸びています。生活水準はかつてないほど高くなりました。教育水準も同様のことがいえます。凶悪犯罪は長期的に減少傾向にあります。大気と水質は改善しています。宗教的不寛容、男女不平等、人種差別、同性愛嫌悪はすべて減少しています。

しかし、ほとんどの人はこれらのことを知りません。

著名な公衆衛生学者ハンス・ロスリング氏は著書「FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」で、貧困と富、エネルギーと環境、銃と暴力、健康・教育・男女平等の世界的な発展について、数十ヵ国の何千人もの人々に、何百もの質問を投げかけたことについて説明しています。

彼は、あまりにも多くの人々が実情を把握していないことに気付きました。その中には、というより、「ノーベル賞受賞者」も混ざった、博識な高学歴の人々は特にその傾向がありました。

ロスリング氏はこう結論付けています。

誰もが衝撃的なほどに世界を間違って理解しているようです。衝撃的なだけではなく、体系的にも間違っています… 「テストの結果」は、全く知識を持っていない人が答えるよりも、悪かったのです。

 しかし、世界で最も成功しているビジネスマンや投資家は、より正確な視点を持っています。

 彼らはすべてを正確に把握しているわけではありませんが、全体像を把握しています。彼らは、現在進行中の進歩を認識し、それらに投資するのです。

マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏はこう言います。

どの尺度から見ても、世界は史上最高に良くなったといっても過言ではないでしょう。人々はより長く、より健康的な生活を送っています。このような目覚ましい進歩が広く称えられると思うかもしれませんが、実際には、多くの人が世界の状態は悪くなっていると考えています。これは単なる間違いではなく、有害なことです。

バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアム氏の名言の中にこんな言葉があります。

「救いとなる信念を未来に抱けなければ、投資する人はいないだろう。明日はより良い日になると信じる人が投資家になるのです。」

また、ピーター・リンチ氏は米国の金融専門誌バロンズの特集記事で、「米国の問題は改善傾向にあるということがすべての根底にある前提である。それが信じられないなら、株式市場に参加すべきではない」と述べました。

「多くのアメリカ人は、今や子供たちは自分たちのような良い生活を送れないだろうと思い込んでいますが、その見方は完全に誤りです。今日、米国に生まれてくる乳児は、史上最も運に恵まれています。米国の経済マジックは今も健在だからです。」

明らかに、偉大な投資家たちは、米国には常に深刻な問題があることを理解していますが、大半の場所で、大半の人たちにとって、大半のことが改善傾向にあることも理解しています。

つまり、彼らの動きしかし圧倒的大多数の人たちは、メディアによってクローズアップされるネガティブなニュースや、それによって作り出される社会の雰囲気(ストーリー)によって、あたかも社会全体が悪い方向に向かっているかような誤解をしているのです。便乗することも有意義な戦略なのです。

これがどのように投資家を徐々に腐食させていくかについてはまたの機会にお話ししますが、偉大な投資家はこのような「マスター・ナラティブ」に惑わされるのではなく、世の中を正しく捉える視点を持っています。

「救いとなる信念を未来に抱けなければ、投資する人はいないだろう。明日はより良い日になると信じる人が投資家になるのです。」 by ベンジャミン・グレアム

良い投資を。

アレックス

Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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