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投資は怖い?


  • 多くの人が投資を敬遠しているのは、株式市場の仕組みが分からず、株価変動が怖いからです。
  • 今日は、アレクサンダー・グリーンがなぜ株式保有が最良の資産形成方法なのか、また、資産配分によってリスクと恐怖心を低減する方法について、ご紹介します。

私は、いろいろなところで株式を保有することについての多くのメリットについてお話してきました。

現金、債券、不動産、もしくは金(きん)のような資産クラスで株式と同等の長期リターンを生み出すものはないだけでなく、株式は容易に購入でき、安価で取引できます。

でも、なぜ株式投資を始めない人がこんなに多いのでしょうか?

一つの理由は、恐怖心です。

マクドナルド株を長期保有しようと決断した株主はハッピーでしょう。

私がファンドマネージャーとして働いていた頃も、危険を察知するとすぐに逃げ出そうとする心配性なお客様が何名かいらっしゃいました。彼らはその数ヶ月後に後悔するのです。

30年以上前のある日、そういったお客様の一人がパニックに陥った状態で電話を掛けてきました。

その日の株式市場が大きく値を下げたため、彼はポートフォリオ内の銘柄すべて、手始めに最も利益を出していた持ち株の一つ、マクドナルド (NYSE: MCD) を売却して資金を引き出したいと言い出したのです。

「本当に売却してしまっていいんですか?以前株価が下落した時のことを覚えていらっしゃいますよね?その時株を手放したご自身の行動は、合理的ではなく、ただ感情に流されただけだった、とおっしゃっていたように思うのですが…」

「それはそうなんですが…今よりもさらに値が下がるなんて、考えるだけでも耐えられないんですよ。」と彼は言いました。

「今どちらにいらっしゃいますか?」

私が伺うと、彼は市の繁華街にいて、車に乗っているとのこと。

そこで、最寄りのマクドナルドを探し、店内に入って中の様子を見るよう提案しました。

「どうしてですか?」

「いいからやってみてください」と納得していない様子の彼を促しました。

数分後、彼から折り返しの電話がありました。


「僕は何を考えていたんだろう!駐車場はいつも通り満車、レジ前もいつも通り、列が出来ています。お店のレジの中には現金がいっぱいです!やっぱり僕の株を売らないでください!僕の株を、一切売らないでください!」

彼は、1日の株価変動が企業のファンダメンタルズ(編集部注:ファンダメンタルズとは、企業の売上や利益、財務内容等の基礎的な情報を指します。)とは無関係だと気付きました。

いつもこのようにいくとは限りません。企業の業績見通しが悪化したために株価が下落することも、もちろんあります。

しかしそれすら、一時的な場合が多いのです。

マクドナルド株を長期保有しようと決断した株主はハッピーでしょう。

1965年の新規公開(IPO)時に22.5ドル(約2,300円)で購入した100株は、現在の価値にして1,546万ドル(15億円以上)を超えています。(それに加え、年額にして37万ドル(約7,600万円)を超す四半期配当が入ります。)

しかもこれは最先端の遺伝子企業などではなく、あのマクドナルドの話です。

投資家にとって、市場の値動きは単純に株式市場への入場料のようなものです。もし株式のような大きなリターンが見込める預金口座を持つことができれば、誰もがそうするでしょう。

しかしそれは不可能です。保有しなければならないのは株式なのですから、いつでも株価変動は起こり得ます。

それでもリスクを比較的小さく留めながら株式投資を行う方法はあります。

例えば、売上高、業績、簿価に対し比較的安価な企業である割安株は成長株と比べてボラティリティ(株価の変動)が低い傾向にあります。

時価総額100億ドル以上の大企業は中小企業よりも変動幅が小さくなります。

また、銘柄を幅広く保有することにより、リスクを低減することが出来ます。例えば、5銘柄だけよりも50銘柄保有している方がリスクは低くなります。

さらに、株式市場でのリスクを低減したいのであれば、米国の時価総額が大きな割安株への投資が良いでしょう。

しかし、 意外に聞こえるかもしれませんが、大型株と小型株、成長株と割安株、外資系企業と国内企業などで、ポートフォリオに幅を持たせる方がリスクは実際に低減できるのです。

これを資産配分といいます。

資産配分の産みの親ハリー・マーコヴィッツは、リスクが高い資産でも、適切にポートフォリオを組むことによってよりリスクを下げ、よりリターンを高めることにつながることを証明し、ノーベル経済学賞を受賞しました。

より低いリスクで、より高いリターンを得るのは、投資の聖杯(達成困難な理想)です。

そして、より保守的なポートフォリオを組みたい場合は、長期と短期な満期日の米国債や社債、米国物価連動国債 (TIPS)、不動産投資信託 (REIT) 、さらには金鉱株を追加すると良いでしょう。

実際、Oxfordクラブでは、まさにそういったものを推奨しています。こちらが、私たちの資産配分モデルです。

これが賢いリスクの取り方の一例です。真剣な投資家が真剣な資金を真剣な方法で扱うと、このようになります。

そして、これは機能します。 私はこの資産配分戦略を実施した独自の長期保有ポートフォリオを2003年から提案していますが、そこで投資した10万ドルは、2020年末時点で46万6,000ドル以上の価値に成長しています。

このように、株式のボラティリティを吸収し、高いリターンを低いリスクで実現する保守的な方法は実際に存在するのです。もちろんより大きなリターンを狙える、もっとアグレッシブな他の戦略もあります。

近いうちに、日本の皆さんにもご紹介していきますので、楽しみにお待ちください。

良い投資を。

アレックス

Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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